DRAGASIA -Welcome to Asian Disco-ライブレポート
PART 3
【雨つながり】
先生の立ち去ったステージにひとり取り残された古林旭改め備前小饅頭郎、雨の効果音で蛇の目傘を手にする。
「先生が亡くなって3年、あっしぁ六本木のとあるガムランバーで歌舞伎演歌なるものを歌っておりやす。(ガムラン演奏開始 by金子&山本)ガムラン演奏、浦和鉄兄弟!(in大宮)」
♪サッサイヤッサッサァのかけ声のバックはツインサックス演奏。金子、山本の両人は向かい合って同じふりでの演奏(鏡状態)。【ごま】は能の謡(うたい)のようでほとんど音階なし。詞も和歌をつなげたよう。途中ベースのキタロウさんとマリちゃんが目を合わせて揃って手を挙げるところも。
演奏が終わり「今頃はなにをしてるんでしょう。あっしはこんなところで歌なんぞ歌っておりやす」というキメ台詞とともに、蛇の目傘をさして下手へと去る備前小饅頭郎、その足音がタッ、タッ、タッタタ…と2ステップを踏むところが芸が細かい(一度効果音とあわなくてヤケクソになっていたときもアリ)。
中央の扉が開くと後ろからの照明で逆光となったシルエットの人物、彼もまた蛇の目傘をさしている(こちらは日本舞踊で使うような華奢なもの、貼られた和紙が逆光で白く透けて美しい)。黒地に一面金蒔絵をほどこしたような上着にパンツは黒、曲は【ROPPONGI・雨】。全体にトーンを抑えたライティングでステージはブルーに沈みフロントマンだけにライトが当たっている。♪闇にからんだ脚、あたりからステージが次第に赤に変化し観客の視線はさらに彼に集中してゆく。
6月30日にはここでアクシデント発生。下手で1番、上手で2番、中央で大サビのはずが中央に戻ってきて♪そぼ降る雨は…すいません!と咳こみつつドリンク置き場に直行。無事(?)大サビから歌い出すがのどが荒れているのはマイクを通してでもわかってしまう。原因はどうも埃を吸い込んでしまったためらしい。ライブはナマモノであることを実感した次第。
ちなみに翌日の7月1日の彼は昨日の汚名を挽回しようとしてか、この曲に異様なほど力が入っていてフェロモン全開。大サビでの彼のしぐさにヤラレてしまった観客は推定5千人と言われています(笑)。
ステージが少し明るくなって次は【夢 DE 愛魔性】。この曲は差し替えられ筆者が見た限りでは6/3の大宮から【TIME】に変更されていました。同時にライティングもステージ全体が明るくなり客電もついて観客総立ち。聴かせるのは"ROPPONGI・雨"1曲のみということなんでしょう。
続いて【熱愛】という展開になるのですがここの前振りでカールスモーキー石井登場(in 6/3大宮)! ここは船の上、奥さんがデッキチェアにいるカールに「ピニャコラーダ持ってきたわ(客席爆笑)」「奥さん、旦那さんには内緒ですよ」といつもの展開。久しぶりのスタンダップ落語に場内は笑いの渦でした。
それ以降はカルスモではなく「石井ビューティショウ」に変更され、奥さんとの2人会話ではなく、一人芝居形式になっていましたね。ちなみに7/1は船上で戯れる奥さんと男、船の舳先でタイタニックごっこをしようとして奥さんを海に落とす。そしらぬふりで次の奥さんをゲットしにゆく男という展開でした。
この"熱愛"でダンサー復活、黄色い上着に黒パンツのコータロー&マリーザの登場で場内は再び「踊るぞぉ」モードへ。サビの言葉遊びのところは観客全員の手が動いていて背筋がぞくぞく。予習もしないのにこのノリのよさ。ライブとしての新たな地平を見た気がしました。
【白竜登場!】
曲が終わり舞台が暗転、雷鳴がとどろくとオープニングと同じ胡弓の音、その旋律にのせて上手奥から光る玉をもった女性が登場、ゆっくりと階段を下りステージ中央で玉を捧げる。同時に中央の扉が開き逆光でシルエットとなった男が玉を迎える。
二人が扉の向こうに消える頃、旋律は胡弓からピッコロへと移りその切り裂くような高音のなか舞台奥では赤い筒が立ち上がる。ドラムがクレッシェンドしてきて何かが起こる予感。ついに巨大な白竜が立ち上がってくる。長い首がゆっくりと振られ客席を睨め回す。炯々と輝く橙色の目、稲妻に光る鱗が恐ろしい。
笛の高音が虚空に消えると中央の扉からビューティ登場。黒のつば広の帽子、チャイニーズテイストの黒サテンの長上着という衣装。曲は【LIBIDO】、前半ダンサーは登場せず♪pole and ball…のところで再登場。親指と人差し指で輪を作り身体の両側に広げるポーズは仏像のよう。PREGASIAのマリーザのダンスに「覚えられない」とビビっていた観客(笑)もこれならできると全員マネしておりました。
6/30と7/1はマリーザが最初から上手上(白竜横)に登場。すばらしいダンスを披露してくれました、がこれは見るもの。合掌したまま腕を肩の後ろに回すなんてできるわけないわ。
そのままの勢いで【我意】へ。コータローのダンスから目が離せず。8ビートロックな曲調と筋肉を感じさせる男性的な振りが見事にマッチしこれぞ本領発揮と言うべきか。全体の堅い動きと♪追ウ女魚…の柔らかい動きが対照的でさらに両者を惹き立てる。本人も自分の見せ場だと意識しているのか本当に見事に決めていた(あの間違い大王(たった今命名)の彼が(見た限り)一度も間違わなかった楽曲だった)。
途中長めサックスソロでボーカル&ダンサーはハケ、間奏終了とともに中央扉からビューティ登場!着替えている。衣装は5/21までが赤地のシャツに深紅のパンツ、茶系の革ジャンというスタイル。6/3からはグレー系の唐草模様もしくは小花模様のアオザイに変更されていた。コータロー&マリーザもブルーとピンクの衣装に着替え再登場。
ここで2度目のMC、イェ〜!のコール&レスポンスから、ノッてるか〜い!(客:ノッってるよー)、汗かいてるか〜!(客:・・・バラバラ)…そういうときは「はい」でいいんですよ。っていつもの流れ。
大宮ではいきなり「いよ〜ぉ!」パンパンパン、パンパンパン、パンパンパン、パン!って一本締め。これがあまりの揃いように総毛立つぐらいの出来。まるで一人で叩いているかのように一糸乱れぬ揃いぶり!
「みなさん日本人ですねぇ、いきなりやってこれくらい揃うという。マリーザなんかびっくりしてますからね。まぁ彼女もだんだん日本人になってきましたからね。今度納豆食わせようかと思ってるんですが」とご本人も非常にうれしそう。
この間ステージには直径2メートル高さ20センチぐらいの『ダンサーお立ち台』が運び込まれる。ダンサー二人が金ぴかのお立ち台に立つと準備万端整った。
【怒濤のなだれ込み】
「ブゥギー(バンド:ジャン) ディーピン(ジャンジャン) ラァブ!」(客:きゃぁ)で【BOOGIE DEEP IN LOVE】へ。このあと怒濤の踊れ踊れナンバーで筆者の記憶はトビまくり。以上曲名だけ記して退散【HIP SHAKE!】〜【壮絶夜舞酒家】。
しようかと思ったが若干だけ。6/3大宮でのことコータローが踊りだしてすぐやたら背中を気にしている。衣装の肩の位置がずれている、背中のファスナーが一部降りてしまって動きにくいらしい。すぐにスタッフが駆け寄り二人掛かりで脱がせていた。下は黒のランニング姿、彼はそのままノンストップで汗を振りとばして踊っていた。
このことに動揺したのかこの後の彼はやたら間違えていた。"HIP SHAKE!"では前奏の振りの順番を間違え、そのあと振りをひとつトバし客席の動きと違うのに気づく。"壮絶"でも途中間違えてどんどん追い込まれていく。最初苦笑いで済ませていたがどんどん焦っていく彼の表情に観客は(踊りながら)指さして笑う状況と相成った。
続きが読みたい
もう帰りたい