ただ必要な電源電圧としてはカソードバイアス分の電圧と(簡易型とする為に固定バイアスにはしない)
フルスイング時の電圧降下等を考慮して240V程度になると思います。また静電流は出力管に無理のない
範囲で多めに流しています。CSPPは高いドライブ電圧を必要とするので、バイアスが浅くなる事で少し
でもドライブ段を楽にする為です。そのドライブ段ですがCSPPでの終段の利得は2以下なので、二段ア
ンプとなるとアンプゲインのほとんどを前段で稼がねばなりません。幸いにもPCL86の三極管ユニット
は12AX7Aと同特性で、「μ」が100あり三極管としては大きな利得が得られますが、それを生かす
為にも位相反転回路はオートバランス回路か古典型位相反転回路になります。それでも得られる利得に余裕
はないので負帰還は少量しか掛けられず、負帰還による歪の減少はあまり望めないので、歪率を下げる為に
はPP上下での歪の打ち消しに期待するしかありません。と言うわけで、事前に試作機を組んでみた結果、
本機では古典型位相反転回路を採用する事としました。詳しくは次章で説明していますが、オートバランス
型の場合は、この段での歪の打ち消しが望めないからです。一方、出力段は大きなドライブ電圧を必要とす
るので、これに対応する為に前段の電源は別に高電圧電源を用意しています。
ただ一点だけ通常の位相反転回路とは違っていて、下側はカソードパスコンを入れず軽い自己帰還が掛か
るようにし、それに合わせて下側への分圧比を上げています。上下の動作が違ってしまうのですが、この定
数でACバランスが取れてしまったので、下側のパスコンは無しとしました。
という訳で以下のような回路になりました。
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