【会場内は戦闘シーン?】
会場へ足を踏み入れるとそこに流れていたのは映画の戦闘シーンにでも使われていそうな音楽である。ストリングスの緊迫したロングトーンから♪ダダダダンというドラムでリズムが破裂、一気になだれ込む。ストリングスの高音、ホルンのバーストした咆哮、バスドラムが腹に響き、スネアの連打が緊張を高め一気にキメへ。画面がないだけによけいに想像力を刺激される。聞いているうちにどんどん不安が高まっていく感じだ。
(筆者は何かの映画音楽だと想像するが、いかんせん何だかわからなかった。ご存じの方、ご一報をお願いします。)
さらに時折りふっと音が消えてしまう。無音の数分間は逆に観客の耳を音へと向けさせる。しばしの間隙の後、再開されると今度は静かな曲へと移行している。しかしあくまでマイナーコードで聞く者の気分を沈ませないではいない。ついつい戦いが終わり、死屍累々たる戦場の様子を思い浮かべてしまう。ステージが始まるまでの本来なら楽しい時間のはずが、こんな不安と緊張にさいなまれていいのだろうか?そういう疑問が頭をよぎる。
ステージへと目を転ずると白の遮幕がかかっている。幕の中央にはTATUYA ISHII CONCERT TOUR 2001 ZERO CITYのロゴが中央がくびれた字体で描かれている。そのロゴに向かって紫のライトがM字形に投げかけられている。
【場内アナウンスは、ん?】
みなさんこんばんわ。ようこそこのような辺境の地、モンゴル草原のゼロシティへいらっしゃいました。 この儀式はフジテレビジョン、TOKYO
FM、ディスクガレージの主催で行われております。
ここでみなさんにゼロドームでの諸注意について説明しましょう。
喫煙は、火薬などが多数保管されているため、火がつけば大爆発するおそれがあります。気をつけてください。どうしてもお吸いになりたい方はロビーの自爆スペースにてお願いいたします。
儀式中のカメラ撮影や録音は禁止されております。見つかればゼロ警察に取り調べられ、有罪の場合、モンゴル草原に2週間放置されることになります。
携帯電話は電源はお切りいただくか、ぶっこわしておいてください。さもないと2年間変態ストーカー悩むことになるでしょう。
儀式での演出効果をもっとすばらしいものにするため、開演中は非常灯を消させていただきます。非常の際は係員の誘導に従ってください。
世界軍がすぐそこまで迫ってきている昨今、みなさんの協力を切に求めます。
また今回ロビーに於きまして、テツ総督自らが企画なされた数々の記念品がございます。この霊験あらたかなゼログッズをこの機会にぜひお買い求めください。
それではもうまもなく開演いたします。 春爛漫、血湧き肉躍る絢爛豪華な儀式で、今宵私たちと共に生きている喜びに浸りましょう。
さっきまでの不安と緊張はどこへやら、爆笑ののち一気に場が和む。
【セレモニスト、そして司祭登場!】
ほどなく客電が落ち、ステージ右側の張り出し部に赤いペンライトの光が見える。スポットライトに浮かび上がったのは金髪スレンダーボディの男性。黒のスーツに身を固め、バーチェアに腰掛け手にした鎖はなんと奴隷の首輪へとつながっている。さらに彼の腰には女が一人抱きついている、という念の入れよう。さらにこの奴隷、セレモニストの言葉の節々で客席に向かって手を挙げ、観客に歓声を要求する。
「みなさん、ようこそいらっしゃいました。私、今宵のセレモニストをつとめさせていただきます佐々木フランチェスコです。これよりゼロシティの開催いたします。どなたさまもノリ遅れのないよう心してご参加ください」
「それではこれより抱腹絶倒、完全無欠のスペシャルワールドへ皆様をお連れいたします」
「Ladies and Gentlemen and boys and girls. Now we present you TATUYA ISHII's
CONCERT TOUR 2001, ZERO CITY HAL!(エコー)」
高らかに宣言したところでスポットが落ちる。続いてステージ中央の幕が少し持ち上がる。目を向けると燕尾服姿のせむし男、これが今夜の儀式を司る『司祭』のようだ。
「ほぉっほっほっほっ、すばらしい、すばらしい!これからくりひろげられる抱腹絶倒、空前絶後、百花繚乱、熱烈歓迎。踊り出したら止まらないノンストップシアター。
さて、それではさっそくカーニバルの幕を上げてみよう! (後ろを向いて呪文を唱える)♂∇∝★ゼロシティ♂∇アナークィ∝★ウキウーキ★◎⊆≒ゞコスップレチンキョゥコスップレチンキョゥ! ハハハ、ハーッハッハッハハァ(嗤いつつぐるぐる回りながら去る)」
【続いてナレーション、幕はまだ開かない(笑)】
西暦2100年、時はもうすぐ22世紀を迎えようという世紀末。世界は大きく民族によって3つの国に分割されていた。ヨーロッパ大陸を中心とする白人文化圏の『ゲルマニート』、アフリカ大陸を中心とした黒人文化圏の『ヒスワニ』、そしてユーラシア大陸を中心とした黄色人文化圏『アジガル』である。
しかしこのような一方的支配に反発する人たちもいた。人種や文化にこだわらず本当の自由を求めて、ここモンゴル草原に真の自由を旨とするゼロシティが誕生した。
しかしまた、このような理想郷は世界の統治者から疎まれる存在となる。かくしてゼロシティは世界からねらわれることとなった。理想をかなえそれを掴んだ者たちが、理想をもたない者たちによって滅ぼされようとしていることを、ゼロの人々は嘆いた。
戦う武器を歌や踊りに替えてゼロの人々が、いま立ち上がった。しかしこうしているあいだにも世界の軍隊は容赦なく迫ってきているのだ。踊りで勝てるのかゼロシティ。人々の期待を胸に、今モンゴル草原に夕日が沈む!
(音楽インサート)
『真の統治者は○○(失念)でなければならない』、勇者スケベラッキョ将軍の言葉である。この理想をかなえるべくリーダーが決められた。その名も『カール・ビューティ・テツ』である(ここで幕に彼のシルエットが浮かび上がる)。
彼の統治方法は一風変わっていた。すべて儀式による統制であった。このとんでもない儀式はゼロの住民になるためのテストであるが、まじめ一方に生きてきた人には到底耐えられないような屈辱の儀式であった。そしてこれが個人の勇気を試す試金石ともなった。
みなさんもこれから始まる屈辱の儀式を経験してみてはいかがでしょう。
(以上、記憶をたどって再現してみました。)
【いよいよ開幕!】
幕が上がるとステージは緑のライトで満たされている。中央には南米マヤのピラミッド(神殿)を彷彿とさせる白い石段が遙か上まで続いている。その上には戦火によって破壊されたのか、所々壁の漆喰がはげ落ち、鉄骨のあらわになったオベリスクのような塔が2本並んで立っている。よく見ると石段の麓は石造りの広場となっており、上手下手にも、窓のある石造りの家とおぼしきものが建っている。
ステージを見回すうち、石段の一番上、塔の間の床が薄明るくなり煙が立ち上り始める。何かがゆっくりと姿を現そうとしている。丸いカプセルのようなそれ、その左右には、黒くどことなく忍者装束を思わせる衣装をまとったダンサーが立っている(カプセルとは映画『河童』でTENが乗ったポッドのことである)。
コータローは頭に孫悟空の輪のような(失礼)かぶりもの、両肩からマシンガンの弾倉のようなものを十字にかけ腕には手甲(リストバンドかも)。マリーザは後ろに長いベールのついたターバンのような帽子に長袖のニットっぽい上着、肩にパットが入っていてどことなく軍装っぽい。二人とも下は袴かワイドパンツのようで全身黒づくめである。
ゆっくりと石段を下りるダンサー、中央の踊り場でポジションに着くと、オープニングは【ハレルヤ】、ダンサーのstep & clapの硬いフリが心地よい。ハレルヤ!とコールするたびにテンションがあがっていくのを感じる。最後のハレルヤ!で照明がいったん落ちライトがポッドを映し出す。ナレーションがカール・ビューチー・テツ!とコールする。カプセルが開き彼が現れる。アメフトのプロテクターから着想を得たと思われる甲冑&袴姿、頭にはアンテナのたった(失礼)毛皮の帽子をかぶり、なぜか桜の枝を手にしている。プロテクターの下から伸びる白い二の腕がまぶしい(笑)。
先ほどの硬い感じから一転して【この世のHEAVEN】、両手をあげるフリが多く観客の手がふぅっと上がっていくのが快感だ。1曲終えて帽子を脱ぎ階段下へと降りる。そして【WHITE MOON IN THE BLUE SKY】、ステージ上方では月が光っている。
続いては新曲の【花MORE 嵐MORE】、昔つきあって別れた彼女と数年ぶりの一瞬の再会を歌った曲。ダンサーのフリがかわいく新曲だというのに観客の手が動いている。♪花も〜嵐も〜、と左右に揺れるフリは花柳社中もかくや?! 今後のライブでも定番にしてほしい1曲だ。以上3曲終わったところでMCへ。