TRANSMISSION TRANS〜時間紀行〜CONCERT TOUR 1999 LIVE REPORT

PART 3



あいつとあいつが追っかけっこ

舞台が暗転すると同時に始まるナレーション。「・・・田舎県田舎市字田舎2の3の6、親や親戚の『本家の長男が東京の大学に行くなんて』『農業を継いでじっちゃんやばっちゃんの面倒を見ろ』という反対を押し切り、余一郎は上京した。着いたのは東京とは名ばかりの郊外。どこを見ても自分の田舎と同じような田園風景が広がっている。余一郎は心底がっかりした。

(この間例のずくめの男と黄色い帽子とオレンジ色のレインコート[なぜか裾が広がった形に固定されている]を着てマシンガンを持ったコータローが舞台のあっちこっちをおっかけっこ。上手前から下手前へ逃げた男を追っかけていくと、なぜか下手奥の階段から出てきたりして二人して出たり入ったり出たり入ったり。逃げる男をコータローがマシンガンを持って追っかけて下手に消えると、今度は男がマシンガンを持って逃げるコータローをおっかけてたりして。そしてナレーションも終盤へ)

今夜余一郎は六本木にやってきた。地下鉄を乗り継いで2時間半、やっと着いた六本木は雨だった。やってきたのは田舎者専用ディスコ。その名もディスコトランス。その運命の階段を余一郎は降りていった。これから始まるできごとも知らないまま。」

そして一人芝居へ

ナレーションの終わりごろ石井登場。黒のマオカラーのスーツ(見ようによっちゃ学生服?!)に草緑色のシャツ。下手奥から中央の階段を降りてきている。
「まいったなぁ、雨ふってきちゃったよ。あ〜ぁ濡れちゃったなぁ・・・おぉ、ここがディスコトランスかぁ。すげぇなぁ」

とそこへ2人の男に羽交い締めされたコータローが引きずられてくる。そのあとを例の男がマシンガンを構えて歩いてくる。「放せよこのヤロー。こら放せってんだよ」
「(マッツォに)何だよこのハゲ!」その瞬間羽交い締めしていた男の一人が帽子を取る。すると見事なスキンヘッド。絶句するコータロー。そのままひきずられて、去る。

おい、ここはディスコだよな。おっかねぇ。東京ってすげぇなほんとに。でっかいミラーボールが回ってんなぁ。へぇ。照明ぐるぐる回ってよ。
お、きれいな女だなぁ、やっぱ東京は違うなぁ。よし、きた・・・ねぇちゃんねぇちゃんねぇちゃんねぇちゃん(ついて歩く)、電話番号・・・だめだなぁ。もっと上品にやんなくちゃな。彼女彼女彼女、電話番号・・・だめだなぁ、東京の女はお高くとまってんな。
うわーきっれいな人だなぁ・・・こりゃやんなくちゃな。お来たよ来たよ。彼女彼女彼女・・・(あとずさる)う、いや、あの、ちょっと、なんにもしてないです・・・学生です・・・ほんとなんにもしてないですって。はい? トカレフ? あ、北方領土ですね、歯舞、色丹、トカレフ。・・・は? やるって、これピストルじゃないですか。・・・あにさんのお連れとは知りませんで。いただけませんよこんなの。どうもすいませんでした。・・・はあぁこわかったぁ。やっぱ東京はこえーや。

そうだ、ディスコに来たんだからやっぱ踊らないとな。すいませんすいません通してください。(隣を見ながら)こうすか?(とボックスステップ) フゥッフゥッってなんすか? はぁかけ声ですか。
わぁすごい後ろに歩いてる。オレがやるとタダの後ろ歩き。あこれマイケルジャクソンがやってた、はぁ。こっちの人はなんかロボットみたいですね。ほんとに人かな? えいえい・・・あ怒った怒った。どうもすいません、田舎もんなもんで。

・・・あ、店員さん店員さん、ただで喰ってますよ。・・・え? あれバイキング? バイキングですか。じゃオレも喰っていいすか? よぉし喰うぞ。どけよどけ。えぇと、キャベツとキュウリとプチトマトと。スパゲッティ、わ、全部ついてくるよこれ。
おい、おい! キュウリ落としてるぞ。全く。これできるまでにどんな手間がかかってるか、農家の苦労がわかってんのか・・・拾え! 食えよ! あむあむあむ(相手の顎をむりやり動かす)・・・それでいいんだよ。

さあて喰うか。(椅子に座る)(音楽ボリュームアップ。曲にあわせて喰うしぐさと踊るしぐさ、客手拍子)・・・落ちついて食えねぇよ。
あーなんかトイレ行きたくなっちゃったな。すいません、トイレどこすか便所・・・あ、あそこすか。あどーも。あここだここだ(ドアを開けて閉めるしぐさ、音楽ボリュームダウン)

おばんですー。どーもぉ。はぁぁ・・・あれ? お隣さん、あそこで女の人が立ちションしてますけど・・・あ、あれオカマですか。そーか。・・・は? 今晩? はぁヒマっすけど。はぁ・・・触らないでください。だから握らないでください。ぎゅっと握ると出ないから。だから握らないでください! その趣味はないっすからおれ。・・・おっかねーや。東京はあんなのがいんだなぁ。

・・・はっくしゅん!! あ〜ぁ風邪ひいちゃったよ。こんなときなー田舎の診療所の先生がいたら処方箋出してくれてす〜ぐ直っちゃうのになー。・・・え? なんすかこれ? くすり?元気になる。いただけるんすか? 最初はタダ。ありがとうございます。じゃ水くんできて・・・は? 鼻から吸う。はぁそうすか。じゃ。グジュズ、ズズー、んがぁんげ・・・これでいっすか。はぁ。どうも。・・・は? 出てる? すいませんどうも(チャックを上げる)。セイキマツっすから。
しかし東京の人は準備がいいなー。なんつーか繊細っつーかさ(と言いながら目の前をはらうしぐさを繰り返す)・・・なんかチョウチョが飛ぶなー。やっぱ東京はちがうわ。

・・・あ、なんか大のほうもしたくなっちゃったな。この際だ入っちゃおう。・・・ガチャ(すぐに閉めて)あーびっくりしたぁ、男の人と女の人が一緒にはいってたよー。東京の人はトイレの入り方も違うんだな。・・・ガチャ。ここだここだ(ズボンとパンツを下げるしぐさをして椅子に腰掛ける)。・・・はっくしょん!! だめだぁ、ほんとに風邪だ。こういうとき村の診療所で注射一本うってもらえばなー、す〜ぐ直っちゃうんだけどなー。・・・は?(隣との壁に耳をつける)下見ろ・・・なんすかこの注射。はぁ、最初はタダ。はい。じゃいただきます。ブスッ(尻に突き立てる)、うー。ふぅ痛ぇ。どうもぉ、ありがとうございましたぁ。おばんですぅ。

なんかなぁ、東京の人はこう、健康のこと、考えてる、っていうかなぁ。ほんとに(と言いながら身体がぶるぶる震えている)違うなぁ・・・ガクッ(のけぞる)。はぁはぁはぁ(といいつつ上着のボタンをはずしていく、さらにその上着を脱いで)リバーシブル(といいながら裏表に着る。すると裏側はサイケデリックなだんだら模様)
3/7のハプニング:ココで裏返して着るはずが逆の袖に手を通してしまい石井アセる。右腕を入れ直し左腕・・・がまた入らない。「こんなところで時間をくうとは」とは本人の弁)

なんかオレ、ハイになってきちゃったよー。踊るぞぉ!!(とそのままフロアへ)・・・え?落ちてる、あ(ズボンを上げるしぐさ)・・・よぉし! どけどけ。(音楽ボリュームアップ。バックはジンギスカン。ボックスステップから始まりAhahaha、Wohohohoのところで口に手をあて「ヤッホー」のしぐさ。下手側で踊っていたのを上手側に来てまた踊る。客大拍手&手拍子)

・・・ふぅ、疲れたぁ(と椅子のところに戻って)・・・お、お、どうしたのどうしたのどうしたの? 泣かない泣かない・・・え? ヘンなオヤジに追いかけられてる? オレが何とかしてやっから。だいじょうぶ大丈夫だって。あのオヤジだな、あのネクタイ鉢巻きにしてる。よぉし・・・おい、オヤジ、オ・ヤ・ジよぉ(ポケットに手をつっこんでヨタってる。昔の不良さん歩き)。こっち向けよオヤジィ(「親が見てるとやりにくいネタだな」in 2/21)・・・親父、オレの親父じゃねぇか。おまえこんなとこでなにしてんだよ? え? 採り入れが早く終わった? そんなことはどうでもいいんだよ。おい、ネクタイとれよ。一九分けがこうなってんぞ、戻せよ。アパートのカギ貸すから、帰ってろよ。早く、行けよ!・・・オレあんな男の息子かよ・・・(戻って)もう大丈夫だから。え? 知り合いかって? いや。。。おくふろの知り合いっていうかさ・・・

お礼? お礼なんかいっすよ。・・・(自分の足許に目をやりながら)い、いやタイプっすよ・・・きれいっすよ・・・す、好きっすよ・・・え?こんな公共の場でそんな・・・みんなやってる? (見回して)ほんとだ、暗がりであっちでもこっちでも。でもオレ風呂はいってないっすよ・・・初めてなんすけど・・・いっすか?
じゃぁ三分の一だけお願いします!(椅子を回して客席に背を向ける位置へ。椅子に寄り掛かるように座る)・・・あ、あ、おがぁぢゃん(ピクピク)。

おにいちゃん、なにいやらしいことしてんの!!」(階段踊り場にミナコちゃん)

(公開ゲネプロでの演出:「おにいちゃん!」「おまえオレの妹じゃねぇか。どうしてこんなところにいるんだ!」(ミナコ腰を振りターンして)「踊り子!」)
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もう帰りたい


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