Tatuya Ishii Concert Tour 2004

"NYLON CLUB DELUXE " -Live Report part2-


 上手踊り場にあらわれた佐々木フランチェスコ、時候のあいさつ(長野では「親知らず(歯)』の話-ささきさん、本当に親知らずで頬が腫れて相当たいへんだった模様、札幌では「北海道は梅雨がなくていいなぁ」の話、などなど)のあと、「恋のラスベガス大作戦〜!」と高らかに宣言します。
 彼の説明によると、ホテルラマンチャの支配人室で縛られたジョーンズ武藤、二人の男をまえに絶体絶命の危機。しかしながらいつもの余裕である、そうな。

 ジョーンズ武藤が「ジョーンズ武藤とは仮の名、実は世界的探偵愛原ジョーである彼が、怪しいとにらんだこのホテルに専属歌手として潜入した。おれは決定的な証拠をつかんだ。おまえこそ秘密結社ミラクル団の首謀者ケニー・F・ミラクルだろう!」と宣言すれば、

 「はぁ〜?俺はこのホテルの支配人だが」と拍子抜けな反応、さらに「おまえどっか悪いのか?」との反応に「わるいよ、ご機嫌がな」(きゃ〜)。
 「どういうことなのか説明してほしいもんだ」との支配人の言葉に「説明しよう!」と自分の推理を得々とまくしたてるジョー、もはやめんどくさくなった2人はジョーを…そのとき一発の銃声とともに黒ずくめの女が現れる!

 縄を撃たれて自由になったジョーは「お前はだれだ!」と、そこに立っていたのはジョーがいなくなったあと単身イギリスに渡りスパイの訓練を受けコードネームMiss Komagomeとなった千鶴子だった。

 ♪My secret name, My secret heart, あなたは、わからない、と【愛の戦士 Miss.コマゴメ】を歌う千鶴子ねーさん、黒ずくめのエナメルスーツに猫耳、キャットウーマンみたいでとってもセクシー。とちゅう逃げたはずの2人(支配人&エージェント)が踊りに参加したりして、それ見たジョーが椅子を持って「なに一緒に踊ってんだ、敵だぞ」ってうろうろしたりして、なかなかに楽しい劇中歌でした。

(椅子持ってうろうろしてたのは小さな劇場でのこと。NHKホールではやりませんでした。3人の踊りで前後のフォーメーションがあるので椅子があるとじゃまになるんでしょうね)

 さて、さらにお芝居は続く。「最近俺は寝付きが悪いんだ。それに体に何か施された形跡がある。きっとUFOが俺のことをアンドロイドにしようと……」というところで「ジョー、あなた様子がへんよ」遮る千鶴子。「千鶴子おまえまでそんなこと。それじゃあいつらと一緒じゃないか!」「あいつらって誰?」「そりゃ…俺の通ってる病院の…先生だよ」
 千鶴子はやさしく「あなたは2年前ちょっとした交通事故で一時的な記憶喪失になって、それ以来なんていうか、ちょっと頭のねじがゆるんじゃったみたいなのよね」と言う。

 とぼとぼと帰るジョー、ときどき千鶴子を振り返っては「俺の勘はまちがっちゃいなかったよな(うんうん)」「しっかりしなくちゃな(そうよ)」と。2人退場の際、ささきフランチェスコから新たな事実が「千鶴子もまた事務所が閉鎖したショックから供に駒込にあるミラクル病院へ通う患者仲間だった」と。

 ここで終わりかとおもいきや、さらに小芝居は続く。
 支配人&エージェントが再登場し「ジークミラクル!」のかけ声とともにクロスポーズを決める。「あぶなかったなぁ、ミラクル2号」「あいつ頭のねじが緩んでるくせに妙に勘が鋭いんだよな」と言う。

 アドリブ続きの芝居が毎回毎回おもしろくて楽しみだった。長野では「ミラクル団、団員募集中」という告知があり(事実ミラクル団団員募集のサイトが作られ、団員証も発行された)、札幌ではひとりジークミラクルのポーズも発表されました。

 ここからはささきフランチェスコによる無言劇。ピアノの上にある拳銃をとると自殺しようということか、胸にあて、こめかみにあて、口にいれ、でも引き金を引ききれない様子、そこへMr.シアトルが登場しフランチェスコを叱責している。米つきバッタ状態(死語)のフランチェスコ。Mr.シアトルが退場した後を椅子を振りかざして退場。

 このパターンは名古屋、長野公演まででした。NHKホールからは、レストランのテーブルとおぼしき布のかかった丸テーブルにつくささきフランチェスコに、ウェイター役のMr.シアトルが登場。メニューを持っているが渡さずに通り過ぎ(フランチェスコ追いかけてもぎとる)、オーダーも聞く耳持たず、さらに注文にもないボトルとグラスを置き去り、あげくの果てにはあきらめたフランチェスコがそれを飲もうとしたところで持ち去り、という無言劇に変更されていました。

 小芝居が終われば後半戦、ここからは「踊れ〜」なメニュー、【今夜はダンステリア】【HI TENSION LOVE】【ヤメテ(エレクトリックスリー+ささきフランチェスコ)】、びゅーちーの衣装もプレスリーばりのエナメル緑のロングジャケットにエナメル赤のパンツ、ぶっといベルトが笑えます(笑うところじゃないってば)。ダンサーの二人も黒Tシャツに白いサスペンダー、黒帽子に白カフス(だけ)というお姿でばりばりに踊りまくります。『今夜はダンステリア』は新曲だけに客席にとまどいもありましたが、♪Shaking danceあたりの「シェイクシェイク(ぱんぱん)、肩まわし(ぱんぱん)」のところはどの会場でもみごとにそろってましたね。

 そして2年ぶりのエレクトリックスリー、1名増強してパワーアップし4人による回転フォーメーションまで披露してくれます。さらにここではソロまわしでのメンバー紹介。メンバーひとりひとりに近づいて行っては花吹雪を扇であおぐ美恵ねぇさん、パワフルです。

 曲が終わり3人が雪崩れをうって退場するなか、たったひとりとりのこされたフランチェスコ、所在なげに扇をしまうと、「私、司会者なんですけども(ぜいぜい、肩で息をしつつ)」とのたまいます。会場から大きな声援と拍手、それをかき消すぐらいの爆笑がわき起こります。

 「気を取り直して、それではまいりましょう。ここからは『お肉のあげまん』の提供でお送りします。『人生どっこいどっこい!』。ゲストの人生を深く語っていただくこの番組、今夜も深く語っていただきましょう。本日のゲストは【恋のラスベガス大作戦】が大ヒット上映中の笠木健一さんです。みなさん大きな拍手でお迎えください!」

 登場したびゅーち…もとい笠木健一さんは黄色いスーツに共布のテンガロンハット、インナーの紫のシャツ、靴はきんぴか!なお姿です。どうやらテレビの収録という設定らしく、ささきさんはしかつめらしい顔で笠木さんにインタビューしていきます。でも……
 「ひとりでするときは右手ですか左手ですか」やら「太さはどのくらい」とか「さきっちょの色は」とかビミョーな質問に終始し、笠木さんあわてふためく(それぞれのオチはマイク、声、?でした)。おまけにささきさん、笠木さんの答えを全く聞いてないみたい。笠木さんに「俺の話、聞いてないだろ」と聞かれると「いえ、聞いてますよ」としれっときりかえしては次の質問を発するという具合で(笑)、言いたいことはしゃべられせもらえない(と言っても「このサングラスはさぁ、イタリアで買ったんだよ。俺が待ちを歩いていたらきれいな女が俺を呼び止めんのよ。そんで『このサングラス、似合うのは世界中であなただけ』なんて言われてさぁ」といった程度)笠木さん、次第にいらいらをつのらせていきます。

 このコーナー、どうやら視聴者からのお葉書による質問(コーナー名:人生五十歩百歩-毎回変わりましたケド-)で構成されているようで、それぞれのご当地めっちゃローカルな地名が挟み込まれてました。「○○郡○○村のなんとかさんから」みたいな感じ? さらにアドリブ合戦に発展して行った模様で、NHKホールでは「明日UFOの撮影なんだよ」とほんとのスケジュールをバラす笠木(竜也)さんがいたり、札幌では「(ファンクラブイベントのダンス大会で)ファンの方がいっぱい集まってるのにあなたは来なかった。ひとりで司会してる私の身にもなってくださいよ。もぅやってらんないよ!」とささきさんが帰っちゃったりといろんな展開があって、とても楽しみでした。

 で、この後の曲が二転三転しましてね(笑)。名古屋では新曲【恋地獄神頼み】だったのが長野で【花MORE 嵐MORE】に、NHKホールでは【HIP SHAKE!】にと変貌を遂げてゆきました(ということは恋地獄神頼みを聞けたのは名古屋だけ、そうそう庄治故太郎先生の『ドロンパ』も2日目には【人生月見酒】と日替わりになっておったそうで。その後はドロンパ一本やりだったので『人生…』をやったのはたった1日だけなんですね。名古屋の方々は貴重なものをご覧になれたのではないでしょうか?) 1曲目は変わったとはいえ、その後が【壮絶夜舞酒家】ですのでダンスメニューには違いありませんでした。

 でいったん全員ハケ、アンコールも名古屋では【花MORE 嵐MORE】だったのが長野から【DANCE】に差し替えられていました。アンコールは今までのツアーで言えばANGEL SHOW TIMEですから、とろ〜りとろけるこの曲になったのはファンとしては素直にうれしかったです。

 ここで緞帳が下がり、再び開くと【恥中海】。「DVDで踊りを覚えてきたのにぃ」という方々の嬉々とした踊りがこたえられません。とくにNHKホールでは♪ララバイ、ラ〜ラバイ、といっしょに『回る』方々も散見されまして、お客の習熟度の高さを感じました。でも「くめさん」は怖かった、本当に怖かった。あまりの怖さに夢に出るぐらい。とくに「なめた」のときは背中に寒いものが走りました。そのせいか、大阪からはくめさんは退場、なぜか庄治故太郎先生の持ち歌となったのでした。

 そして最後の曲……ここも二転しまして(汗)。【HIP SHAKE!(名古屋&長野)】【花MORE 嵐MORE(NHKホール以降)】と相成りました。踊れメドレー(HIP SHAKE!〜壮絶夜舞酒家)が前にきたのでこういった曲ならびになったんでしょう。

 もはや恒例になった生声では「去年は心配かけてごめん」と、各地でごめんなさい行脚をしたというのも彼らしいと言えば彼らしい仕業でございました。

 名古屋、長野、NHKホールにはなかった最後のMCも大阪あたり(仙台だったかな?)から『DANCE』のあとに挟み込まれるようになりまして、本当にいろんな試行錯誤のあとの見えるコンサートツアーでした。(それが一番おもしろかった、とは口が裂けても言えない>言ってるじゃん!)


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