「さくら」リリース記念 MINAKOインタビュー

VOL.1  アルバム「さくら」編



アルバム「さくら」のコンセプト

コメホカ:今日は、3部作のmini-album第2弾「さくら」や、秋以降に予定されているライブ「Revue"モード" 2000」、石井さんのツアー「DRAGASIA」の振り付けのことなど、お伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

ミナコ:「さくら」はどうですか?

コメホカ:今回のアルバム、全体の雰囲気がやさしい感じになってますよね。「やんちゃなミナコさん」じゃなくて、なんか優しいなと・・・、癒し系みたいな・・・

ミナコ:曲の雰囲気がそうなのかな?

コメホカ:楽曲のクオリティっていうか、音楽的なコリ方っていうのはすごく作り込んであると思うんですけど、でも根本にある精神みたいなものは、癒し系。そう言うとちょっと言い過ぎかもしれないですけど。

ミナコ:詞だけ読むと、『さくら』とか結構、せつないような感じがあったんだけど。曲になってみると、やさしい感じが多かったかもしれないですね。
今回は『Dream or Reality』ができた時点で、ちょっとロックテイストでいこうか、と。実は自分たちの中では、(このアルバムは)"ロック"と呼んでるんですよ。っていうのは魂、心の叫びじゃないけれど、根底にある本当の自分ていうのを、ガーってその中に出せたらなぁって。だから『波動』とかも、ぐーっと掘り下げるっていうか、根底にある愛というか、愛は愛でも、恋人だけでなく、親や兄弟や、いろんな全ての愛みたいなところで。ちょっとおおげさなんだけど、そういうふうなところまで、掘り下げてるっていう意味で、金子は"ロック"とは言ってたんです。

コメホカ:音楽としての"ロック"っていうよりは・・・、気持ちの持って行き方としての"ロック"ですね。

ミナコ:そうそう。そういう意味で"ロック"と言ってたんです。
「さくら」に関しては、一度そこまでぐーっと自分の中のものをださないと、なんかこう次に行けないような気がして。

コメホカ:言葉自体が共感するっていうか。例えばOLの女の子たちに染み込んでいくみたいな。前だとこう「何々でしょ?」みたいだったのが、「そっかなぁ」みたいな、逆に「うんうん、そうだよね」って自然と染み込んでくるような言葉になってると思いました。

ミナコ:うれしいですね。みんな、こういう時代の中で迷ったり苦しんだりしたりしてるだろうな、悩むところは違ってても、悩んでるっていうのは一緒なのかなぁって思いながら。どういうところでみんな悩んだり苦しんだりしてるのかなぁって思いながら、詩を書いてはいるんです。
例えば『波動』とかに関しては、その時、まわりでいろいろあって、「生命」とかにガーって入り込んでた時があって。自分が、米米なんかをずーっと経てきて 「自分は何をやってんのかなぁ」「なんでいるのかなぁ」とかいろいろ思いながら。今こういう時代に生きている自分というところと、時が流れて行き過ぎてゆくわけだし、いろんな意味で…、そういうことを書いてみようかなぁなんて思って、書いた曲なんですね。

コメホカ:そういう意味では、「HEARTY HAPPY 2000」よりもミナコさんそのものがググッとこう、心に入ってくる感じはすごくしましたよ。

ミナコ:よかった。そういうふうになるといいな、って思ってたから。


コメホカ:一作目「HEARTY HAPPY 2000」には元気な姿っていうのが出てて、二作目「さくら」には「ミナコさんは一緒に悩んでる」っていうプロセスっていうかそういうのが、素直に詞に出てきてるって思います。

ミナコ:「HEARTY HAPPY 2000」に比べ、詞は、考えたことは考えたんですけど、悩むコンセプトが決まってたんで。「HEARTY HAPPY 2000」のほうは、どっちかっていうと一生懸命「つけなきゃ」って、なるべく自分の中で恋愛したことなんかを思い出しながら「書かなきゃ書かなきゃ」って思って書いていた。
(「さくら」は、)今ここで生きてて今ここで思ってるんだ。『さくら』の詞にしても♪土になろう〜とかそういうところが「ぐさっとくる」とか言ってた人もいて。いい意味でだと思うんですけど、「なんでこういうこと書くんですか?」って、「どうしてこういう言葉が出たんですか?」なんて聞かれたりしたけど、そっからがいいんじゃないのかなぁとか思ったりして。もしかしたらそこから何かが生まれてくるっていうか。
女の人とかは、ほんとにきれいな時代とかそういうのもそんな長くないって思うの。さびしいけど、でもやっぱりそこは逃げられない事実で、うわべでということでは、しわもできてくるし、おなかも出てくるし、いろんなことが、子供産んだりとかというところで、ずーっと輝き続けるっていうことは、難しい。後はいろんな意味で熟していかなければいけないし、ハートフル、心も広くなっていかなければいけないというような。実はそれは悲しいということじゃなくて、・・・わーって1回花が咲いて、花びらが散って、でもそこから胸を張って、土からひとつのものが生まれてくるんじゃないかなぁ。自分としては本当はそれが言いたかったんですけど。でも、そこで終わってるから切ない感じがしちゃうっていう人もいるかな?

コメホカ:共感できる部分ってありますよ。いつまでも若くないんだけど、でも内面ではまだまだっていうところがあるじゃないですか。そういうところが出てて、だからそういう意味で癒されるっていうか慰められる。「がんばれ」っていうんじゃないけど、「はげまされる」っていうか。そういう意味でやさしいなっていう気がするんですよね。

ミナコ:なんか手を広げて「みんな元気になろうよ、元気出して」とか、そういうのじゃない元気ソング。なんか感じてくれたらいいかなっていうぐらいの感じかな。

コメホカ:内面からこう暖かくなるようなはげまし方もあるかな、っていう。「等身大のミナコさん」っていうか・・・

ミナコ:なるべく力入らずに自分の中で表現していければなぁなんてずーっと思っていて。だから、今回の「さくら」のCDにしてもみんなきっと賛否両論あるんだろうな、決して派手なアルバムじゃないからどうなのかな?と思ってたんだけど。詞にしてもメロディにしても、力が抜けたところで出来たアルバムではあったんで。『さくら』とかはメロディから浮かんできたから、そういうのがいいのかなとか思ったりして。
無理に何かしよう、と言っても、私も決して器用じゃないんで、トントンできるタイプじゃないんで。あせってもしょうがないっていうか。焦る気持ちはみんなあるじゃないですかやっぱり。年々「ねぇどうしよう?」みたいな。(そういう気持ちは)あるんだけど、でも焦らずマイペースに。みんな一緒に年をとってきてるわけだし、それでもまだこうやって(ライブ)見に来てくれてる人や、喜んでくれる人がいるってことはすごい幸せなことだと思ってるんで、なんかそういうふうにできたらなぁなんて思っています。

コメホカ:割と今回の曲はどれも自然な感じで出てきたって言う事ですね。

ミナコ:そう、すごく自然ですね。詞もそんなに悩んでないし。もちろん詩を考えている時間は長かったんですけど、コンセプトがすぐに決まっちゃったんで。ちょっとぐちっぽいなって気はしたんですけど(笑)。でもそれも自分だしなぁと思いながら。
今まで詞を自分で書いてても、やっぱりきれいにきれいにまとめようってして、まず最初にいい詞を書こうとか、きれいな言葉できれいな恋愛をと思ってたんだけど、いやそうじゃないな、ほんとは違うなってところで、迷ってたことは確かなんですけど、その割には結構「さくら」のアルバムに関しては比較的コンセプトがポンポンポンって4曲全部(決まって)、あえて自分でもこう歌い方やいろいろ変えたりしてやってみたっていうのがよかったかなぁとは思ってるんですけど。
CDを買ってくださる方ってわりとポップなのが好きなのかな?と思うと、意外と詞や曲なんか「これは私っぽくないな」というものを書いたとしても、逆にそっちのほうがわかってくれたりするところもあったり。「こっちのほうがポップでいいじゃん」とか思ったりしても、わりとそうでもなかったり。意外と自分で自分の殻を作っちゃったりしてるから、「みんなあたしのことこう思ってるんだろうな」とか「ここはこういかなきゃな」とか思ってるのは自分だけなんですよ、ほんとは。でもやっぱり違うことすればお客さんは今まで見てたのと違うから「えー」って思うこともあるし、だから違うことしたときに許される、そのポイントっていうのがあると思うんですよね。センスなのか、いきおいなのか。そこは難しいところだとは思うんですけど。

コメホカ:今回アルバム「さくら」がリリースされて、曲のラインナップが揃ってきたって感じがしたんですよ。「HEARTY HAPPY 2000」だけだと、これでライブするのかなってイメージがあったんですけど、「さくら」がリリースされてライブの感じが見えてきたなって感じがしたんです。心洗われる高音の『さくら』を歌いながらスーって出てきたらいいだろうな、とか本編の〆は『波動』かなーとか、いろいろなシーンが見えました。

ミナコ:演出してますね(笑)

コメホカ:踊らせるだけで終わると、テンションはある程度上がるんだけど、ずっと続くとつまらなってきちゃう。だから『Dream or Reality』なんか、最初にちょっと盛り上げのところで1本ポンってあって、まん中で『さくら』とかそういう曲が、パッとはまると、「フゥー」って、聞ける。『波動』はやっぱり最後に聞きたいですね。それでシューンと終わったら困っちゃうから、もう一回出てきてもらって、『POWER』を踊ってもらって、盛り上がる。そういう構成が見えてきたって感じ。

ミナコ:あ、ホント?よかった。

コメホカ:この「さくら」のアルバムが出たことで、全体的に曲も幅が出てきた感じがします。(ライブでは)そういう曲がところどころに、〆として入ってきて、全体の構成ができてくるのかなとか思って。


『Dream or Reality』

コメホカ:「さくら」の曲ごとの、聞きどころとか、こういうことを聞いてほしいとか、こういう歌詞にこだわってみました、っていうところがあれば聞かせてください。
1曲目『Dream or Reality』から。

ミナコ:曲はロックテイストっていうか、ちょっとSWEDISHなロックギターを近田君が入れてくれて。曲は金子なんですけど。曲を聞いた時に、自分のイメージでは、あんまり明るい歌詞は浮かばなかったんです。「夢と現実」って、米米の事を引きずってるわけじゃないですけど、やっぱりすごく夢のような10何年間だったのかっていう、どっちが自分だったかわからないところがあって。ステージの自分の方が自分らしくいられたりとか素直になれたりしてる時とかあるんですよ。
そういう気持ちとかもあったりしてて、ある時たまたまTVを見ていた時に、大学生達のドキュメンタリーの番組があったんです。彼が就職活動をしているんですけど、何十件受けても受からない。でも友達は受かってる。学校ですごい人気者で頑張り屋でリーダー格で、みんながいやがることもすすんでやっている、でも就職では面接官が違う人を採るわけですよ。彼のことをドキュメントでずっと描いていて、やっぱり見ていてすごいつらくなる。たまたまうちにバイトで来ていた子も本当はミキサーになりたいって上京して来て、自分でやりたくて夢を持って東京に出てきたんですが、すごい大変な仕事だって現実をみてしまうと、今度はもう(夢に対して)苦痛になってしまうんですよ。でもそこで頑張ればなれるんですけど、嫌いになってきちゃって、だんだんつらくなってきちゃうと、頑張れないんですよ、もう。それで結局挫折してしまって。体力的な事もあるし、やっぱり女の子だったんで朝まで仕事っていうと…。そういうまわりの子たちの事もあったりして。
就職難ていうようなこういう時代の流れの中で、夢を描いて大学に入って、こんな仕事をしたいって状況の中で、何かできたらいいな、みんな苦しんでるんだろうなって。自分もいろんなオーディションとか落ちたりした事もあるし、米米の中では「面白いね」って言っててもそこは違うということもあったし。それを、自分で目の当たりに見た時期でもあったんで。自分らしくいるっていうのは、どういう事なのか、とか、そういう事をいろいろ考えて…。
夢を追い続けるっていう事の苦しさと、でも何を信じていいのかわからなくなってきちゃうというような、そのものの詩なんですけどね。人と同じだったりするとすごく安心しちゃたりとかして、それで「これでOKなんだ、あの人もこうだった。」って、つい自分も比較しちゃったりとか、それで安心したりとか。でも、そうじゃない自分もすごくあるのに、その時代に流されて「まあ、いいか」って思っちゃってる自分もいて、っていう。だけどやりたい事は信じていかないと開けるものも開けないんだろうな、って思って。
解決法っていうところでの答えっていうのは、詩の中では大サビでちょっと、♪自分を信じていこう〜って事しか言ってないんですけど。そういう子たちに向けての。まあ、自分の事でもあるんですけどね、そういう気持ちみたいなものが、書けたらいいなって思って。
一歩足を踏み出したりとかするのって難しいですね。自分が何から取りかかっていいのかわからない。みんなそうだと思うんですよ。自分も、これだけずっとやってきていても、何から片付けていいのかわからないっていうのがあったりして。まあ、そういうような詩を、『Dream or Reality』にこめられたらいいなぁと思って、書いたんです。



『さくら』

ミナコ:『さくら』に関しては、最初自分のイメージとしては、和ものという事だったんです。メロディから浮かんで、和風のメロディに今風のリズムを入れたくて。最初は歌に関しては、ファルセットでというのではなかったんですよ。金子の方でちょっと「中国的なのを入れたいんで、『(ファルセットヴォイスで)フゥフゥ〜』っていうのをやってみない?、チャレンジしてみない?」って言うことで。
『さくら』は、さっき話したのと一緒で、散る事が問題じゃなくて散ってからが実は。自分は散っているっていうことじゃないんだけど、女で生まれてきた限りはやっぱりきれいでありたいし。でも女の強さもある。子供を産んだり育てていく、すごい生命であると思うんですよ。そこのところ、ちょっと掘り下げたところを書いてみたいなって思ったんで。『さくら』は、(3/10に福岡でやったマキナイトでの)ライブでは歌わなかったんですけど、登場の時に使いました。すごい雰囲気よかったし、かっこよかったですね。ライブでも、ちょっと逆に踊ってもいいかなって感じでしたね。


『STAY OR GO GO!』

ミナコ:次の『STAY OR GO GO!』。愛は愛でも、自分でわかっていながらどんどんはまってゆくっていう恋愛ってありますよね。「もうやめなよ。」って友達に言われながらもそこに入っていく、そういうモヤモヤと、あとは、セクハラオヤジたちに向けて、ОLさんたちがちょっと言いたかった、って言う事を書いてみました。
今すごく、上っ面ってわけじゃないんだけど、自分としては、♪愛が足りない〜っていうか、もっと深い愛がないような気がして。会社にいてもそういう事ってきっと感じるんじゃないかな。会社の中でもう自分で精一杯みたいな人たちが、なんかキュウキュウとしてきてしまう。自分もあるんですよ、忙しかったりとか、みんながそれぞれわーと言ってると、キュウキュウとしてきて、取り残されているような気持ちになっちったりとか。きっとOLの女の子たちとか、ある程度年齢がいってきたりすると、やっぱり年齢の事なんかで結構チクチク言われたりとか、そういう人達いっぱいいるんじゃないかなと思うわけ。私の中では、悔しいと思ったっていうか、これはもう、爆発パワーしかないでしょう、と。いつも愛とかそういうことで進んでいけない事はわかるんだけど、でも、もっとなんかHOTになれる瞬間とかってあるんじゃないかな、と思ったりして。それで今回こういう曲ができました。
まあ、曲がそういう感じでできていたんで、最初は「どうしようこの曲」、「どうやって歌おうかな」って思ったりしたんですけど。ライブとかでは、わりといい感じで盛り上がっていく感じはあったんで、いいかなと思って。それも残るべきか、でるべきかっていう。別にそこで悩んでる人がいても、それは勝手なんだけど、「でも私は行くよ!」みたいな。「ごめんね!」みたいな。

コメホカ:(笑)

ミナコ:「ここから脱出するよ。」みたいなね。でも、どこか「どうしようか。」って迷っているのね、すごくやっぱり。「迷っているけど、行きたいのよ」みたいな。そこなんですよ。それが、今回の(アルバムの)前に、いっぱい迷ってるのが入っちゃって。

コメホカ:(笑)

ミナコ:やっぱり一緒に迷って、飛び出してほしいって感じですよね。

コメホカ:迷いながら現状を変えるしかないですものね。

ミナコ:そうですよね。みんな多分そうだろうな。「でも、行っちゃえー!」、「GO GO!」みたいなね。

コメホカ:「GO GO!」っていうのは、ミナコさんらしさなんですね、結局はね。

ミナコ:「GO GO!」って行かないと、やっぱり。


『波動』

コメホカ:『波動』はどうですか?

ミナコ:『波動』に関しては、メロディとかは自分で作っていて、アレンジは金子で。私の中では、最初作った時には、すごくオーソドックスなバラード、ミディアムテンポのバラードにしたかったんです。でも、アレンジがきた時には、まるっきり違うものになっていて。メロディ自体はすごくオーソドックスなものだと思うんですよ、『しあわせにしてね』とか、ああいう自分で書いている曲だとかの、オーソドックスなメロディだと思うんですけど。アレンジが、あまりにも透明感のあるアレンジできちゃったんで。水というか、水の流れっていう感じで。
自分が『さくら』や『波動』を書いていて思ったのは、やっぱり今、生かされている自分がいて、生きているっていうこと。運命がずーとこうあって、今生かされていて、また変わればまた違う魂が、違う体をただ借りているだけ、っていう状況の中で、自分はそういうところにいるなあ、そういう事を書きたいなあって。本当に愛情のある親達に育てられて、でもいつかは親もいなくなるわけだし、自分もいつかはそうなる。そういう生命や、自分は逃れられないひとつの体を借りてる、生かされている。でもいつかはいなくなるわけだし、いなくなることを考えたら何もできない。そういうことをかみしめたところで、やっていけたらいいな、出来る限りのことをできたらいいなあっていう願いを込めて、作りました。
『川の流れのように』じゃないんですけど、水の流れのように。赤ちゃんがお腹の中にいる時も水の中にいたりとか、何かがやっぱりあるのかなと思って。ひとつの魂を産むわけだから、すごい事なんだろうなあと思いながら、そういう事を書きたいなあって。
おばあちゃんが息を引取る時とかも、近くにはいなかったんですけど、1週間くらい前に行った時のシーツの上に眠っているおばあちゃんを見た時のことをフゥーと思い出して、「なんか息をしてたな」って。当たり前なんだけどそれが妙に安心したりして。いつかは自分もそうなっていくし、そういうことをすごく書きたかった。
本当はもうちょっと、愛、すごい深い愛、それはいろんなものに対する愛を書きたかったんですけど。最初にイメージしてたのは、恋愛っぽい詩のやつ、そういうのを歌おうかなと思って、軽いアレンジのものと思ってたんですけど、金子のアレンジがすごかったんで、私もこれは、ちょっと普通の恋愛歌ってもしょうがないな、っていうところから。
曲のタイトルはすごく迷って。最初、「風にまかせて」とか、そういう感じなのかな、って思ったんですけど、「風にまかせて」っていうと、すごくふわっ、ふわふわって浮いてる感じ。そんなことではないだろうな、やっぱり地に足がついていて、その中でいろいろ考えているっていうところで。ずーと引いては寄せ、引いては寄せ、人間の命とか、ずーと昔からきてるのも、すべてそうなのかなって思って、『波動』ってタイトルになりました。
そういう事を、ファンの子たち、聞いてくれた人が、ちょっとでも感じてくれたら、「ああ、そうだよな。」って。当たり前の事なんだけど、本当の愛を受けて、自分が生まれてきて、その愛をまた違う誰かに注いで、そういう事もすべて、ずーと続いているんだなーっていうのが。そういう事を書きたかった。
そういうところで多分、金子は、「さくら」っていうアルバムが、"ロック"ですっていう言い方をしたんだと思う。それを「さくら」ではやりたかった。そういう意味では歌の方まだちょっと。ただ、書きたい事だけは書けたかなと。やっぱり「HEARTY HAPPY 2000」の時よりも、素直に、コンセプトがまず決まった。女性に生まれてきて、すごくフワーっと、てっぺいちゃんや、米米に流されてっていうのが、なんか一つ「さくら」で、少しづつできてきたかな。


『NIGHT OF THE LIVING CHERRY HEAD』

ミナコ:最後はSADOI3200のRemix、『NIGHT OF THE LIVING CHERRY HEAD』で。金子もすごくこの曲が好きで、よくできているって言ってて。全然オケもなしで、♪窓から見える〜って入っている歌だけのテープをテリーに渡し、それにRemixつけたんですよ。あの歌を聞いたら、多分テリーも今回のアルバムに入っているようなアレンジで作るんじゃないか、『さくら』そのものがRemixっぽいわけじゃないですか。だから歌だけをテープに入れて、やってもらったんですよ。「どういうのつけるだろうね。」って。そしたら、あっちできて、すごいなぁって思って。




ミナコ:そういうワケで、今回のアルバムは、ちょっとシリアスかもしれないですね。

コメホカ:私は、『さくら』が本当に一番好きなんですけど、『さくら』と佐土井さんのRemix『NIGHT OF THE LIVING CHERRY HEAD』、どちらも何かしながら聞いていると、「あれ?別の曲かな。」っていう位、なんか雰囲気が違うんですよね。

ミナコ:そうですよね。不思議ですよね。

コメホカ:それがすごく新鮮だったりしますよね。ファルセットボイスなんかもすごい新鮮だったんですけど。本当にそういう意味で、ミナコさんの新しい面というか、ある意味、本当に今のミナコさん、ってそういう感じがしますよね。シュークをずっとイメージしてるミナコさんじゃなくて、金子美奈子さん、ってそういう感じ。

ミナコ:もしかして、人には裏表ってあるとしたら、本当は(それは)表の部分なのかもしれないですね、逆に。だから、もしかしててっぺいちゃんがすごい楽しい曲をやっているのが実は裏で、『手紙』とか『ひだまり』とかがもしかしたら、表の部分なのかもしれないですね。結構真面目につくりました(笑)、「さくら」は。真剣に。

コメホカ:十分伝わっていると思いますよ。人生観っていうと言い過ぎなんですけれども、押し付けがましい、「私の人生観はこうだ!」じゃなくて、なんか自分の人生観をふと考えさせるようなきっかけみたいなものを与えてくれる曲だなぁって。『波動』とか特に。

ミナコ:そうなんだよね。なんか押し付けがましいのはイヤなのね。自分でも詩を書いていて、「そうだよね、そうだよね。そうでしょう、そうでしょう。」っていうのは。あんまり押し付けられると人って結構逃げるじゃないですか。だからなるべくそういう事じゃない、自分の本心で、でも「なんかわかるんだよねー。」みたいなところでいいのかなぁ。みんなにわかってほしいって書いたものもあるし。
ただ、あんまり自分の世界にだけに小さくなっちゃっても、なんだかよくわからなくなっちゃうから。詩はホント伝えるの、難しいですヨ。この何小節にこれを言いたいのに、8小節分の言葉がないと埋められないみたいな。でもほんとにうまい人はほんの何小節か2小節のあいだに8小節分の、言ってる事をポンと入れたり。ホントに言葉をポンポンと並べるだけで、伝わったりするから。今までもそんなにポッポッ詩を書いていたわけじゃないんで、自分の中から本当に出てくるものを(詩にするのって)、言葉の使いまわし一つでもやっぱり変わってくると思うし、見せ方でも変わってくる、今いろいろ勉強しているところです。

ミナコ:ほんとに自分がやりたいと思って自分から素直に出てくるものを、素直に表現できてそれを作品に出来る場所があるから、それをなるべく有意義にやんなきゃなって思っているんですよ。思うようにいかないところもあるんですけど、でもきっと「アンソロジー」からここまで来た感じのなかでは、わりと自分のカラーみたいなところが少しずつ出来つつあるんで。まぁ次に3枚め出たところで。その、ダンスものですか?(笑)それでなんか楽しいことが出来たらなぁとは思ってはいるんですけど。


3枚めのアルバムは?

ミナコ:とりあえず、3枚でひとつのパッケージとしてできあがり。で、3枚めのアルバムはわりとおバカソングになってて(笑)、ちょっとパラパラダンスっぽい(笑)やつ(笑)。詞は今回てっぺいちゃんが全部書いてくれてるんですよ。曲が結構インパクトあったんで、かなり面白い詞じゃないと。私も詞を書いたりすると意外とシリアスなというかまじめになってしまうんで、ちょっと面白い言葉を入れたりとか、したらいいかな?なんて思って。今、6月から次の(アルバムのレコーディング)が始まって、第3弾のアルバムはそういう感じになるんです。

コメホカ:第3弾はハジケたような感じに。

ミナコ:ハジケたような。あえてそういうのを出してったほうが。

コメホカ:これもミナコさん、これもミナコさん、次のもミナコさんってことでいろんな面を出しながら・・・

ミナコ:いろんなカラーがありすぎちゃっても、とっちらかっちゃって見えちゃうようなところもあるんで、てっぺいちゃんみたいにああいうエンターティナーみたいな人だったらいいんですけど。そうじゃないから、やっぱりどっか絞り込んだところで。ファッショナブルなところでいくのか、ライブっぽいテイストでいくのか、それともシュークみたいにリサイタルというところでいくのか、それともちゃんと歌を聴かせて、それこそアコースティックギター1本だけで歌だけも聴かせられるようなところへいくのか、ふつうにロックっぽいバンドをやった方がいいのか。自分のこの絞り込みというか、次のライブっていうところで、今そこで一番悩んでいるところですね。アルバムはまぁ3枚出るってところは決まってるんで、次のは絶対楽しいものになるって思うんで。それよりも、自分の歌とパフォーマンスというところが、今自分にとっての一番の目標ですね。



VOL.2 「DRAGASIA」振り付け編 へ続く。


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