1997/02/13(THU)

1997/02/13(THU)



サイテーの状況から生まれたサイテーの文体。これが、サイテー男に相応しい住処でしょう。至るところ虫くいだらけの生地、優等生の整った作文を嘲笑するしたたかな視点。サイテーの文章は、実は、久しい間、わたしが念願とするものであった。
実際、どこに堅固なものがあるというのか。人生の基礎は、何でできているのか。
生の足場というのは、何でできているか。すべてが曖昧で、茫洋として、取り留めがなく、硬い、確かなものなど、何一つないようにみえるではないか。
人生というものは、ちょうど、いまのわたしの体みたいなものだ。
つまり、サイテーの物体だ。
もういっそのこと、いっさいの希望など捨ててしまえばどうだろう。希望的観測もすべて捨てる。なるがままに任せる。もう闘わない。えへらえへらと生きる。
いま、わたしは、こうしてタイプを打っているが、薬で思考力が鈍っている上に、指に力が入らず、まったくのところ、愚痴の一つも言いたくなる状態だ。
わたしは、実際、詩いがいのものは、もう全部捨てているのだ。少しは、気を楽にもちましょう。もういいや。復讐もどうでもいい。復讐なんかしなくてもいいよ。太宰みたいに書くことが復讐でもないしね。自分が少しでも楽でいられればそれでいいよ。他人のことは、どうでもいい。

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夏際敏生日記 [1997/01/21-1997/02/22] 目次| 前頁(1997/02/12(WED))| 次頁(1997/02/14(FRI))|