究極のAORコンピ盤だ!! 2003/03/30 Update
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 ここ数年間、まるで熱病に冒されたかのようなAOR関係のリ・イシュー・ブームに盛り上がっていましたが、そんなブームの最終章のように、究極のコンピレーション・アルバムがリリースされました。「AORって何?」という方から、普段あまりCDを買わない御仁にまで、まさにお手軽にAORの美味しいところを押さえられる...まさなそんな感じのコンピとなっています。その後もゾロゾロとリリースされていますが、このシリーズを凌駕する内容のものはありません。もともとAORってジャンルじゃなくて音楽のスタイルで、しかもロック、ブラック、フュージョンと、それぞれの音楽スタイルの美味しいところを寄せ集めた、もともとそんな音楽だったりするので、選曲する人の嗜好によって、かなりバラつきのあるイメージになったりするのだよなとも思ったりして。だからって、そのままで良しとしないのが私の悪いところだったりして(汗)。そんな私が、「これが究極!」とお薦めするコンピ盤。聞いた後の皆さんの印象は如何に...。ともかくお薦め盤であります。

2001年リリースされたBreeze AOR best selection』に引き続き2002年リリースされた『Breeze AOR best selection SUMMER』と、雑誌BRIOとのタイアップでリリースされたBRIO presents AOR selection『ON SHORE』と『OFF SHORE』の4枚。いずれも「いかにも」というジャケットに身を包み、1970年代後半から80年代半ばまでの時代のテイストを忠実に再現しています。4枚合わせて74トラックにも及ぶ壮大なAORワールドは、ベストと呼ぶには多すぎる曲数ですが、当時の洋楽・邦楽のほとんどが、こんなテイストの曲ばかりであったことを考えると、当時をリアルタイムで過ごした者からすればモノ足りなく感じるのが不思議でなりません。
 いずれにせよ、当時まだこの手の音楽に接することの無かった人にとっては十分すぎるガイダンスであることには間違いありません。いずれの1枚からでも構いませんので、ぜひ一度手に取って耳にしてほしいと思います。私達が愛した音のエッセンスがここにあります。
Breeze AOR best selection
■Breeze AOR best selection
(Victor/VICP-61778)
01 Bobby Caldwell / What You Won't Do for Love
02 Chrisyphrt Cross / Ride Like the Wind
03 Air Supply / The One That You Love
04 Rupert Holmes / Him
05 Wilson Bros. / Take Me to Your Heaven
06 Avarage White Band / Whtcha' Gonna Do for Me
07 Michael Franks / The Lady Wants to Know
08 Randy Vanwarmer / Just When I Needed You Most
09 Bill LaBounty / This Night Won't Last Forever
10 Eric Carmen / Neber Gonna Fall in Love Again
11 Carol Bayer Sager / Stronger Than Before
12 Pages / Tell Me
13 Marty Balin / Heart
14 Finis Henderson / Skip to My Lou
15 Frankie Blue / Take Your Time (Vanessa's Song)
16 Paulinho Da Costa / Seeing is Believing
17 Airplay / She waits for Me
まずこのシリーズで特筆すべきは、ビクター・エンタテーメントがディストリビュートしているものの、レーペルの枠を超えた作品が収められていること。これは実に画期的、賞賛に値すると言えます。例えば通販とか、今回出ているBRIOのシリーズのように第3者が企画したものならイザ知らず、ビクターからワーナーのクリクロやポリドールのボビーの楽曲が聞けるなんて誰が想像したことでしょう。現在はレーベルの契約も複雑になっていて、記憶に深く根付いているリリース当時のレーベルとは異なっている場合も多くなっています。一概に「ソニーだからこのアルバム」とか「ワーナーだからこの人」という通念が通用しないのが現実かと思いますが、それでもこのシリーズは思いっきりレーベルを超えている...これは本当に画期的です。エライ!。でも究極のコンピだなんて(私も)言っているわりには、Paulinio da CostaやらMackey Fearyだなんて、当時ですら超マニアの間でしか話題にならなかった自社レーベルからリリースされる作品を紛れ込ませている辺りは、ご愛嬌を通り越して「せこい!」と言い切ってしまいましょう。そんな人の作品入れるのなら、他にも紹介する人や曲があったんじゃないの...って感じ。結局はそんな自社のアルバムを売るためのプロモーションの一貫としてのコンピレーションだという面も残していると指摘しておきます。
このビクターのシリーズでは音楽誌アドリヴの編集者の山アさんが監修しているようです。彼は私より若干年下?だったでしょうか。いずれにせよAORをリアルタイムで体験されている方なので、時代の空気を良くご存知だけあってツボを押さえた美味しい選曲になっています。で、この1作目は、おおっといきなり王道、AOR四天王の一人Bobby Caldwellからのスタート。しかも曲は<風のシルエット>、通称<風シル>(笑)。自他ともに認める彼の代表曲です。続いて、こちらもAORの代表選手、しかも当時大ヒットとなったChristpher Cross、通称クリクロ(何でも略すなってば)の<Ride Like A Wind>。この曲は何が美味しいって、曲の途中で聞こえるMichael McDonald、通称マイケル・マクド(だから略すな...激爆)のコーラス。数年前にこの二人がジョイントでコンサートしたときにも当然のようにこの曲も演奏していて、このコーラスが聞こえただけで悶絶していた観客が何人もいました。これは事実。まあ、ここまではとりあえず納得です。さてっと聞こえてくるボーカルは「あら?、誰だっけ..」って感じで、Air Supplyでした。Bobbyが<風シル>で、何でAir Supplyが<Lost in Love>じゃないのでしょうか。すみません、私はあまり執着が無いのですが、この曲って彼らの代表曲って呼んでよいのでしょうか???。続くRupert HolmesやらMichael FrancksRandy Vanwarmerなどはまさに「この人ならこの曲!」って、○○の一つ覚え状態で紹介される代表曲が選曲されているので、私には正直???でした。
 さてさて、ファンが喜ぶ選曲、普通の人は選ばない...でも当時の人からすれば絶対に外せない...そんなアーティストとして、
Wilson Bros.、Average White Bandの『Shine』、Bill LabountyPages『3rd』(と便宜的に表現させていただきます)などが普通に流れてきます。そしてアルバムのラストはAirplay!。いやはや嬉しい限りですね(^^)。こうしたRock色の強い作品ばかりでなく、ボーカルをじっくりと聞かせるEric Carmen (元来彼は70年代のアイドルロックバンド出身ではありますが、歌い上げ系のボーカルを生かしてソロになってからは、こんな曲調が特色となってます)、Carol Sayer Bagerも聞く事ができます。様々なテイストが渾然一体化しているAORの特徴を紹介すべくバランスの取れた選曲だと言えるでしょう。さすがに権利の関係からでしょうか、TOTOChicagoと言ったビッグネームは収録されていません。であれば、Paulinho da Costaが選曲されているものボーカルにBill Champlinがフューチャーされているからだと考えると、ちょっと無理矢理ですが納得できないこともないってところ。そうそう、マイケル・マクドにしたってクリクロの曲でのコーラスのみだなんて、これもちょっと殺生じゃないですかって感じ。まあ、たった74分位で全てを収めようというのも無理な話だし、ジャケットも美しいので突っ込みもこの辺りまでということにしましょうか...。


■Breeze AOR best selection SUMMER
(Victor/VICP-61910)
01 Christpher Cross / Never Ne The same
02 Bobby Caldwell / Heart of Mine
03 The Manhattan Transfer / Smile Again
04 Stephen Bishop / On And On
05 Kalapana / Juliette
06 Orleans / Dance With Me
07 Little River Band / Reminiscing
08 Karla Bonoff / All My Life
09 Jay Graydon / After the Love is Gone
10 Airplay / Cryin' All Night
11 Jay P. Morgan / Crosey Man
12 Bill LaBounty / Livin' it Up
13 The Joe Schemay Band / You Saw Me Coming
14 Adrian Gurvitz / Seventeen
15 Player / Baby Come Back
16 Leo Sayer / easy to Love
17 Air Supply / All Out of Love
18 Mackey Feary Band / You're Young
さてさて、続く第2弾として今年リリースされたSUMMERコンピ。オープニング・アクトは前作と同じくボビーとクリクロ。選曲はいずれも彼らの代表曲と呼ぶに相応しいものなので納得ですが、曲調から順番入れ替えただけで正直ちょっと芸ナシ?。さらにライナーで「ジェイ・グレイドンのギターが心地よい..」だなんて書いているれど、これもダメ。このコンピは基本的にAORに触れてこなかった人が中心に作られているんでしょ。「ジェイって誰じぇい....(苦しい;;;)」って感じじゃない?。続くThe Manhattan Transfer、通称マントラ(←もう好きにしなさい..)。おっと、この曲がくるかい。個人的には好きな曲なのでOKですが、ぅぅぅぅ果たしてって感じ。Stephen Bishopは納得。Kalapanaはあまり詳しくないのでノー・コメント。この曲は私のテイストではないです。さらに個人的にはLittle River Bandが入っているのは嬉しいってところですかね。ここでやっと噂の!Jay Graydonのソロが登場。で、なんで<After The Love is Gone>なの?。この曲を入れたかったら普通はE. W. & F.でしょ。100歩譲ってAirplayでしょうか。申し訳ないけれど何の意味もなさない1曲です。無理矢理探せばビルチャン(←Bill Champlinの略...)がボーカル取っているということ?。彼の作品を何故収められなかったのでしょうかね。ちょっとナゾ。で、さらに問題なのはJaye P. Morgan。こんなの入れたらダメです。繰り返しになりますが、そんな人の作品を入れるくらいなら、もっと他の人がいたでしょう。だいたいこの人は現在もJazzの人。昔こんな作品もありましたって、当時は誰も話題にしていなかったはず。ハッキリ言ってこのアルバムは、あの超マニアなAORクラブが発掘した最大の功績だと私は思っていますし、時代の音を聴く...今回の一連のコンピレーションのコンセプトから大いに逸脱する選曲です。ダメ出し100回です。実際に聞けば曲の流れとかは全然OKなのですが、だからと言ってJPはないでしょうって感じ。あとの選曲は趣味の世界の問題で、まぁ「ありかな」ってところ。
お薦めしておきながらかなり厳しいコメントが並びましたか?。いやいやベスト盤の宿命で、万人が納得する選曲なんて有り得ないのであまり気にしないでください(^^;;)。いずれにせよ、これだけの曲を一度に通して聴くことなどなかなか出来ることではないし、気持ち良い空気を作ってくれるアルバムであることには変りありません。ダメも多いけれど、よい仕事だと思います。
BRIO presents AOR selection
■BRIO presents AOR selection ON SHORE
(Sony Records/SICP-176)
01 opening
02 Larry Lee / Don'T Talk
03 Christpher Cross / Ride Like The Wind
04 J.D. Souther / You're Only Lonely
05 Kenny Loggins / Heart to Heart
06 Stanley Clark & George Duke / Sweet Baby
07 Randy Meisner / Never Been in Love
08 Greg Guidly / Goin' Down
09 Ned Doheney / Get it up for Love
10  Michael franks / Antonio's Song
11 break
12 TOTO / 99
13 Boz Scaggs / Hearbor Lights
14 Al Johnson / I'm Back for More
15 Ray Kennedy / My Everlasting Love
16 Herbie Hancock / Paradise
17 The Doobie Brothers / You Belong to Me
18 Pages / Who's Right, Who's Wrong
19 Earth, Wind & Fire / After the Love is Gone
20 ending

この企画は男性向け情報誌のBRIOの特集とリンクしている、今流行りのコラボレーション企画とでも言うのでしょうか。情報はある意味では多いに越したことはありません。また単なる情報提供ということだけでなく、様々な手法で「場」を演出する...雑誌のもつ豊富な情報量とカラー写真によるプレゼンテーション効果が、CD単体で聴いてライナー読んでということとは比較にならないほどの気分を盛り上がげてくれます。目と耳と、これを洒落たバーなんかで体験したら時代は一気に20年戻ってしまうことでしょう。
前置きはこれくらいにして、こちらのBRIOのシリーズは基本的にソニーとワーナー所属のアーティストによる構成となっています。ライナーでAORの師・中田さんも書いていますが、それぞれが1枚ずつ出すのではなくて一緒に同じ盤に収める...これは凄いですね。良い感じです。その媒体となっているのがBRIOということで...。早速チェックを始めましょう。
 おぉっと、いきなり1トラツク目は波の音!。笑っちゃうけど嬉しいスタートです。そして
Larry Lee。そう、オープニングこうでなきゃ(笑)。そしてクリクロの<Ride Like the Wind>。ふぅ〜む、Breezeと曲がかぶりましたね。それほど大切な曲だということで。続いてはリラックスした雰囲気が心地よいJ. D. Southerの定番<You're Only Lonely>。これも良い感じです。そして気分を引き締める雰囲気でマイナーな(←あ、これは決して無名ということではなくて、ちょっと暗めの曲調、短調の曲という意味です)ロック・チューン。あらら誰これ?ということで、私はあまり執着の無いKenny Logginsでありました。個人的にはJDやこのK. Logginsはフォークの人って印象が強くて、なかなか都会のお洒落な...なんて気分になれないんです。でも曲だけポっと聴くと、まるで違和感無いですけどね。先入観ナシで聴き進めていきましょうか(汗)。するとギャ!、何でStanley Clarkeなの!。曲は確かに時代を代表すると言うには大袈裟だけど、それほどの名曲<Sweet Baby>だけどさ、しかしStanly Clarkって、時代を代表するJazz Bass プレイヤーだってことは、この人の曲に限ってはきちっと説明しておいてからじゃないと聞かせちゃダメなのと違います?。知らずに聴いて「声が弱いだとか表現力が乏しい」だなんて印象もたれたら、超テク・ベーシストと「別人?」だなんてバカなこと考えちゃうだけじゃないかしら。気を取り直して野太いロック・チューンだ...元イーグルスのRandy Meisnerの登場。随分とロックしてるじゃないですか。私にとっての彼は何と言ってもイーグルス時代の名曲<Take it to the Limit>で聞かせてくれたハイトーン・ボーカル。それと比べると随分と歳とった(笑)って感じですね。彼のソロってほとんど聞いたことが無いのですが、こんな感じの曲ばかりなんですか?。だったら聴くのやめます。さて同様の曲調で、こちらもソニーのAORといえばこの人って感じのGreg Guidry。ふむ、まぁこの人ならこの曲でしょうね。そして、誰が呼んだかAOR四天王の一人(爆)、Ned Doheney様の登場です。ですが、あらこの曲ですか。まあ今回は仕方無いとしてもポリドールに移籍してからのNedの方がアーバン・コンテンポラリーな雰囲気がより出ていると思ってます。で、マッタリ感も最高潮になってきたところで満を持して四天王の連続登板でMichael Franks。選曲は良くも悪くもこの曲しかないでしょうね(^^;;)。もう、どうにでもしてって感じの倦怠感に包まれて、おっとこことでbreakのなみの音再び。なるほど、これでA面お終いって気分なのですね(笑)。
ではB面のスタート(笑)。おおおおっと、波の音にかぶってTOTOの<99>ですか!。これは意外な展開。実に新鮮。悪くないですね。この流れはベリー・グッドです。しかしTOTOは本当にバラエティ豊かなバンドでしたね。演奏テクも凄いし音楽センスも群を抜いているって感じ。ビートルズ並みとは言わなくても、それに匹敵する位の評価を受けてもよいのかもしれません。あらためてこの曲聞いていてそう思いました。次の曲もTOTO繋がり...しゃないよね。四天王Boz Scaggsの登場。しかもこんな渋い曲が。ふぅむ、これは曲調で選曲しましたかね。雰囲気バッチリなので許しましょう。<We are All Alone>を入れなかっただけ評価してあげましょうか(笑)。ロマンチックな男臭さが漂うナイス・チューンでありました。マッタリとしたAl Johnsonは飛ばして(笑)、おし!、Ray Kennedyの登場です。ふぅむ、このバラードできましたか。何だか後半は随分とゆったりとした雰囲気ですね。で、再びJazz界からのフューチャリング。Herbie HancockこそJazzピアニストとしてスーパースターであります。そんな彼が唯一時代の流れに便乗して制作したアルバムからの選曲。まぁ、こんな曲もありましたねということで...。続いてメロウ・グルーヴなノリの1曲。The Doobie BrothersというよりもMichael McDonaldの曲と言った方がよろしいでしょうか、<You Belong to Me>です。ちなみに共作者のCarly Simonのテイクはすみません、私は聞いたことがありません。こちらのテイクの方がヒットしたらしいですけど...。何だかマッタリしたままで来てますけど、おぅ!、Pagesのヒット曲?<Who's Right, Who's Wrong>がここで来ますか。この曲は本当に名曲。この手のコンピでこういう曲が選曲される...良い時代になったものです。で、あらら、もう最後って感じでダラダラしながらここまで来てしまいましたね。本家E. W. & F.バージョンの<After The Love is Gone>で締めくくりです。まあ本家と言ってもJayとFosterとB.Champlinの曲ということで、彼らの世界なんですけど、一応アース版を本家ということにさせていただきます。
こうして聴けば、納得人選・選曲という感じがしないでもありません。実に美味しいところをきちっと押さえているって感じがしますが、どうも後半のダラダラは、ダメ、昼寝しちゃいそう。ノリ曲とシットリ曲のバランスをもっと考えてほしかったかなという印象です。それでもソニーとワーナーだけで、こんなに凄いコンピが作れるのだから、これに東芝とユニバーサルなども協力したら、本気で逝きそうなコンピができそうですね(^^;;)。
■BRIO presents AOR selection OFF SHORE
(WEA/WPCR-11228)
01 opening
02 Vapour Trails / Don't Worry Baby
03 TOTO / Georgy Porgy
04 Boz Scages / Jojo
05 The Doobie Brothers / What A Fool Believes
06 Wilson Bros. / take Me to Your Heaven
07 Robbie Dupree / Steal Away
08 Ambrosia / Biggest Part of Me
09 Lee Ritenour / Is it You ?
10 Larsen-Feiten Band / Phantom of the Paradise
11 break
12 Sailing / Christpher Cross
13 Bill Champlin / Sara
14 Marc Jordan / I'm A Camera
15 Michael Franks / Down in Brazil
16 Maxus / Keep A Light on
17 Eddie Rabbitt / Suspicions
18 Paul Davis / I Go Crazy
19 Stuff / My Sweetness
20 ending
この企画の後編です。前編と同じく波のSEでスタートして、うっ来ました!。VT'sのというよりも時代のテーマ・ソングという感じの<Don't Worry Baby>です、説明不要の当時の人気テレビ音楽番組「ベストヒットUSA」のテーマ曲。AOR特集はやっぱりこの曲から始めたいですよね(^^)。そしてお洒落な雰囲気で生ピアノのリフがフェイド・インしてくる曲はお馴染みTOTOの<Georgy Porgy>。相変わらず掴みはOK!、良い感じです。はぁ、でも前作と同じ展開...TOTOの次はBozですか?。時代の名盤『Middle Man』からの選曲ということで、とりあえず許しましょうか。乗ってきたところでシンセは安っぽいけどノリは抜群のドゥービーの...というよりやっぱりマイケル・マクドの<What A Fool Believes>です。で、ありゃ、ここで真打登場ですか?、ちょっと早すぎる感もありますが、Wilson Bros.の<Take Me to Your Heaven>が聞こえてきてしまいました。ここまでのドライブ感で施歌曲されたのかとも思いますが、個人的な思い入れからすれば、もっと後半で聞きたいところでしたね。まあ、でも選曲されただけ良しとしませうか。そしてその流れのままにRobbie Dupreeの<Steal Away>。この人のメロデイ・センスって抜群で、個人的な趣味からすると、ギリギリ許せる線を行ったり来たりって感じで(?)、無条件に「良い!」とするには心細く、かと言って棄てるには惜しい...そんな曲が多いんです。そして続いて聞こえてくるのは稀有のメロディ・メイカーのDavid Pack...というかAmbrosiaの<Biggest Part of Me>。これもワーナーが誇る名曲です。で、こちらにも畑違いのミュージシャンのAORナンバーが収められています。続いて出てくるのが大人気Fusionギタリスト、Lee RitenourのAOEアルバム?、『Rit』からEric Taggのボーカルが楽しめる名曲<Is it You?>。Fusion続きでLarsen-Feiten Bandも出てきちゃいました。まあボーカル・ナンバーなので良しとしましょうか。個人的には全然違和感無く聴けちゃうし、自分で選曲しても、きっとこんな選曲はありなのですが、ふぅむ、できればもっと他の人をいれてほしかったかな...そんな感じ。好きな曲だけに、文句も控えめです(笑)。で、ここでワン・ブレイク。一息いれましょう。
 そして後半。波の音に続いてクリクロの<Sailing>だなんて反則です(^^)。あまりにハマる展開に脱帽です。ズルイです。で、ここでもバラード続き。
Bill Champlinの2ndソロより<Sara>。なるほど、バラード続きで入れるとこの曲も案外ハマるのですね。ビルチャンって灰汁が強いボーカルなので、案外コンピ作ると浮いちゃうんですよね。ちょっと納得の曲順でありました。そして、おおおおっと、個人的には大関と言ってしまいたいMarc Jordanの<I'm A Camera>です。この曲を選んだあなた(←って誰?)はエライ。後半のギター・ソロ...いつ聴いてもうっとりしますね。ギタリストJay Graydonの名演の一つと言えましょう。そしてMichael Franksのボサノバ調の曲で和んだ後は、ふぅむ、Maxusの登場ですネ。マッタリ・チューンだけどロック・テイストが強い分だけダレずに聴いていけるかも。このバンドってTOTO二世みたいな路線でデビューしてきたんですがTOTOのような完璧なサウンド・プロダクションを期待しすぎるとコケますのでご注意を。メンバー各人は上手いはずなのに、このアルバムで聞ける演奏は、正直下手。個人的には未だに捉えどころの無いバンドだったりします。そして続くEddie Rabbittは飛ばして(笑)、涙の名曲、Paul Davisの<I Go Crazy>に酔いましょう。AORの中で名バラード選をするとこの曲はきっと1・2位を争うでしょうね。そして、あらららららららららららららららららら、何よこの選曲は...。何故かStuffです。この曲が出てくる意味を誰か説明してくださいませんか?。私には解釈不能です。確かに時代の音ではありますが、これはAORのコンピレーション・アルバムでしょ。税抜き2400円でSEを除くと全17曲入りなので、1曲分141円分(+消費税)の返還運動起したいくらいの気分です。
 う〜む、最後の1曲が不満だけど、それ以外はほぼ完璧な選曲で、大絶賛のコンピレーションといっておきましょうか。それにしても惜しい....。
この4枚のコンピで取り上げられたアーティスト、曲、それを今一度見直すと、AORの世界が俯瞰できます。それでも「あれ?、あの人は...」というミュージャンがたくさんいます。もちろん人により様々とは思いますが、少なくとも私が「この人も入れてほしかった」と思いつくままにあげてみると...Gino Vannelli、Michael Raff、Michael McDonaldのソロ作品、Steely Dan(Donald Fagen)、Chicago、Tony Sciuto、Niteflyteなどはぜひモノとして収録してほしかったです。ちょっぴりマニアックに言えば、David Roberts、Bliss Band、England Dan、Dwayne Ford、Keane、Nielsen-Pearson、The President、John Obanion、Peter Allen、Alessi、Byrne and Barnes、Dukes、Michael Johnson、Tom Snow、Randy Goodrum、Crackin'、Heat、Amy Holand、Marilyn Scott、Lauren Woodあたりは選曲される資格ありってところでしょうか。さらにジャンル違い?を許してもらえるのなら、Al Jarreau、Patti Austin、SeawindあたりのFusion系も、Laren-Feitenが入るのなら有りってところでしょうか。通を通り越してカルトな選曲をといえば、もちろんCCM系の大量選曲ということになるのでしょう。でもRoby DukeChris Christianあたりは当時CCMだとは誰も認識しないで聞いていたので、コッソリと忍ばせても許されませんかね(^^;;)。
さてここで、本当は4枚の中でどれが一番かって決めようかとも思ったのですが、やめました(笑)。いずれも一長一短あるということと、特にBRIOの2枚は一度期にリリースされたということは、やはり2枚組セットと考えて曲を振り分けていはずなので、いずれか..って、きっと買う側が、どちらに好きな(知っている)曲が多いかで選ぶのだと思うからです。いずれにしても、この4枚の企画CDは、世のAORブームの最後の灯火(←何て不吉な!...笑)か、あの世に帰るAORの魂の送り火か(←もっと不吉だ!)。初めてAORを意識して聞きたいと思われる真摯な音楽ファンの方へ、じゃ、まずこの中から気に入った曲を教えて...どんなテイストが好みかを聞くためのリトマス試験紙として活用いただくには最適って感じです。少なくとも今の時代にAORが流行(ブーム)になんか絶対になりません。時代が違います。70年・80年代ブームだとか言われていますが、その心は決して前向きではありません。古き良き時代...今の30歳台後半から40歳台前半の中年世代(ちょっと前)の人達にとって、この時代が青春真っ只中、多感に多汗に過ごした頃の熱き情感を思い出させてくれる音楽として永遠に心に刻まれているはずです。生きるのに疲れたときの(^^;;)回春剤として、ぜひお手元に置いておいてほしいアイテムとしてご活用くださいませ。といったところで、この企画に携わった方々に暴言放言の数々をお詫びいたします。m(_._)m。

※このコンテンツは2003年8月15日にアップしたものに加筆・修正したものです。

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