INDEX(Topページ) | News & Topics | Glossary | Column List | GuestBook | Link & Profile

第19回 システムメンテナンスツール「DiskWarrior(ディスクウォーリア)」〜「DiskWarrior 4」における各種パフォーマンス検証等〜

昨年12月に英語版、今年2月中旬には日本語版が各々リリースされているAlsoft製システムメンテナンスツール「DiskWarrior 4」。待望のUniversal Binary化を果たし、IntelベースMacintosh(Mac OS X for Intel)にも正式対応した同アプリケーションにおける主要な変更点、及び各種パフォーマンス等を、実測を含めた形で検証してみたいと思います。


●DiskWarrior 4における主要な特徴(新機能、及び旧バージョンからの変更点等)

Classic Mac OS時代より、Mac OS市場において安定した実績と信頼性を示している高信頼性メンテナンスツール「DiskWarrior」。同アプリケーションの最新版に相当するDiskWarrior 4では待望のUniversal Binary化が達成され(IntelベースMacintosh(Mac OS X for Intel)に正式対応)、既に亘香通商社より日本語版に相当する「ディスクウォーリア 4.0」もリリースされています(シングルユーザライセンス99.95ドル、アップグレードライセンス49.95ドル)。

開発サイドからはVer.4における主な特徴、及び変更点等が以下の通りに示されています。

また、DiskWarrior添付のCD(以下、DiskWarrior CD)から起動する際のシステム要件として、

等が挙げられている他、ハードディスクドライブにインストールする際のオペレーティングシステムとして「Mac OS 10.3.9」以降が必要とされます。また、修復可能なMac OSのバージョンとして「Mac OS 7.1」〜「Mac OS X 10.4.x」が示されています。


●DiskWarrior 4におけるインターフェイス確認

変更点の概要等を確認してみた限りにおいて、DiskWarrior 4には約3年半振りのメジャーアップグレードに相応しい多岐に渡る機能強化とパフォーマンス改善が施されているようです。case-sensitiveのサポートによりHFSXが適用されたボリュームに対する再構築等も実現されている他、DiskWarrior 4における最大の特徴としては、Universal Binary化に伴うMac OS X for Intelへの正式対応が挙げらるでしょう。ここからは日本語版に相当する「ディスクウォーリア 4.0」を用いて、新バージョンにおける変更点、及び各種パフォーマンス等を検証してみたいと思います。

まずは新旧両バージョンにおけるメインウインドウの比較です。
「DiskWarrior 3.0.3」におけるメインウインドウ
↑「DiskWarrior 3.0.3」におけるメインウインドウ(クリックで拡大します)

「DiskWarrior 4.0」におけるメインウインドウ
↑「DiskWarrior 4.0」におけるメインウインドウ(クリックで拡大します)

スクリーンショットの比較においても明らかなように、両バージョンにおける最も顕著な相違は「ディレクトリ」「ハードウェア」間に新設された「ファイル」と称される新たなパネルの存在でしょう。同パネルではVer.4における新機能中の幾つかとして、以下の2項目が内包されています。

DiskWarrior 4.0に新たに設けられた「ファイル」ペイン
↑DiskWarrior 4.0に新たに設けられた「ファイル」ペイン(クリックで拡大します)

上記項目中「ディスクパーミッションの修復」は、システム固有のファイルやフォルダにおける無効なファイルアクセス権(ユーザパーミッション)の修復を目的としたオプションとなっており、同オプションは「Disk Utility(ディスクユーティリティ、/Aplication/Utilities/Disk Utility.app)」>「First Aid」内における「Repair Privileges Utility(アクセス権の検証、修復)」同様、Mac OS Xがインストールされているブートボリュームに対してのみ適用可能となっています(上記スクリーンショットではシステム不在のボリュームを再構築対象としているため、同オプションがグレイアウトしています)。

一方の「全てのファイルとフォルダをチェック」オプションでは、フォルダ階層情報における不整合値やファイル互換性問題等を識別可能としており、当該ボリュームにおいて下記項目の検査を行っています。


●新旧両バージョンを用いた各種パフォーマンスの比較検証等

続いて、実際の再構築プロセスを通じた各種パフォーマンスの比較検証等に移りたいと思います。(前述の変更点のリストにも見られますように)この度のVer.4における主要な変更点の一つとして「旧バージョン比で大幅な高速化を実現」との項目が挙げられていますが、同一環境における新旧両バージョンを用いた再構築プロセスの実践により、具体的なパフォーマンス改善を実測比較にて確認してみたいと思います。

検証に用いた環境は以下の通り。旧バージョンである「DiskWarrior 3.x」(「Mac OS X 10.4.8」を用いるため、実質的にはDiskWarrior 3.0.3)がMac OS X for Intelに対応していないため、(両バージョンを同一環境にて比較検証を行うため)ここではPowerPC搭載機種を使用する事とします。

計測するプロセスは、DiskWarrior CDからの起動時間(「Startup Manager」を用いた起動開始〜使用許諾ウインドウが現れるまで)、及び再構築開始から検証プロセス終了までの所要時間とし、実際にディレクトリ置換を実行するプロセスは含まない事とします。上記の条件にて行った再構築プロセスの所要時間は以下の通り。

DiskWarrior 3.0.3

DiskWarrior 4.0

上記の計測結果から、検証プロセスではVer.4において約20%近くのパフォーマンス改善が確認されます(様々な環境、条件下等により異なった結果が得られる事もあるかと思われますので、参考程度に捉えて頂けると幸いです)。この度の検証に用いたボリュームは使用状況が比較的低い状態ではありますが、より大容量、且つファイル、フォルダ数の多いボリュームを再構築対象とした際には、その差は一層顕著なものとして現れる事でしょう。

しかしながら、注目すべきはDiskWarrior CDからの起動時間。Ver.4においては、旧バージョン比で約5分以上も長くなっている結果が目立ちます。


●IntelベースMacintoshにおけるパフォーマンス検証

続いて、参考までにIntelベースMacintoshにおいて同様の検証を行ってみたいと思います。この場合比較対象が存在しませんが、Universal Binary化に伴うIntelベースMacintosh上での各種パフォーマンスは、DiskWarrior 4において非常に興味深いところ。検証には以下の環境を用いる事とします。

検証結果は以下の通り。

DiskWarrior 4.0

前述のPowerBook G4 550MHz(Gigabit Ethernet)との比較においては、DiskWarrior CDからの起動時間は一層長く、検証プロセスは一層短くとの結果が得られた事となります。

これまでの検証結果等から、Ver.3までは許容範囲と捉えていたDiskWarrior CDからの起動時間も、Ver.4では厳しい状況に改変されているとの現状が窺い知れます。DiskWarriorにおいて起動ボリュームの検証、及び修復を行う際には、First Aidにおける「ディスクの検証、修復」同様、外部ディスク(ボリューム)からの起動が必須とされるため、願わくば外付ハードディスクドライブ、或いは内蔵ハードディスクドライブにおける別パーティション等、ハードディスクベースの別ボリュームからの利用が望ましいのではないかと考える次第です。

尚、個人的な使用感ではありますが、Ver.4を用いたディレクトリの再構築後、一部のアプリケーションにおいて、これまで(Ver.3以前におけるディレクトリ再構築後)以上のレスポンスの改善が感じられました。現時点で確固とした要因は特定し難いですが、個人的にはVer.4におけるプラス要素の一つと捉えております。全般的にはUniversal Binary化の他にも、パーミッションの修復や破損した初期設定ファイル(.plist)の識別、或いは「FileVault」「HFSX」「ACLs」「GUIDパーティションテーブル」のサポート等、一層の機能強化が非常に頼もく感じますし、(条件付きではありますが)CD1枚で「Mac OS 7.1」〜「Mac OS X 10.4.x(Intel含)」までを修復対象とする汎用性の高さも、競合製品に対する大きなアドバンテージの一つと成り得るではないかと認識しています。

勿論、「DiskWarrior」が全てのトラブルにおいて万能という訳ではありませんが(個人的には修復ツールというより、メンテナンスツールとの位置付と捉えております)、今後も「DiskWarrior」の存在が、Mac OSの信頼性に多大な貢献を果たしてくれるものと信じております。


●本文訳注

(注1)case-sensitive

アルファベットにおいて、英大文字と英小文字を別の文字として識別する仕様。語源は「upper-case(英大文字)」「lower-case(英小文字)」「sensitive(敏感な、デリケートな)」に由来し、「HTML4.01」における属性値「CS」は、case-sensitive の略となっている。尚、対義語(英大文字と英小文字を同一視する)は「case-insensitive」。Mac OS Xおけるファイルシステムでは「HFS Plus」がcase-insensitive、「HFSX」「UFS」がcase-sensitiveを各々サポートしている。


御意見、御感想はこちらまで
Topページへ


Created Date : 07/03/19
Modified Date :