ファンクラブイベント『TALKING BED'S』の東京の2日目のレポートです。 こちらは、ゲストとのスペシャルトーク&質問コーナーのレポートですが、こっちも長いよ〜。 ということでまずはスペシャルトークのレポートどーぞ。

スクリーンが上がるとそこに現れたのはエレベーター。その前に丸テーブルと椅子が 2客置かれている。なんだかエレベーターホールに喫茶室があるみたいなヘンな感じ。 おまけに左右の台の上には狛犬もどきのソニーのロボットペットもいる。 新田マネの「それでは登場していただきましょう。石井竜也さんです。」の紹介でエレベーターが開くと ラスベガスツアーのライブのときの衣装(シルバーの上着に黒シャツ&黒パンツ)のビューティが カッコつけて立っていた。

登場するや「YEAR!(客:イエー)」「ディア(客:フレンズ)」・・・いきなりそのテンションで 来られても・・・とまどっていたのはきっとワタシだけね。
「今日はしゃべるだけですからね。ここは宇多田ヒカルが歌ったところだという。そこでワタシはしゃべるだけ(笑)。今日のゲストはテレビの幼児番組にそして舞台に活躍中の方です。(ということは?)  それではご紹介しましょう、ジェームス小野田さんです!(やっぱし)」
小野田さんってばエレベーターからでてくるなり「わぁっはっはっは!」って笑いながら上手に下手に 歩き回る。すかさず上がる「きゃー!」の歓声!・・・コレって米米ファンの条件反射?? 神様降臨ってかんじ。後ろでは石井くんがちょっとボーゼンとしていたような、 それともなつかしかったのかなぁ?

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登場シーンが終わってテーブルのほうに戻る小野田さんに
石 井「笑いましたねぇ」
小野田「いやぁ笑ってしまいましたね」
石 井「今日はラフな服装で。」
小野田「そうラフな格好で」
石 井「ラフっていってもスーツなんですけど、みなさんこういう地味な格好をなさっているのはご覧になったことないんじゃないですか?」
(小野田さんはベージュ(たぶん麻)の3つ釦のスーツ姿でした)

そうこうするうちに背後のエレベータが開く。置かれたテーブルの上にはお盆にのったコーヒーカップがつ。 思わず立ち上がってとりに行こうとする小野田さん。
石 井「いや、今日はゲストですから、そんなことしなくても(苦笑)。」
「(お盆をとって戻ってきながら)ほんといい人なんだから。(お盆を戻してカベを叩く←閉めろの合図?) (サーブしながら)逆ですね。こっちが砂糖とミルク入りのほうで、こっちがブラック(と交換する)。 これは僕がデザインした飲みにくい、人を小さく見せるカップです(としぐさをしてみせる)。」
(取っ手が羽になっている白いカップ&ソーサーでした)
石 井「米米みたいな派手なバンドにいてそれも神様みたいな役割の人ですっごい怖い人だと思われていたみたいですけど、彼はほんとにいい人で、オレと歩いていたりするとファンの子に『石井さんと一緒に写真撮ってください』ってカメラ渡されちゃったりするようなひとなんですよ。ずーっと米米のマネージャーだと思われていたというほど。」
石 井「さて小野田さん(と言おうとしてかんでしまう)」
小野田「オノちゃんでいいよ」
石 井「(かたくなに)小野田さん、今テレビの幼児番組にでてらっしゃるという」
小野田「Pキーズですね」
石 井「あのキャラクターっていうのは音楽の世界から来た神様というかんじなんですか?」
小野田「音楽会・・・音楽会の世界から来た・・・ってかんじですね」(おーい、ほとんどいっしょだぞー)
石 井「結構やってるはずなのに一言で説明できないんですか?(するどいツッコミ)  でもテレビに出てると街で子供なんかに『あー、ナントカのひとだ!』とか指さされたりしません?」
小野田「いや、この格好でいるとわかんないですよ。頭がアフロですから」
石 井「アフロね、ぼくもこないだプロモーションビデオでアフロやったんすよ」(自分のことはいーの、自分のことは)

石 井「いつも思うのはね、舞台の役者さんが台詞覚えるのすごいなぁって、延々15分ぐらいしゃべってるじゃないですか。ああいうのどうやって覚えるんだろうって。 オノちゃんも舞台やったじゃない?」
小野田「エブリマン氏?」
石 井「そうそう、あれってどのぐらい練習したんですか?」
(ちょっと間)「(間がもてない石井、返事を待たずにしゃべりだす)あのさ舞台とかで恥ずかしくなんない?」
小野田「こないだのはそうでもなかったけど初演のときは4ヶ月かかりましたね」
石 井「そういえばあれ歌も歌ったんだよね」
小野田「そう、一人ミュージカルだから」
石 井「あのさ、なんか役者さんが歌を歌うとなんか恥ずかしくない? 普通さ、えと(立ち上がる)『(鼻にかかった声で)おまえ〜が好きさ〜』って歌うとするよね、 これを役者さんが歌うと『(仁王立ち、オペラ調で)おまえーがすーきさー』とか歌っちゃうじゃない。 歌にフェイクがないんだよね。歌ってフェイクがないとなんか恥ずかしいんだよ。」
小野田「役者さんは台詞を伝えようとするからね」
石 井「だけどさ歌ってムダなところが必要だと思うんだ。ミュージカルなんかさ台詞のところはいいんだけど歌になると棒読みみたくなっちゃうんだよ。」
小野田「語りみたいに気持ちをこめて歌おうとするからそうなるんだよね」
石 井「みなさんの中でミュージカルって見たことある人います?」 (あちこちでパラパラと手が上がる)
石 井「劇団四季とかああいう大劇場とかのなのかな」
石 井「オノちゃん、歌うたってるとき恥ずかしくなったりしない?」
小野田「歌ってるときは恥ずかしくないね。逆に台詞言ってるときにお客さんの視線が集中して恥ずかしくなったりするけど。歌ではじけちゃうほうかもしれない」

石 井「で、今やってる舞台が?」小野田さん、用意周到にチラシを持ってきている
小野田『ラ・カージュ・オフォール』。フランスの話で、アメリカで『ミスターレディ&ミスターマダム』って映画にもなった話なんだけど」
石 井「どんな話なの?」
小野田ホモとゲイの話
石 井「ホモとゲイってどうちがうわけ?」 小野田女装しているのがゲイで、女装してないのがホモ
石 井「え?そうなの? オレの感覚で言うとホモっていうと(立ち上がってしなをつくる)ってのがホモってかんじするんだけど。オカマってのがホモっていうイメージだけどね、でどんな話?」
小野田「僕はマスターの役で市村正親さんと岡田真澄さんが主役で・・・」
石 井「そういう話を日本人がやる! 日本人が! オカマの話では『バードケージ』って映画でロビン・ウィリアムズがやったのがあるけど」
小野田「市村雅親さんと岡田真澄さんが夫婦で涙あり笑いありの話ですね」
石 井「オレだったら岡田真澄さんとジェームス小野田さんの話っていうのがいいな。濃くてさ、なんか毛と毛がからみあうようなものすごいものがみられるっていう」
小野田「岡田真澄さんは紳士ですよ」
石 井「そういえばさオレ、岡田真澄さんと田舎の駅で会ったことあんだよ。ツアーだったのかなー、あそうだ、なんかのプロモーションで地方に行ったとき、田舎の駅のホームを岡田真澄さんが降りてくんだよ。肩からコート垂らしてさ。そんで『階段の似合う人だなぁ』って思ったんだ。」(まぁた自分の話かよ)
(ここの会話、はっきり言って全然かみあってません。小野田さんは必死に芝居の説明をしようとしてるんだけど、石井くんが暴走しているのでなんかグシャグシャです)
ここでエレベータがチンと開いて、でてきたのは水の入ったグラス2個。例によって立とうとする小野田さんを『いちいち立たなくていいですから』と押し止めた石井くん、水を運びます。そして渡されたグラスを一気に飲み干す小野田さんに石井ぼーぜん、客大爆笑!

石 井「そんな一気に飲まなくても」
小野田「のどが乾いて・・・」
石 井「もうなんか水ぶとりなんじゃないですか
石 井「失礼なこときいていいですか?」
小野田「どんな失礼なことですか?」
石 井「ジェームス小野田という名前を使い続けようとした理由はなんですか?」
小野田「やっぱりずっと使ってきたし、ジェームスっていう名前が好きなんですよ」
石 井「ジェームス三木っていうひともいましたね」
小野田「そういえばジェームス三木に間違えられたことがあるんですよ。 ゴルフ場でね、三木克彦さんとジェームス小野田って名前があって『ジェームス三木がきてる、 ジェームス三木がきてる』って。いっしょになっちゃったんでしょうね。」
石 井「・・・おもしろいことしゃべりましょうね。」(客:笑い)
ここでまたエレベータがチン。石井ふりかえって
石 井「水かよ!」
でイヤイヤ取ってくると小野田さんがまたごくごく・・・
石 井「そんなムリして飲まなくても。 ・・・じゃここでエブリマン氏のさわりのところをやってもらいましょうか、ね、みなさん。」(客拍手)
小野田さん立って舞台前方へ。

小野田(台詞)『いろんなことがあった・・・でも、もう終わったんだ。 もうあんなことは起こらない、と思う。・・・ジェームス小野田39歳』
石 井「(石井、拍手して)初演を見に行ったとき」
小野田「初演の最終日見に来てくれたんですよ。」
石 井「あんとき正直言って説得力に欠けると思ったんだよ。 『浪漫飛行』とか歌われてどきどきしちゃったりしてさ。」
小野田「『浪漫飛行』うたってみたかったんだよね。」
石 井「今みてたら『ジェームス小野田』じゃなかった。ちがう人だった。」
小野田「違うって(自分を指す)オレだよ」
石 井「だから別人になりきるっていうか。小野田くん、成長したんなぁ、 ってわが子を見るような気持ちになりましたよ。いちランクあがったって感じがしたな。だから技術ってみえるじゃないですか。役者さんが台詞を一言いうだけでだいたいレベルが見えるって言うかね。」

石 井「米米解散後、役者とかそっちのほうを選んですっげえよかった。米米やってたときからオノちゃんそっちがあってると思ってたから。」
小野田「じゃ次に撮る映画に出してくださいよ、主役で(笑)
石 井「考えてます・・・『ジェームス小野田の華麗な生活』」
小野田「いっしょじゃないのエブリマンと、優雅と華麗の違いだけで(笑)」
石 井「(小野田さんを見ながら)うらぶれた小説家なんかいい ですね。でアイドルの写真いーっぱい集めてるの(笑)。『エロ小説は絶対書かない』とか言って純粋に文学やってるんだけど押入開けるとエッチな本がいっぱい入ってたりしてちょっと変態な感じのひと」
小野田「変態じゃなくて二面性とか言って欲しいな、○○○とかさ」
石 井「そういう普通に生活してるんだけど、どっか変態だっていう。だいたい普通このスーツにこのネクタイは合わせないよなー。これで茶系でまとめてあったりすると『ふーん』って程度だけど、これ赤っていってもピンクにコロンでるんだぜー。こういうのは普通合わせないよ」
小野田「そうかなぁ」
石 井「うん、このピンクに転んでるところがいいな。オレはこのネクタイを選ぶ、そういう小野田くんが好き!」(客拍手)
石 井「こういうのが魅力的なんだよね。だいたい役者ってのは変態じゃないとだめ。だからこそ普通の人を演じられるし普通の人の感性が新鮮に感じられるんだから。」

石 井「これから(小野田さんは水を飲んでいる)・・・無言(額の汗をぬぐう小野田さん)・・・汗っかきだよね」
小野田「お互い汗っかきだよね」
石 井「オレさぁ・・・米米解散してからあんまりアセかかなくなったんですよ。(客:笑い) 体動かしてたら別だけど、動かしてないのにアセかくってのはなくなったね。だいたいさぁコーヒーにミルクと砂糖入れててこれ(自分を指す)でブラックで飲んでてこれ(小野田さんを指す)ってのはさぁ」
小野田ベスト体重ですから」
石 井「それでベスト体重なの?」

石 井「で秋に『エブリマン氏』があるという。これはずっとやっていくつもりなんですか?」
小野田ライフワークとして毎年1回はやっていくつもりでいるんで。来年はジェームス小野田40歳、再来年は41、その次42」
石 井「でもオノちゃん戦争を知らないでしょ?」
小野田「ちょうど自分の父親の世代という感じですね」
石 井「コソボの戦いとかどう思います?・・・1回戦争を見てくるのってはどう?」
小野田「戦争ですか? 生きて帰ってくればラッキーというかんじですね」
石 井「今の日本で生きるか死ぬか50パー50パーって体験しないじゃないですか。だから『アタシ会社で上司に言われちゃってさぁ、フラストレーションたまってんのよねぇ』なんか言ってるようなレベルでさ。戦争やってる国の人のフラストレーションってすごいと思う。」
小野田「エブリマン氏やってて『きけ、わだつみのこえ』を・・」
石 井「わだつみ?」
小野田「『きけ、わだつみのこえ』って特攻隊で死んでいった人たちの手紙を集めたものなんですけど、親や兄弟に。その1節を朗読するところがあるんだけど、毎回読むたびに 涙が出ますね」
石 井「あのわだつみの人たちの手紙、きいてて頭くるぐらいにピュアなんだよ。 もっとずるいだろう?もっと弱いだろう?オレみてーに(笑)。だから心打たれるんだろうね。」
小野田「そうだね」(主客逆転じょーたい)

石 井「昔は教育がそうだったんだろうね。 こう木なんかでもさ、どんどん刈り込んでいってまっすぐにまっすぐにって。まっすぐが美学っていうか。 オレたちって『嘘も方便』っていうことを知ってるから『それはちょっと』って思っても『いいんじゃない』とか言っちゃうじゃない。」
石 井「『枝振りいいね』っていうのは、こうちょっとしなってるとか意外なところから枝が出ているなんていうのが人間から見たら美を感じるというようなものでしょ。だから杉林なんてほんとに不自然だもんね。等間隔に並んでこうみると向こうまで見通せるような。針葉樹林と広葉樹林ってあるでしょ。杉林なんてのは針葉樹林だからさ、その杉林の隣に広葉樹林がつらなってるというのを電車の窓からみたりするじゃない? そうするとその違いにもう愕然とするというか。だからオレ、盆栽だいっきらい! 針金いれたりしてさぁ、かわいそうだなって思っちゃう。」
小野田「うん」
石 井「犬なんかもさ、鎖をはずすと動けなくなっちゃって鎖をつけると自由に動けるっていうのがいるっていうし」
小野田「鎖をはずすと動ける・・・」
石 井「そうじゃなくて、鎖をはずすとおびえちゃって動けなくなっちゃって、鎖をつけると安心して動けるっていう状態の犬がいるんだって。人間もそのうちそういうふうになっちゃうんじゃないかな? 現代人なんか自然の中におっぽりだされたら死ぬしかないもん。だってどうやって雨をしのいだらいいのかどうやって食べ物を探したらいいのかどのきのこが食べられてどれが毒かなんて全然わからないんだから。もしかしたら人間手すごい弱い動物になっちゃったんじゃないかって思う。」
石 井「オレさオーストラリアで、ACRIを撮ってたときにアボリジニの人と友達になったんだけど、こういうもの(コーヒーカップを取り上げて)ここらに置いといたらもってっちゃうんだから。彼らの考え方ってのはオレの手から離れたものは自然にそこらにあるものといっしょなんだって。だから平気でもってっちゃうんだ。そういうふうに人の考え方とか習慣って一人ひとり全然違うんだよね。その代わり彼らは水のみ場を教えてあげるって言うんだよね。というのは彼らにとってそれは自分たちが命長らえるためのすべをおしえてあげるということと同義なんだよね。いやでも水のみ場おしえてあげるっていわれてもねぇ。結局価値観が違うんだよね。まさにエブリマン、いろんな人いろんな見方があるんだよね。」
小野田「うん」

石 井「で、エブリマン氏をジェームス小野田さんとしてはどういう見方をして欲しいですか?」
小野田「やっぱり・・・(間)・・・二度と起こしちゃいけないってこと、 繰り返しちゃいけないってことを思ってもらいたいですね」
石 井「戦争を?」
小野田「そう」 石 井「これはオレの見方、オレの見解なんだけど、 エブリマン氏っていうのは日々の中の小さいことを喜ぼうとしている人だと思うんだ。 時代の渦の中に巻き込まれながらもちっちゃいことを幸せに感じる人だと思う。 それがオノちゃんの人柄とだぶって感動するんだと思うんだ。」
小野田「うん」
石 井「オノちゃんのすごいところはさ、米米のときオレがメイクしてるじゃないこうやって、で『オノちゃん今日のはすごいよ。今日の題は赤鬼。』」
小野田「そう、毎回題がついてたんだよね。」
石 井「で赤鬼とかっていうと『赤鬼かぁ』って」
小野田「鏡の前でポーズとったりして」
石 井「そうそう、そうやってどんどん赤鬼になりきっていくんだよ。そこがオノちゃんのすごいところだよね。」
石 井「というわけでエブリマン氏は秋に再演されるということですんで、みなさん見に行ってくださいね。今日のゲストはジェームス小野田さんでした。」

客の拍手に送られて素直に上手にハケる小野田さん、あれ?エレベータ使わないの?
間がこわくてひとりでどんどん暴走してゆく石井さんと律儀に答えようとすると時間のかかる小野田さん。 二人のかみ合わない会話に腹を抱えたひとときでした。でも、本当に小野田さんっていい人だぁ。


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