1997/01/24(FRI)

1997/01/24(FRI)



早朝6時目覚める。
まだまだ寝ておく必要のあるナーダを思って、早々に自室に引き上げ、スクリーンの前に座る。
さて、何か書かねばならないが、これがすでにもう例の賢治さんの金言に反する。
書かねばじゃなく、書きたいでなきゃあダメ。ああ。

書きたいか? 書くというのは欲望か? どうです、敏生さん。

昨夜、倉田良成と電話で話したが、かれは詩を書くのが楽しいと言い、詩というのは読む人を幸福にするようなものでなけりゃだめだ、と言っていた。「詩もマチスでなきゃね」とわたしは応じていたが、果たして、実際はどうか。

それにしても、詩を書くのが楽しいとは、わたしの実状とは余りに隔たった状態だ。

詩を青春の産物ではなく、老いに向かう人間の営為として考えたい、とも倉田は言った。あまり気にしないで、詩を書くようにしている、とも言った。自分の詩が、20年前のそれに見劣りがしても、そんなことはいっこうに構わないのだ、とも言った。

しかし、倉田さん、実際に、これはもうかなり見劣りがしますぜ。別物になって、どんどん変貌するのはいいけど、見劣りはしないほうがよろしいんじゃないでしょうかね。
わたしの場合は、少し違う。見劣りがするとは思えないし、劣等意識というのはやはり困る。

しかしそれにしても、楽しく書ければそれに越したことはない。

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