ホームトップエッセイ目次ジジと呼ばれたくないジジ
ジジ」と呼ばれたくないジジ


11月生まれ、蠍座の女、祖父と3日しか違わない誕生日を背負って生まれた孫娘は、今年3歳(2003年)。血液型B型までジジと一緒、生まれながらに運命共同体のような感じがすると、母親である娘は嘆いた。

自己主張の強さと、自分中心主義は、幼児だからということを割り引いても、ジジにそっくりだと言うのである。

ジジにそっくりと言うことは、母親にそっくりと言うことだろうが!それに、自己主張はどっちかと言えば父親たる婿さん似だろうが!と内心毒づいてみるが、六分の一の責任はこの婆にも平等にかかっているのだから、あまり大きなことは言えない。それに、稀代のオッチョコチョイのこの性格まで加わったら、悲惨なことになる。

しかし、彼女は今のところ、慎重この上なく、怖がりのシャイ、新しいことには容易に手を出さない、だから、考えもせずに手も足も出す婆には似なかったと、安堵したりしていた。

保育懇談会で保育園の先生がおっしゃった、Ryoちゃんは悪い言葉をすぐ聞きとがめて、「そんなこと言ったらアカンのに」とか「お手手はよく拭かな、、」とか「押したらアカンのに」、、、と、友達の言動をいちいち直していると、、

それを指摘された母親たる娘は、すかさず「それはおババの遺伝です!小さいときからあの母親はそうだったとヒイババが言うておりました!仕切り婆ァですねん!」と言って帰って来たのだそうだ。

アッタマ来る!と思ったものの、まったくそのとおりだからどうしようもない。持って生まれた性格は仕方ないにしても、「三つ子の魂百まで」と言うではないか、(これは昔の人の慧眼を示す良い言葉の一つだとかねがね思ってきた)

とりあえずは我侭を通させないことと、ヒトサマに迷惑をかけないことと、挨拶がしっかり出来ること、を叩き込まねばならないでしょ!そして、それは両親たる娘と婿さんにかかっている。爺婆に出来ることではない!と、宣言して、溜飲を下げた。小心者の婆ではある。

「オジイチャマ!コンニチワ!」「オジイチャマ!ハイ!アイスクリーム!」「オジイチャマ!ご飯ですよ!」「オジイチャマ!オジイチャマ!」・・・・

ジジィは怒鳴った、、、

「オジイチャマ!オジイチャマ!って言わんといて!!」

「オジイチャマ、オジイチャマ!って言われると、ホンマニお爺ィになってしまうねん!!」

(どこから見たってお爺じゃないの!何言うてるねん!!)その場にいた娘と婆は、あっけにとられた。

「・・・・・・・・・」

悲愴な顔をして彼女は爺のところからソロ〜っと離れてきて、言った。

「オジイチャマ、、アカンネン、、テ、、」

それでも、帰り際に彼女は、お躾もよろしく言った、、、

「オジイチャマ!さようなら!ご馳走様でした!」

食後、おなかの皮が突っ張って、うとうとしていたジジは、寝たままの姿勢でゴモゴモと言った。

「ファ〜イ、、、シャヨウニャラ、、、」

「オジイチャマ!寝たままさようならって言うたらアカンのに!!!」

エライ!!あんたはやっぱりこのおババの孫やわ!!

(2003.11.03.)
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