解酲子飲食・解題

解酲子飲食・解題
清水鱗造



 倉田良成の「解酲子飲食(かいていしおんじき)」の十のエッセイは、すべて飲食に絡んだ話題で、なかなか「味」がある。特に『芭蕉七部集』などを吟味熟読するうちに、そこに出てくる食物についての考察はすでに重ねられているから、おのずと古い日本の食習慣、あるいは古来から旨いもの、といった視点をもつものもある。
 短いエッセイは、必ずしも余裕の産物ではない。生活の節目節目の備忘録に、どうしてもしたためておきたい題材が、自然に浮かんでくるのを記すのである。「浮かんでくる」というところが、余裕に見える所以だけれど、それはある切実さと紙一重なのである。(1997.2.10記)

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