Tatuya
Ishii Concert Tour 2004
"NYLON
CLUB DELUXE " -Live Report part1-
コメホカスタッフが参加した4会場分(名古屋・長野・東京・札幌)をまとめておとどけします。
開演前の場内に流れているのは、007のテーマ、プレスリーの「ハウンドドッグ」、男性ボーカルのスイングジャズ、そしてなぜか三味線による「おぼろ月夜」(たしか津軽三味線もあったな)。開演5分前、♪カーン、カーン、カーン、カーンと鐘の音、ところがそれがそのまま「のど自慢」の満点の鐘になってしまいます(あちこちで吹き出す人発見)。館内に開演のアナウンスが流れ、いよいよ開園時刻の合図にまたもや♪カーン、カーン、カーン、こんどは何を用意しているのかとの場内の期待のなか、♪カーンカーンカーン、カンカンカンカンカンカン♪とそのまま「のど自慢」のオープニングを思わせる曲へ(全く同じじゃありませんでした)。最後の音をはずし、ずっこけ。いやいや、あはは。
そして幕が下りたまま♪ざっぷーんの波音、それをバックに演歌調のアコーディオン&ギターの哀調を帯びた旋律が流れます。やがてファンファーレへ! さっそうと幕が開くものと思っていたら、幕の真ん中だけが持ち上がる。そこに登場したのは車いすに座り点滴をつけた白羽織袴の庄治故太郎先生(と車いすを押す医者、点滴の台を押すナースさん-実はダンス大会で選ばれたお手伝いのお客さん-)、あまりに意表をついた登場にびっくりするやら笑うやら。
すかさず【純愛】のイントロが始まり、先生は車いすから立ち上がり杖を振り回しつつ歌います。「ゲロゲーロ」、「責任者呼んでこい」などの往年のギャグも挟みつつの展開にお客も手拍子、♪花〜より(ひゅー)、星〜より(ひゅー)とのかけ声も飛んで1曲目からトバしてます。ここでは2番の頭でのマイク杖引き寄せ芸やら間奏でのぶったおれ(もちろん医者があわてて支える)やら、回を重ねるごとにいろんな芸がとびだし、どんどん発展して行きました。(腕を振りすぎて点滴の管が外れることも1度ならず)
続いては台詞から「ひっ、ふっ、ひっふっみっよっ」で【毒ひよこ】へ、ここでは黄色い着物を尻はしょり、頭にベレー帽、黒いくちばしをつけた毒ひよこダンサーズが左右から登場、背中の「ひよこ」をさりげなく?見せつつし会場は更なるラビリンスへ。♪くちばしにドスをはさみ〜、でとりだしたドスで指きっちゃったりして、ダンサーのお二人も芸が細かい。
2曲終わって再び車いすにもどった先生、話し始めます。「今日の年金問題…」で医者に止められ「新郎新婦…」で耳打ちされ、「……今日はなんでみんな集まってんの?」とぼけるあたりで会場爆笑。「あ?あ〜コンサートねぇ。…人という字は2本の線が折り重なって(耳打ち)…あ、だめ?。それではワタクシが昭和28年に歌った曲、ドロンパ!」
【ドロンパ】でまた立ち上がった先生、元気に歌い始めます。点滴の腕をぶんぶん振り(医者に止められ)、点滴袋をもみ(これもとめられ)もうやりたい放題です。最後に「あ、あ」と車いすにくずれこんだところをナースさんに連れ去られて行きましたっけ。
初日の名古屋では、このあと佐々木フランチェスコが幕前に登場し、「お見苦しいものをご覧いただき申し訳ございませんでした。ここからはジョーンズ武藤ショーでお楽しみください。それでは開幕します、ジョーンズ武藤ショー!」という前振りがあって開幕、エージェントと支配人の小芝居が始まる、という構成でした。しかし長野で見たときには、庄治先生がはけるとき医者が幕前に押し出されたまま幕が降りてしまい、そこで白衣と帽子とマスクを脱ぐとそこに佐々木フランチェスコが、という段取りに変更されていました(どうやら名古屋2日目にはそうなっていたらしい)。そして支配人とエージェントの芝居も幕前で行われる段取りになってました。
フランチェスコ:ここはラスベガスにあるホテル・ラマンチャ、老舗のNYLON CLUBではエージェントの小山田はいつものように遅れてくるこのホテルの専属歌手・ジョーンズ武藤を待っていた。いつものことだとはいえ心臓に悪い。
エージェント:まいったなぁ、こういうのはいつまで経っても慣れないんだよなぁ。だいたい『大スターは時間に遅れるのが当たり前だ』なんて、いまどきそんなスターなんていないんだよ。もう…。
支配人:(下手から登場)小山田君、困るんだよ!(ここでストップモーション)
――ジャンジャジャンジャンジャ〜〜〜ン――
フランチェスコ:説明しよう。今登場した男はこのホテルの支配人である。
支配人:ステージはもう始まるんだよ。
エージェント:すみません、なんとお詫び申し上げていいか…
支配人:大スターはいつ来るんだね!
エージェント:もうすぐきます。
支配人:もうすぐって、さっきもそう言ったじゃないか! そりゃ詐欺だぞ。
エージェント:詐欺ですって。なんてこと言うんですか。
支配人:このままステージが始まるようなことになったら、詐欺と言われてもしかたないじゃないか。
――ギターのあやしげな音――
エージェント:シー!…来ましたよ(両手の人差し指と中指をこめかみにあて)…感じませんかこのふあっとした香水の香り…(支配人、エージェントのポーズをまねる)…あのシャネルのエゴイストは彼です…ほら、あの自信に満ちた足音…
――コツ、コツ、コツ――
支配人:なにか近づいてくる感じだ。もあっとした香りと脅しにも似た強気な空気、ヤツが来る…
エージェント:あ〜!
支配人:なんだ?
エージェント:いま、つぶやいちゃった。
支配人:なにを?
エージェント:最高、って。
支配人:最高って、なにが?
エージェント:知りませんよ。でも、彼が最高って言ったときのライブは…
支配人:ライブは?
エージェント:乱れるんです、彼。
支配人:乱れるって、なにが?
エージェント:みだらになるんですよぉ〜とってもぉ。
ふたり:はぁっはっはっは〜(いやらしい笑い)。
――開幕――
幕が開くとジョーンズ武藤が真ん中てっぺんのShell Ladyの上に立っている。出で立ちは白のスーツにインナーは黒シャツ、白のマントをはおり白のボルサリーノに手にはトランクをさげている。ポーズを決めてマントを脱ぐと上 手階段を下りてくる。階段の踊り場あたりで、エージェントに差し出されたシートにサイン、そのまま降りきって下手側まで歩いてゆく。下手に着くとトランクを開け、中からマイクを取り出し掲げる(きゃー)。そしてそのまま1曲目へ。
この間、ささきフランチェスコによる本日の衣装の説明が入る。やれイタリア製のスーツだの、指輪が100カラットのダイヤだの、で「本日の衣装、ざっと5億ドルでど〜だぁ」という具合。
(という流れだったのは名古屋まで。長野からは「トランク」が消えていました。やっぱり大スター、鞄は自分で持っちゃいけないわよね。その代わり、自分で脱ぎ捨てていたマントをスタッフに脱がせてもらい、レシートにサインしたあと上手と下手で客にアピールしてました)
【LIFE IS WONDERFUL】〜【気まぐれ恋懺悔】〜【君はランバダンバンバ】と新曲3連発、ダンサーもいるしノリもいいし、新曲でもかまわず踊る人が散見されましたね。そそ、『LIFE…』のサビ、ぴゅーちーのフリがちょっとずつ変化していましたっけ。最初は♪乗り越えて行こう、で波乗りを思わせるような手の動きをしていた(名古屋、長野)のが、♪Your life is…とサビを通して指パッチン(両手で交互に-マイクを持ち替えつつ-)に変化(東京)して、札幌で見たときは特定のフリがなくなっていました。
そしてMC。ここでの出色の決め台詞は「おれにさわると低温やけどするぜ」ですかね。「君の瞳に写った俺に乾杯」ってのもありましたね。札幌では「酒に酔い、おまえに酔い、そして自分に酔う」ってのも出てました。そしていつものメンバー紹介、ミュージシャンのあとダンサーも紹介されるのですが、初日の名古屋でハプニング。紹介の際ダンサーは出てこない(はず)だったのに(事実、藤浦さんは登場しなかった)、谷口さんが下手からぴょん!とでてきてごあいさつ、「出てこなくていいんだよ!」とはびゅーちーの弁。そしてこのあとの公演ではすべてメンバー紹介時にダンサー登場となったのでした。
あと、長野でしたっけね。ダンサー紹介で谷口さんが登場したとき、キメポーズ一発♪Yeah♪ってやっちゃったもんだから、「俺よりかっこつけんなよ」といったん下手にはけ、思いっきりかっこつけながら再登場したびゅーち、もといジョーンズ武藤には笑いました。
メンバーをひととおり紹介して、「柿崎洋一郎と東京ベロベロマンチョス!」 で♪ちゃっちゃらっちゃらっちゃ〜〜、どんどん、すっ、どんどん……、と延々口バンドを続けるびゅーちー、もといジョーンズ武藤にバンドさん失笑。ここも「初日なんでね、これから練習してばーんとできるように…」などと言ってましたが、そうはならず、札幌までずっとジョーンズ武藤の口三味線が続いたのでした(ドラムの人とかトライはしてたよ)。
そうそう、長野だけのサービスがあったんだっけ。この東京ベロベロマンチョス、メンバーのなかに3人、スキンヘッドな方がいらっしゃるんですが(誰とは言いませんが、楽器にドのつく方とべのつく方、そしてパのつく方ですね)、そのうちのお二人が「アフズラ」をつけてらしたんですよ。これが谷口さんの目にとまり、小芝居の際の「毛が生えてる!」発言になったりもしたんですな。
さて、次なる曲は一昨年のNYLON CLUBでもおなじみ【コ・ウ・カ・イ】〜【DOROBOW】〜【IMITATION GUY】の3曲。で客席はピーストルの発する七色に彩られたわけでございますね。『コ・ウ・カ・イ』、フリは同じなはずなのに微妙に違うタイミングで、どうにも踊りにくいと思ったのはワタクシだけでしょうか。それはともかく、前回のナイロン同様、間奏部ではダンサー二人によるタップ合戦がありまして、HIDEBOH&SUJIのお二人よりソフィスティケートされた感じのタップを披露されました。そそ、イミテーションガイの頭に曲紹介というかイントロダクションというか導入部というか(おんなじやん)、♪俺の曲を聴いてくれ〜、次は、米米CLUBの隠れた名曲だぜ〜♪ ってなおうたが入ってましたね。かっこよかった、次もまた聞きたい感じ。エンディングで階段を上がって踊り場でキメたところで暗転、ピアノの音とともにナレーションが流れ始めます。
「みなさんこんばんわ。私はミスタームーン、今まで数々の浮き名を流し……世の女性にとって私は太陽のような存在でした。でも彼女の前ではそうはいきません。彼女の前では太陽の光を横顔に受ける月のように感じるのです……」
これが「ごくふつうに恋をし…ところがたったひとつふつうではないところがありました。奥様は魔女だったのです(奥様は魔女)」というナレーションの方でして。口調もスピードもあのころのままでとても懐かしい気持ちがしてしまいました。
ステージでは花王のマークのように三日月型の顔をしたMr.ムーンが登場しています。衣装も黒地に黄色の水玉でぱっと見道化のような感じの彼に、美恵ねえさん&藤浦さん(ブラックタイ姿にお着替え)が絡んでのプチミュージカル?です。本気で恋をしてしまったMr.ムーンに男が、♪彼女の後ろで荷物を運んで、まるでしもべのように扱われて、お気の毒様、Mr.Moon〜、と揶揄すれば、彼女が♪まだ〜心の中まで、あなたを迎えら〜れ〜ない、と歌う、ほんわかした雰囲気の1曲でした。そうそう、ここでも間奏部で藤浦さんのタップが光ってました(札幌ではMr.ムーンもタップを踏んでいたような…)。それこそラスベガスのホテルのショーを見ている感じ? メインのショータイムの間のちょっとした息抜きみたいな、いい雰囲気です。
そしていよいよメイン・イベント! 青く光るスーツ(密かにサバ色スーツと命名)に着替えたジョーンズ武藤が、満を持して登場です。When you say, I needなんちゃら〜(歌詞うろおぼえ)にキャー、【この胸のときめきを】ぢゃありませんか。直球勝負ですな〜。プレスリーのキメ歌だも〜んな〜。ステージではミラーボールが回り4本ぐらいのスポットライトが彼を照らします。やったー、いけー(どこに?)。
初日の名古屋では「(ビデオで研究したらしい)プレスリーもどき」のジョーンズ武藤が見られました(後半♪You don't have to say I love youでの腕の振りとか-笑)。それが次見た長野では消えてました(たぶん古すぎてパクリが伝わらなかったのでは?)。その代わり2番へ移行する際のタメがどぉんどん長くなっていきましたっけ。札幌では1分ほどもタメてまして、わざとらしい「あぁ…」という声まで。がっくりと片膝をついた彼の姿に、客席から「ジョーンズ♪」の声も飛んだりして(お客さん、えらい!)。最後はジャン、ジャン、ジャン、ジャン、ジャ〜ん!でキメ。
そのとたんゴロゴロゴロ、ザァー、と雨の音、ステージ奥のドラムのところから傘を取り出すジョーンズは、それをさし上手階段の踊り場に座ます。そして【RAIN BEACH】へ。♪砂浜の椅子に座り、という歌詞を感じさせるようにバックには波打ち際へ打ち寄せる波音がインサートしてきます。1番を階段で2番を中央で歌うと、いつのまにか用意されていた金色の椅子へ。物思いに耽るようすで上を見上げているジョーンズに左右から怪しい人影が近づいてきます。その一人の手には『縄』が……
初日では『RAIN BEACH』がなく、曲の終わりで暗転から戻ってみるといすに縛られたジョーンズ武藤が、という展開になってましたが…あまりに唐突な変化にお客さんがついていけなかったためか(笑)、長野では1曲ふえて展開がスムーズになってました(といってもゴーインなのは変わりませんが)。
はたしてジョーンズ武藤の運命やいかに?! というところで後半へ(笑)