【 わ行 】


 私の愛情の対象  ★★★

【1998年 : アメリカ】
 監督:ニコラス・ハイトナー /音楽:ジョージ・フェントン
 出演:ジェニファー・アニストン(ニーナ)、
    ポール・ラッド(ジョージ)、アモ・グリネロ(ポール)、
    アラン・アルダ(シドニー)、
    ジョン・パンコウ(ヴィンス) 他

ゲイの男性と普通の女性の間に生まれた友情と恋を通じ、男女の理想のありかたを問うラブ・コメディ。
NYでソーシャル・ワーカーをするニーナ(ジェニファー・アニストン)には弁護士のヴィンス(ジョン・パンコウ)という恋人がいるが、なにかというと押しつけがましい彼の性格に次第に疲れ始めていた。
そんな折に小学校教師でゲイのジョージ(ポール・ラッド)と知り合い、同棲相手にふられたジョージはニーナのアパートに転がりこむことに。二人は最高の友人同士としてプラトニックな関係を築き、やがて妊娠に気づいたニーナは父親のヴィンスでなく、ジョージに子育てのパートナーになってほしいと頼む。その申し出を快く引き受けたジョージだったが、旅先で出会った魅力的な青年ポール(アモ・グリネロ)と新しい恋に落ちてしまった。 それを知ったニーナは悩んだ挙げ句、ついに「人生の伴侶には私を選んで!」と迫るのだが…。

このテの映画はねー。見終わったあと何とも複雑な気分になるんですよねー。
「2番目に大切なこと」とほぼ同じようなテーマです。生まれた子が男の側の実子(少なくともそう信じている)かどうかという違いはありますが。そして、ラストはこっちの方が幾分大団円ですけどね。しかしハッピーエンドだから気分がいいかというとそうでもない。
だいたいねー、女性と一緒に子育てすることに心底満足するようなら最初からゲイなんかやってないと思うんだよね。男性に惹かれるから伴侶探しに苦労してるわけでしょ。それで長い人生、たまにはいい出会いもあったりなんかして、そしたらそっちを逃したくないに決まってるじゃないさ。
まあ知り合いにゲイがいるわけじゃないんですけど、あれこれ聞いた話によると、子どもを欲しがる人も多いことは確かみたいです。 だから養子制度なんかもあるわけだし。
でもこの映画みたいにややこしいことはしないと思う。現実的に生きてる人なら、いずれ行き詰まることはわかるって。ゲイと女性の間に友情が成り立つことはあるだろうけど、それは多分女同士の感覚に近いというか、少なくとも性別を意識しない部分での話じゃないのかな。うまくいくのは、お互いに愛すべき相手や友人や家族が他にちゃんといて、あくまで友人として想い合う場合。
この映画の主人公には心を許せる相手がジョージしかおらず、唯一の安らぎだったために手放せなくなってしまったのでしょう。だからこそ自分の立ち位置をしっかり決め、周囲の人々ともコミュニケーションをとれた時に、初めて彼女はジョージとも本当の親友になれたのだと私は思います。



 ワイルド・スピード  ★★★☆

【2001年 : アメリカ】
 監督:ロブ・コーエン /音楽:BT
 出演:ポール・ウォーカー(ブライアン)、
    ヴィン・ディーゼル(ヴィン・ディーゼル) 、
    ジョーダナ・ブリュースター(ミア) 、
    リック・ユーン(ジョニー)   他

スピードの限界に命を賭けるストリートの若者たちを描いたカー・アクション。
ハイスピードで走るトラックの積荷を、改造車が疾走しながら盗むという連続強奪事件がロサンゼルスで多発していた。そんな折、ロスのストリートに君臨するドミニク(ヴィン・ディーゼル)の前に、ある日謎の若者ブライアン(ポール・ウォーカー)が現れ、ストリート・レースの勝負を挑む。
一度のレースで一万ドルを稼ぐ凄腕のドミニクは当然のように勝利を得るが、それを機にブライアンは彼らの仲間に加わることになった。しかし、実は彼の正体は・・・。

ともかくカー・アクションがものすごいです。車にあんまり詳しくないというか実質チンプンカンプンの私でも感心しきり。まず冒頭の強奪事件のカーチェイスで目を瞠ります。猛スピードで走ってるトラックの車体下にささーっと潜り込んで、ぴったり同じ速さで走るコバンザメみたいなワザはなんなんですか?(いかにもシロウトくさい説明ですいません。)
主役のブライアン(ドミニクとどっちが主役なのは微妙なところです)は、ハンサム呼ばわりされるだけあってまさしくハンサムくん。ちょっとくらい鼻が広がっててもご愛敬です。
今やアクション作品には引っ張りだこのヴィン・ディーゼルは、2004年にも主演作の「リディック」が公開されましたね。その妹役ジョーダナ・ブリュースターは「パラサイト」以来お目にかかりました。予想通り美しくなられてオネエサンは満足です。
犯罪行為云々を抜きにすれば、若者たちがボンネット覗き込みながら改造のノウハウを自慢したり、公道ぶっとばしてご満悦だったりする様子はまんまアメリカ版「頭文字D」?とか思わなくもないですが、それはそれで意外なほど楽しめました。



 ワンダー・ボーイズ  ★★★☆

【1999年 : アメリカ】
 監督:カーティス・ハンソン /音楽:クリストファー・ヤング
 出演:マイケル・ダグラス(グレイディ)、
    トビー・マグワイア(ジェームズ) 、
    ロバート・ダウニー・Jr.(テリー) 、
    カティ・ホロムズ(ハンナ)   他

過去の栄光から抜け出せない中年作家が人生の再出発を図る姿をコミカルに描いたドラマ。
文学部教授のグレイディ(マイケル・ダグラス)はかつて文壇の寵児とうたわれた作家だが、7年前から書き始めた長編が2611ページに達しても完成せず、延々とスランプに苦しんでいる。3人目の妻エミリーは家出するし、さらに不倫相手の学長夫人サラ(フランシス・マクドーマンド)から妊娠を告げられる。折しも、毎年開催される作家たちの集い“ワード・フェスト”が開かれ、新作を催促する編集者テリー(ロバート・ダウニー・Jr.)が来訪するとあってますます気が重い。おまけにテリーとパーティに出かけた彼は、変わり者の教え子、ジェームズ(トビー・マグワイア)が起こしたトラブルに巻き込まれてしまう。
何もかもに振り回され心底うんざりするグレイディ。だが、実は問題児のジェームズにはかつての自分のような神童作家の才能があることを知る。ジェームズのことがいろんな意味で気になるらしいテリーの存在や、サラとの将来に頭を痛めつつも、その混乱の三日間がグレイディの人生にひとつの転機を与えるのだった…。

「ワンダー・ボーイ」とは、 人生の早いうちに大きな成功を手にした人のことだそうです。一時は作家としてもてはやされながら、今は一向に書き上がらない原稿を抱えて書くことにとりつかれているグレイディ。
書けば書くほど何を書きたかったのかもわからなくなっているのに、それでも書くことをやめられない。それはある意味で人間の執着心そのものです。
そんな彼が、ある日のパーティをきっかけに教え子ジェームズにさんざんな目に遭わされ、これまでの平穏とか常識とかいうものを一旦シェイクされちゃうのですね。そのうえジェームズは、自分の目から見ても才能ある若者。ついでに執着していたものを半ば不可抗力で奪い取られたグレイディは、そこでふと立ち止まる機会を得ます。強迫観念にも似た思いで見つめていた原稿から、人生そのものに目を向けた瞬間と言ってもいいかもしれません。
新たな才能、新たなワンダー・ボーイの出現をやがて心から喜び、大声で賞賛する彼の姿は、もっともらしい顔で教授をしていた彼よりもよほど輝いて見えます。老いや若さを越えて、新しい出発を迎えた彼らの誇らしそうな様子がなんだか爽やか。気持ちのいいハッピーエンドだと思います。
ところで赤いローブを着こんだマイケル・ダグラスは妙に可愛いかった。一番言いたかったのはそれです。
あとは・・・トビー・マグワイアの上半身があまりに色白で「たぷたぷ」だったことに薄笑いしました。
これを見ると、スパイダーマンシリーズでの彼の苦労がしのばれます・・・。







【 数字 】


 10日間で男を上手にフル方法  ★★★☆

【2003年 : アメリカ】
 監督:ドナルド・ペトリ /音楽:デヴィッド・ニューマン
 出演:ケイト・ハドソン(アンディ・アンダーソン)、
    マシュー・マコノヒー(ベン・バリー) 、
    アニー・パリッセ(ジェニー) 、
    キャスリン・ハーン(ミシェル)   他

“10日間で恋人をつくれるか”の賭けをしている広告マンと、“どうしたら10日間で男にフラれるか”を体験取材することになった女性雑誌ライターが繰り広げる恋の行方を描くラブ・コメディ。

内容はまあ、タイトルまんまです。フラれるために徹底的にオトコを振り回しコケにする主人公、アンディの無茶苦茶ぶりには見ている方も笑うやら呆れるやら。仕事のためとはいえ、それを耐え抜くベンは充分辛抱強い男でしょう。
ケイト・ハドソンがかわいいかどうかってのはよくわからんのですが、彼の実家へ出かけて以降のアンディはちょっとキュートだったかもしれない。マコノヒーは個人的に好きな方です。
どうでもいいですが、この映画のおかげで「Bull shit!」というスラングを覚えました。



 2番目に幸せなこと  ★★★

【2003年 : アメリカ】
 監督:ドナルド・ペトリ /音楽:デヴィッド・ニューマン
 出演:ケイト・ハドソン(アンディ・アンダーソン)、
    マシュー・マコノヒー(ベン・バリー) 、
    アニー・パリッセ(ジェニー) 、
    キャスリン・ハーン(ミシェル)   他

一夜の過ちで子供を得て“夫婦"になった自立した女性とゲイの男性のカップルをめぐるドラマ。
ヨガのインストラクターのアビー(マドンナ)は、子供を産む最後の機会と信じて交際した相手と別れてすっかり気落ちしていた。一方彼女の親友でゲイのロバート(ルパート・エヴェレット)も友人をエイズで亡くしたばかりで失意に沈んでおり、慰め合うふたりはカクテルを飲み過ぎた勢いで一夜を共にしてしまう。
しかしこれが元でアビーは妊娠。ふたりは親友関係のまま、協力して子供を育てることを決めた。
こうして生まれた息子サム(マルコム・スタンプ)はやがて6歳に。お互いに息子への愛情を注ぎながら平穏な生活を営んでいたふたりだが、アビーがN.Y.の銀行投資家ベン(ベンジャミン・ブラット)と恋におちたことで事態は急変してしまう・・・。

マドンナはともかくべっぴんでした。しかしながら ・・・なんか、途中までは結構楽しめたのですが・・・アビーの選んだあの結論は果たしてどうなのか・・・。
そもそもの話、実際どうなの? 酔った勢いだからって、ゲイは本当に女の人を相手にできたりするもんなの? それができるくらいなら本当はバイなんじゃないの?・・・という疑問はつきません。
アビーの前半の物分かりの良さが後半のロバートへの要求につながるのだとしたら、ロバートの立場ってものすごーくかわいそう。イヤイヤ、そうだよ、実際の血のつながりを考えたらアビーはひどいやつだよ。
というわけで私はロバートの味方です。
すごくいいやつなのに、親友のアビー(あれがほんとに親友なのかい?) に結局振り回されちゃって、でも息子のことがかわいくて仕方ない男の悲哀がしみじみ伝わってきました。それにしてもまたこんな役かルパート・エヴェレット。カミングアウトするとやっぱこういう役回りが増えてしまうのね・・・・。
しつこいようですが、私はロバートの味方ですよ。負けるなロバート。頑張れルパート。(間違い)



 25年目のキス  ★★★☆

【1999年 : アメリカ】
 監督:ラジャ・ゴズネル /音楽:デイヴィッド・ニューマン
 出演:ドリュー・バリモア(ジョジー)、
    デイヴィッド・アークエット(ロブ) 、
    ジョン・C・ライリー(ガス) 、
    ミシェル・バルダン(サム)   他

高校に潜入取材することになった、冴えない25歳の女性記者の大奮闘を描くラブコメディ。
ジョジー(ドリュー・バリモア)は名門新聞社のコピー・エディター。真面目で仕事の腕前は申し分ないが、イマイチダサい。高校時代は「醜い」といじめられ、これまでの25年間、男性とつき合ったこともなければキスされたこともないありさまだ。
そんなジョジーに念願だった記者の仕事のチャンスが訪れる。しかしそれは、高校に潜入して今どきのティーンの実態をレポートするというもの。変装したジョジーはなんとか高校生活に馴染もうとするが、相変わらずのセンスのなさで人気者たちにはバカにされ、前途は多難だ。果たして彼女の記事はものになるのか・・・?

これはまさにドリュー・バリモアを楽しむための映画だと思います。高校時代のダサいジョジーの姿ときたらものすごい出来。あそこまでやってこそのコメディエンヌなんだろうなー。
あと、彼女が学生たちの集まるクラブにいそいそと入り込むシーンがあるんですが、そこで音楽に合わせながら妙なリズムをとって歩いていくジョジーがたまらなく可愛くておかしいのです。あのダンスがやたら気になる。こういうちょっとした仕草とかとぼけた表情がドリュー・バリモアほんとにうまいと思いますね。
ストーリー自体はすべからく予定調和でして、収まるべきところに収まるという感じ。
ジョジーがこっそり好意を寄せる英文学の教師サム(ミシェル・バルダン)はなかなか優しげです。ある意味毒にも薬にもならんタイプですが、なにせこれはドリュー・バリモアを楽しむ映画なのでそれくらいで良し。
つらくて嫌な思い出しかなかった高校時代を(かなりムリヤリ)やり直したジョジーが、夢から覚めるようにして現実の仕事に戻ってきたとき、すっかり垢抜けた女性に変身しているのがステキです。



 28DAYS  ★★★☆

【2000年 : アメリカ】(劇場未公開)
 監督:ベティ・トーマス
 出演:サンドラ・ブロック(グエン)、
    ヴィゴ・モーテンセン(エディ) 、
    スティーヴ・ブシェミ(コーネル) 、
    エリザベス・パーキンス(リリー)   他

アルコールに溺れる都会暮らしの女性が、人里離れたリハビリセンターで過ごす28日間をコミカルに描くヒューマン・ドラマ。

サンドラ姉さんの芝居はやっぱり無難だ。失敗がないよね。作品選びという失敗はたまにあるけどね。
この映画は自己再生と家族愛、希望と現実、コメディとシリアスなどの要素がうまい配分で掛け合わされた良質なドラマだと思います。ストーリー、設定共に派手さはないけど堅実。
ドラッグ中毒兼セックス中毒のプロ野球選手ヴィゴ・モーテンセンというのもなかなか見モノで、あのダメっぷりはちょっとかわいくもありました。まさか彼の半パン姿を拝めようとはね。(笑)
他にもコメディパートを一手に引き受けるアラン・テュディックや、世にも珍しい善人のスティーヴ・ブシェミなど、キャラクターの立ち方がうまかったと思います。劇場未公開のわりにはDVDがそこそこ出回ってるあたり、地味ながらもそれだけ支持のある作品なのかなーとかいう気もしてみたり。
ロマンスの要素は本当に最低限にとどめ、あくまでヒューマン・ドラマとしての色合いが全面に出ている一品です。最後に出てくるアラン・テュディックの犬とTシャツが好きだ。



 60セカンズ  ★★★☆

【2000年 : アメリカ】
 監督:ドミニク・セナ /音楽:トレヴァー・ラビン
 出演:ニコラス・ケイジ(メンフィス)、
    アンジェリーナ・ジョリー(スウェイ) 、
    ジョヴァンニ・リビージ(キップ) 、
    クリストファー・エクルストン(カリートリー)   他

24時間で50台の高級車を盗み出す車泥棒の活躍を描くカーアクション。
高級自動車専門の窃盗をしていたメンフィス(ニコラス・ケイジ)は今では足を洗って子供相手にカートレース場を経営していた。そこへ昔の仲間がやってきて、メンフィスの弟キップ(ジョヴァンニ・リビージ)の命が危ないと告げられる。兄に憧れたキップが車の窃盗に手を染めたものの警察に見つかり、地元を牛耳るカリートリー(クリストファー・エクルストン)の怒りを買ってしまったのだ。本来ならカリートリーを経て船積みされるはずだった高級車50台を出航までに集め、積み込まなければキップの命はない。
そこでメンフィスは昔の仲間を集め、再び昔の家業をすることに・・・。

いやーおもしろかった。ニコラス・ケイジって素の顔は何とも思わないのに、芝居してると「なんかカッコイイかも・・・?」とか錯覚しますね。錯覚?失礼な。
クールなアンジェリーナ・ジョリーもステキだし、仲間たちのプロっぽい仕事ぶりもイカス。刑事もいい奴。
そのうえ何げない兄弟愛なんかも潜んでたりしてにくたらしい。(笑)
なんたってカーアクションは拍手物です。車好きはあのエンジン音がたまらないんだろうな。車のことはさっぱりわかんないけどあの絵面にはホレボレでした。緊迫したスピード感と派手なアクションが愉快爽快な一本です。