ウェディング・バンケット  ★★★★
【1993年 : 台湾・アメリカ】
 監督:アン・リー/音楽:メイダー
 出演:ウィンストン・チャオ(ウェイトン)、
    ミッチェル・リキテンシュタイン(サイモン)、
    メイ・チン(ウェイウェイ)、
    グア・アーレイ(母)、
    ラン・シャン(父)  他
    ※【現在VHS発売のみ】

台湾からアメリカに帰化した青年とアメリカ人青年のゲイカップル、そしてグリーンカードが欲しいためにその台湾人青年と偽装結婚することになった上海出身の娘が繰り広げる騒動をあたたかく描くコメディ。
ウェイトン(ウィンストン・チャオ)は数年前にニューヨークに渡り、市民権も得ている台湾出身の青年。なんとか不動産業のビジネスも成功させて、白人のボーイフレンド、サイモン(ミッチェル・リキテンシュタイン)と同棲していた。彼が管理するアパートには市民権を欲しがっている中国人娘ウェイウェイ(メイ・チン)がおり、ウェイトンに好意を寄せているのだが、ゲイである彼には彼女の気持ちに応えることなどできようはずもない。また息子の性癖を知らず、いつまでたっても結婚しない我が子を心配した母親が台湾からしつこく持ちかけてくる見合い話も悩みの種だった。
そんなある日、父の健康が思わしくないとの知らせをうけたウェイトンは、ともかく両親を安心させるべきだというサイモンの勧めでウェイウェイとの偽装結婚を決心する。これでウェイウェイもグリーンカードを得ることができ、一石二鳥というわけだった。ところが、事情を知らない両親は息子の花嫁を一目見るべく、なんとニューヨークまで息子を訪ねてくるという。大慌てでその準備に追われる三人だったが・・・。

ゲイのカップル二人と女が一人、という組み合わせの作品が多々ある中で、個人的には一番受け入れやすいというか、好きになれた映画です。中心にいるのはもちろんその三人なのですが、そこに主人公の両親が加わることによって、ほかの作品にはない深みや、家族をとりまく情愛が優しく漂っていたように思いました。
また、彼らが偽装結婚という手段を取らざるをえなかった要因として、アジア人がアメリカで暮らすということの現状を細かく見せるあたり、コメディとはいいながらもそれなりのリアリティを感じさせます。
特定の民族文化による婚礼のドタバタを描く作品では、「マイ・ビッグ・ファット・ウェディング」を見た時に世界の伝統様式というのは本当に多彩なもんだなァと感心したのですけど、ここに出てきた中国式もこれまた豪華絢爛。やはり披露宴をおろそかにすることは親不孝になるのですねえ。式が終わる頃には主役であるはずの新郎新婦が一番グッタリきているところがおかしい。・・・まあ彼らの場合、疲弊要因は他にもあるわけですが・・・。
サイモンとウェイトンというカップルの中にウェイウェイという娘を交えて起こる一連の騒動は、傍から見るとまったく滑稽です。でも、ただ笑い飛ばせるようなおかしさではありません。なぜならその滑稽ぶりは、彼らが家族や愛する相手を傷つけまいとそれぞれ心を配っているからこそ起こるすれ違いだとわかるからです。
お互い相手を思いやり、気が付くとそれが空回っている。現実にもよくあることです。家族や恋人たちはそうやって善意の嘘をつき、相手が嘘をついているとわかっていても黙っていたりする。そのおかしみとあたたかさを、アン・リー監督は在米アジア人という模型を使ってうまく描き込んでいるように感じました。
さて、物語が終わる頃にはそれぞれがちょっとした秘密を抱えたつもりの五人。実は事情をなにもかもを知っているのはそのうちの二人です。それが一体どの二人かというあたりが、実はこの作品の一番洒落ているところだし、微笑ましい部分ではないかなあと思います。



 ウェールズの山  ★★★★
【1995年 : イギリス】
 監督:クリストファー・マンガー
 音楽:スティーブン・エンデルマン
 出演:ヒュー・グラント(レジナルド・アンソン)、
    タラ・フィッツジェラルド(ベティ)、
    イアン・マックニース(ジョージ・ガラード)、
    コーム・ミーニー(モーガン)、
    ケネス・グリフィス(ジョーンズ牧師)  他

第一次大戦後の英国ウェールズの小村を舞台に、ある丘を“山”として地図に載せるため奮闘する人々の姿を描いたコメディタッチのヒューマンストーリー。
1917年のある日曜。ウェールズのとある小村をジョージ・ガラード(イアン・マックニース)とレジナルド・アンソン(ヒュー・グラント)という二人のイングランド人が訪れた。彼らは国から派遣された技師で、その地の“山”、フュノン・ガルウの測量にやって来たのだ。
フュノン・ガルウは、村を歴年侵略者から守ってきた村人たちの誇りである。だが測量の結果、フュノン・ガルウの標高は299メートル、“丘”に過ぎないことが分かり、村は騒然となった。“山”と認められるには、305メートルの標高が必要なのだ。村人たちは集会所で話し合い、ついに“丘”を“山”にするための大作戦が決行される・・・。

ともかくほのぼの。心あたたまる作品です。(ジャケット写真はナゼか微妙に怖いですが・・・)
何がいいと言って、村の誇りであるあの“山”を絶対地図にのせようと一致団結する村人たちの姿がたまりません。彼らが頑張るのは、ただ1枚の地図のため。けれどもそれは、ウェールズの住人として先祖や子孫のためにどうしてもやり遂げなくてはいけない大仕事だとみんなが信じているのです。
ヒュー・グラント演じるアンソンは、元来の穏和な性格が災いしてか当時の英国戦線から離脱した青年で、測量技師としてこの村に派遣されてきますが、村人たちがあまりに山のことで一生懸命なので戸惑い気味です。技師にとっては丘でも山でもたかが紙の上の一角にすぎません。しかしアンソンは次第に、彼らの懸命な姿にほだされていきます。おそらく、彼の性分がそもそもこの村の素朴さに合っていたのでしょう。村人たちのユーモアや小さな悪知恵には、見ている側も随所でくすくすと笑ってしまいます。
大作戦と銘打って、子どもからお年寄りまでのすごい人数が土の入ったバケツを携えてざくざくと丘をのぼっていく光景がなんともいえず印象深い。トーチを持った夜のシーンもとてもきれいでした。
この映画の原題はズバリ、「丘を上り、しかし山から下りてきた英国人」。うーん、洒落てる!



 海辺のレストラン/ガスパール&ロバンソン  ★★★★
【1990年 : フランス】
 監督:トニー・ガトリフ/音楽:ミシェル・ルグラン
 出演:ジェラール・ダルモン(ガスパール)、
    ヴァンサン・ランドン(ヴァンサン・ランドン)
    シュザンヌ・フロン(ジャンヌ)、
    ベネディクト・ロワイアン(ローズ)  他


【現在VHS発売のみ】

社会からはみ出してしまった不器用な人々が、ある家に寄り添う姿をあたたかく描いたハートフルドラマ。
南仏プロヴァンス。共に失業中の親友ガスパールとロバンソンは、二人で軽食堂を開くことを夢見て日々浜辺の廃屋を修理している。妻に去られたガスパールは今や家族の絆にはうんざりしているが、幼い頃母親に捨てられた記憶がいつも心に引っかかっているロバンソンは、困った人を見るとどうしても放っておけない。
ある日またしてもロバンソンは、家族に置き去りにされ道で途方に暮れていた老婆を連れ帰ってしまった。
相棒の懲りない慈善体質に呆れ返るガスパールだが、しぶしぶながらも三人の生活が続いていく。
そして食堂の開店準備も大詰めとなった中、ロバンソンは生活に困ったある母娘に目をとめた…。

いい年(それもかなり)をしてその日暮らし、修理中のカラフルな椅子やテーブルの山に埋もれながら、レストラン開業を目指してせっせとボロ家を修復する二人の生活は、傍目にはどことなく浮世離れして見えます。
動物だの人間だのをすぐ連れ帰るロバンソンの悪癖にガスパールはしょっちゅう怒り、取っ組み合いのケンカをし、そのくせあっと言う間に仲直りし、夜中には金持ちの家に忍び込み、図々しくもテーブルセッティングまで済ませてディナーをいただく。そして朝が来れば、二人はまた一緒にレストラン作りに精を出すのです。
妻に去られた心の傷が今も拭えず、もう家族なんてまっぴらだと言い張るガスパール。
かたや、子どもの頃に失った親しい人との絆を今でも無意識に求めているロバンソン。
しかしロバンソンが誰かを拾ってくるたび最初は嫌がるガスパールは、一旦受け入れてしまうと彼女らに対して限りなく優しいのですよ。そして不思議なことに、彼女たちもまたガスパールをとても慕います。最初にやってきた、かなりドジだけど美人でとっても可愛いおばあちゃんも、彼に助けられたローズ母子(あの娘役の小さい女の子は演技とは思えないほど何もかも自然で上手かった。)も、むしろ拾い主であるロバンソンよりガスパールの言動をより強く意識していて、それはロバンソンがうっかり拗ねるほど。
口ではとんと無愛想なガスパールなのに、なにゆえそんなに好かれるのでしょう。
それはやはり彼もまた、心に押し込めた淋しさや人恋しさが隠しきれずに滲み出ている男だからに違いありません。そしていつも犬コロのように懐いている相棒のロバンソンさえ、よく似た理由で彼に惹かれているのかもしれないのです。

やがて海辺のレストランには、社会の輪から外れてしまった人々による擬似家族のようなものができあがります。たとえ擬似だったにしても、おそらくそれはロバンソンがずっと求めていた光景だったことでしょう。
そんな彼らの様子を眩しげに、そっと見守るガスパール。物語の終わりはちょっと淋しいけど、彼の隣にはそれこそ、犬コロのように懐く可愛い相棒がいますからね。
出てくるのはごくごく平凡な人たちなのに、だからこそ伝わるあったかいぬくもりと、さりげない優しさにあふれた小さな世界。本当に、ほのぼのしんみり、といった感じのすごくいい映画でした。



 A.I  ★★★
【2001年 : アメリカ】
 監督:スティーヴン・スピルバーグ/音楽:ジョン・ウィリアムス
 出演:ヘイリー・ジョエル・オズメント(デイヴィッド)、
    ジュード・ロウ(ジョー) 他

愛という感情をインプットされた最初の少年型次世代ロボット・デイヴィッドの心の旅を描く作品。
今や主役級の人気者ジュード・ロウがうっかりジゴロ・ロボットやってたりして。確かにロボットっぽいよナあの顔は。
これはちゃんと映画館に見に行った作品で、すごいお金もかかってるし思い入れもあるんだろうし、よくできてるなあとは感心したんですが、ともかく長い。途中で「あ、ここで終わりなのかな」と思わせるシーンがあって、しかし実はそこからまだまだ続いてた。その心理的ワンクッションが非常にマイナス要因でした。
正直に言ってしまうと、ストーリーの細かい展開はいまではもうあんまり覚えてない。結論としては、ロボットと人間社会の融合は、現時点で考える限りムリ!ということなのかしら・・・。
夢の中にしか幸せを見つけられなかった、ロボットという生命体のうっすら悲しい印象が残ってます。



 永遠のマリア・カラス  ★★★☆
【2002年 : 伊・仏・英・ルーマニア・スペイン】
 監督:フランコ・ゼフィレッリ/音楽:アレッシオ・ヴラド
 出演:ファニー・アルダン(マリア・カラス)、
    ジェレミー・アイアンズ(ラリー・ケリー)、
    ジョーン・プロウライト(サラ・ケリー)、
    ジェイ・ローダン(マイケル)、
    ガブリエル・マルコ(マルコ)  他

伝説の天才オペラ歌手、マリア・カラスの生誕80周年を記念して製作された音楽ヒューマン・ドラマ。
亡くなる前の数ヶ月間に焦点を当て、晩年のマリア・カラスが仲間の支えによりかつての栄光を取り戻そうとする姿をフィクション交えて描く。
1977年。かつてその美声と美貌で名を馳せたマリア・カラス(ファニー・アルダン)は、今ではその歌声も失い、愛する夫でギリシャの大富豪オナシスも亡くした失意の中、パリで隠遁生活を送っていた。
そんなある日、彼女のもとにかつての仕事仲間であり友人でもあるラリー(ジェレミー・アイアンズ)が訪ねてくる。彼は有名なプロモーターで、カラスの全盛期の録音を使い、彼女主演の新しいオペラ映画を製作する企画を持ってきたのだった。最初は戸惑い、そのオファーに反発するカラスだったが、歌を捨てきれない彼女の中には次第にあの頃と同じ情熱が甦ってくる。作品は、今までに演じたことのなかった歌劇「カルメン」。
カラスは残された情熱をすべて注いでカルメンを演じるのだが…。

カラス本人と親交のあった監督が「もしもこんなことがあったなら」という仮定に実際の思い出を織り交ぜて作ったそうです。しつこいようですがファニー・アルダンかっこいい。世界に名を残した一流歌手の強さや悲しみやプライドがヒシヒシと迫ってきます。芯の強い女は、本当に苦しい時こうやって泣くんだなあとか、そういうことをしっかり見せてくれる女優さんです。
さて、加齢とともに喉の衰えを感じ一旦はオペラ界から身を引いたマリア・カラスは、この物語の中では親友に再び舞台へ立つよう説得されます。その親友というのがかつての仕事仲間でプロモーターのラリー。彼女とは気の置けない仲ですが、ゲイなので恋愛関係にはありません。
自分自身も生き方に迷い、情熱に任せた激しい口調で人を罵ることもあるくせに、彼のような男性が肩を落としているとすごく達観した、穏やかなまなざしを向けるカラス。それも一種の母性なのかなあと思わせる、深い優しさです。
そんな彼女が一転、カルメンを演じる凛々しさは大変見応えがありました。私がカルメン好きということもありますけど、あのメロディを聴くだけでなんだか心が浮き立ってきます。そのほかにも美しい音楽がたくさん使われていて、さすがに音楽ヒューマン・ドラマと銘打つだけはありました。
ところで、ラリー氏のボーイフレンド、マイケルくんを演じたジェイ・ローダンはやたらキルスティン・ダンストに似てると思ったのは私だけ?



 X-メン  ★★★☆
【2000年 : アメリカ】
 監督:ブライアン・シンガー/音楽:マイケル・ケイメン
 出演:ヒュー・ジャックマン(ローガン)、
    アンナ・パキン(ローグ)、
    パトリック・スチュアート(チャールズ・エグゼビア)、
    イアン・マッケラン(マグニートー)、
    ファムケ・ヤンセン(ジーン)、
    ジェームズ・マースデン(サイクロップス)、
    ハル・ベリー(ストーム)  他

社会から疎外されたミュータントたちの苦悩と闘いを描くSFアクション。
200X年、 人類は新たな「差別法案」の立法化をめざしていた。それは、DNAの突然変異により超人的パワーを生まれ持つ“進化した人類”<ミュータント>を、社会から合法的に迫害するというもの。
人類とミュータントの共存に希望を持っているチャールズ・エグゼビア教授(パトリック・スチュアート)は、X-メンというミュータント・チームを組織していたが、ミュータントが人類を支配すべきだと主張するかつての友、マグニートー(イアン・マッケラン)とは全面対決を余儀なくされる。
過去を亡くした一匹狼のミュータント、ローガン(ヒュー・ジャックマン)と少女ミュータントのローグ(アンナ・パキン)は、マグニートーの手下に追いつめられているところをエグゼビア教授のチームに救われ、共にマグニートーに立ち向かうことに。果たしてミュータントの未来は守られるのか・・・?

ヒーローアクションものってあんまり見ない方なんですが、たまに見ると結構おもしろい。最近のCGはよくできてるなあと感心しました。
ローガン役のヒュー・ジャックマンはこの作品で大ブレイク。なんだか顔も体臭も濃ゆい感じの風貌です。
あと美しきハル・ベリーがねー。髪も白いし場面によっては目も白い。(これがちょっと怖い。)
イアン・マッケランは恐ろしく元気なジイサンです。憎まれっ子は世にはばかるのだ。
まあ本作はまだ序章ということで、様子窺いな部分もあります。 掴みとしてはOKな感じ。



 X-メン2  ★★★☆
【2003年 : アメリカ】
 監督:ブライアン・シンガー/音楽:マイケル・ケイメン
 出演:ヒュー・ジャックマン(ローガン)、
    アンナ・パキン(ローグ)、
    パトリック・スチュアート(チャールズ・エグゼビア)、
    イアン・マッケラン(マグニートー)、
    ファムケ・ヤンセン(ジーン)、
    ジェームズ・マースデン(サイクロップス)、
    ハル・ベリー(ストーム)、
    ブライアン・コックス(ストライカー)  他

マグニートー(イアン・マッケラン)による人類抹殺計画を未然に防ぎ、彼を囚われの身とすることに成功したチームX-MENは、無意味な争いを集結させたかに見えた。しかし新たに出現した謎の襲撃者によって、事態は更に混迷の度合いを深めていく。
新たな運動の先頭に立ったのは、元陸軍司令官で、ミュータントへの生体実験を噂されている大富豪、ストライカー(ブライアン・コックス)。彼こそが、かつてローガン(ヒュー・ジャックマン)の骨格にアダマンチウムを埋め込んだ男なのだ。失った過去に少しずつ近づいていくローガン。その実験の裏に隠されたストライカーの真の目的とは? 能力者同士の衝突は一般市民をも巻き込んだ惨劇となり、ミュータント登録法案を求める政治運動や世論を一気に呼び起こす・・・。

てなわけでシリーズ2作目。
やっぱりこっちの方がドラマ性が増してて面白かったです。CGもさらにレベルアップしてるし。何も考えずに楽しむことが基本の娯楽作品としては非常に熱心な作りではないかと思います。
ミュータントといえど心は人間と同じ、悩みもするし誰かに受け入れて欲しいと願っている、というテーマがわりとわかりやすく描かれているシリーズなので、ストーリーに迷いがありません。主にローガンを中心として、ローグとの父娘のような関係、ジーンとの淡い恋模様、恋敵サイクロップスとの対立、敵であるはずのストライカーへの不可思議な郷愁など、キャラクターの動かし方もなかなかよくできてると思います。今回はハル・ベリーもちょっと活躍するしね〜。
流れとしては明らかに続編への含みを持たせているようですが、製作は諸事情(出演料とか出演者の不和などのアレコレ)により少々難航している模様。どうにか乗り越えて続きも頑張ってほしいものです。



 NYPD15分署  ★★★
【1999年 : アメリカ】
 監督:ジェームズ・フォーリー/音楽:カーター・バーウェル
 出演:チョウ・ユンファ(チェン)、
    マーク・ウォールバーグ(ウォレス)、
    リック・ヤング(ヘンリー・リー) 他

チャイナタウンに巣食う悪に挑む刑事たちの姿を描くサスペンス。
ニューヨーク、チャイナタウンの犯罪を取り締まるNYPD15分署。連続女性ダスト殺人事件を追うベテラン刑事チェン(チョウ・ユンファ)は、着任したての白人の新人刑事ウォレス(マーク・ウォールバーグ)と組むことになった。だが、チャイナタウンの事情を何も知らないウォレスをチェンはまったくアテにしていない。
実はチェンはチャイニーズマフィア最大の組織「トン」の長であるヘンリー・リー(リック・ヤング)とひそかにつながっているのだ。それはチェンがこの犯罪都市で警察官として日々を生き抜くための術だった。
初めはお互いに相容れない二人だが、共に事件を追ううちにわずかな信頼も生まれ始める。しかしウォレスは元刑事の父が作った借金が元で、チェンと同様リーとの腐れ縁を引きずる羽目になり・・・。

えー・・・実はこの映画はものすごく慌てて見たので、あれこれ感想書けるほど覚えてません・・・。
チョウ・ユンファってなんか演歌顔だなー・・・とか・・・そんなような・・・。
チャイナタウンのごちゃごちゃーっとした澱んだ空気と、湿度の高そうな薄暗いアジトと、ややこしくて残酷なマフィアとのやりとり。この類の警察ものってほとんど見ることないので、ついにポリスムービーにも手をつけちゃいますか私。なーんて意気込んだものの結局大して覚えてない。
ともかく男のドラマです。アクションシーンはさすがに迫力あります。友情と命がけの仕事は男の花道。
・・・てな感じでいかがでしょうチョウさん。



 M. バタフライ  ★★★☆
【1993年 : アメリカ】
 監督:デイヴィッド・クローネンバーグ
 音楽:ハワード・ショア
 出演:ジェレミー・アイアンズ(ルネ・ガリマール)、
    ジョン・ローン(ソン・リン) 他
    ※【現在VHS発売のみ】

あるフランスの外交官とその中国人の愛人の数奇な恋を、プッチーニのオペラ『蝶々夫人』になぞらえて描いた異色のラブストーリー。ブロードウェイでトニー賞に輝き、世界30カ国以上で上演されたデイヴィッド・へンリー・ホァングの戯曲(実話に基づく)を彼自身が脚色した。
1964年、北京。文化大革命の前夜、フランス大使館の外交官ルネ・ガリマール(ジェレミー・アイアンズ)は、ある夜会で見た『蝶々夫人』の主演女優ソン・リン(ジョン・ローン)にたちまち目を奪われた。一瞬で恋に落ちたルネは彼女を口説き落とし、知れば知るほどミステリアスなその魅力にますます夢中になる。
しかし彼女には、ある深い秘密が隠されていたのだった…。

<以下、超ネタバレ注意>

そういえばこれでジョン・ローンを覚えたんだよなあ。「ラスト・エンペラー」も以前に見たはずだけど、本作を見てから改めて再見したのでジョン・ローンを意識したのはこっちが先。
彼の女装はいけてるかいけてないか。私はけっこういけてると思う。どう考えても男だろ、という寒いショットも中にはあるけど、あれだけ女の仕草を仕込んでること自体すごいと思うなジョン・ローン。そして40歳にしてこの役を受けてしまう君の勇気に乾杯。
しかし「M.バタフライ」とはよく言ったもんです。彼女はまさに“ミスター”でも“ミス”でもないわけですから。これは実際に起こった事件を元にした戯曲を映画化したものだそうですが、愛し合っていながら相手の正体が男だということをずっと知らなかったフランス人が鈍いなのか、はたまた演じきったその女優(というか男優?) がうまかったのか。世の中ウソのようなほんとの話というのはあるものです。そもそも京劇ってのは男しか出てないんだよということを知らなかったのが西洋人の運の尽きという気もするね。
自身の正体を明らかにした後、ジョン・ローン演じるソン・リンが外交官ルネに迫るシーンがなかなか興味深いです。ソン・リンは、本当はルネが好きだったのかな?男としての自分も愛してほしかったんだろうか。
それにしても背広のくせにあの妙な色気はどうよジョン・ローン。そんなだからあらぬ噂を立てられるのではないのかおぬし。逆にジェレミー・アイアンズの妖しい女装は哀愁が漂い過ぎて痛い。痛苦しい。
映画のラストは悲劇で終わりますが、モデルとなった実在の二人はこの事件の後もそれぞれの人生を自分らしく生きていったようです。特にルネは男性の恋人と共に暮らし始めたのだとか。うーん、開き直ってますな。
メロドラマに仕上げたかったのだろう映画版の結末は、あくまで東洋の美に溺れたルネの陶酔に焦点を当てたもの。私としては、しぶとく生きる生身の彼らも人間ぽくていいと思います。



 エバー・アフター  ★★★☆
【1998年 : アメリカ】
 監督:アンディ・テナント/音楽:テディ・キャステルッチ
 出演:ドリュー・バリモア(ダニエル)、
    ダグレイ・スコット(ヘンリー王子)、
    アンジェリカ・ヒューストン(ロドミラ夫人)、
    ミーガン・ドッズ(マルガリート)、
    メラニー・リンスキー(ジャクリーヌ) 他

童話で有名な「シンデレラ」を、中世に実在した女性の恋の物語として描いた作品。
魔法使いもカボチャの馬車も出てこず、シンデレラことダニエルの勇気と行動力が王子との恋を実らせた、という筋書きになっています。結構金もかかってそうなセットと衣裳デザイン。 ちなみにガラスの靴はフェラガモ製だそうです。
ドリュー・バリモア演じる新しいシンデレラは、お約束通り義母姉妹に苛められつつも決して黙ったままではいない根性据わった感じがよかった。そりゃドリューだったら勘弁しねーよな、と思わせる迫力が自ずと滲み出ております。
王子は・・・ちょっと王子というには年食いすぎてるような気もするけど・・・しかし童話に出てくる王様というのは大抵初老のお方なわけで、その息子ということになりゃアレくらいの年齢なのが妥当なのかな。どうなんだろうそのへん。
アンジェリカ・ヒューストンの憎ったらしい継母ぶりはお見事でした。あれくらいやらないとね、やっぱ。その娘ふたりもそれぞれに結構キャラが立ってて面白かった。
取り立ててなにか残るというほどのことはないものの、なかなか楽しめる作品でした。
継子イジメと逆転劇、といういささか昼メロくさいシーン満載ですが、安心して見守ることのできるエンディングはラブロマンスの王道って感じです。