UKを知ろう


UKは東チモールに駆逐艦派遣

グルカ兵250名を国連軍へ


1999年9月18日のBBC NEWSでは、英国は東チモールへ国連が派遣する
船団に、ミサイル搭載駆逐艦グラスゴーを参加させた。
グラスゴーは国連軍駆逐艦隊9隻のメンバーとして、18日北オーストラリアの
ダーウィン港より東チモールへ360マイルの航海に出発した。
食料・弾薬を運び、現地では陸上部隊の活動を海上より支援する予定という。

これと同時に、英国は精鋭のグルカ兵250名を国連軍に派遣。国連が
首都ディリに派遣する約8000名の一部として、来週早々(20日)より治安維持
に従事するとのことである。

東チモールでは独立賛成派の人々15万人以上が、併合派勢力に家を焼かれ
食料や水さえ事欠く避難生活をしている。民間救援組織の航空機が低空飛行
して、米や毛布を投下しているが、足りていないという。
国連軍が到着するまでは全面的な支援はとても無理だろうとBBCは報じている。

英国が本国の軍隊を派遣せず、アジア人であるネパール人傭兵のグルカ兵を
派遣するのは、いささか老獪なという印象を受けた。
(もちろん勿論勇猛なグルカ兵は、英国軍隊の公然たる一員であり、かっては
香港にも常駐していたので、派遣には何ら問題はないのであるが)
もっともグルカ兵の立場からすれば、このような有事に働く為に、傭兵になって
生活をしていると、割り切っているのであろう。


東チモール問題もまた一種の現代宗教戦争である。

独立賛成派はカトリックであり、併合派およびインドネシアはイスラムである。
ポルトガルが東チモールを支配していた時代は、現地民は多数の現地宗教
アニミズム(精霊信仰)であったが、インドネシアに併合された時、インドネシア
は「イスラム、キリスト教(新教)、カトリック、仏教などの「唯一神の信仰」を求め、
現地民はカトリックを選択した。(アエラ’99.9.27)

UKがグルカ兵を送ったのは、この辺も考慮したからであろうか。
ネパール人はヒンドゥー教徒や仏教徒が多いから。



今回も日本は軍隊を派遣せずお金だけ出すという。憲法問題もさることながら
友好国インドネシアに対する配慮であろう。しかしお金だけ出して国連軍に派
遣しないという論理は、国際的にはいつまでも通用しまい。

蛇足ながら日本の報道では「国連軍」と訳さずに、「多国籍軍」として報道されて
いるが、BBCではUN troops あるいはUN-backed forcesとなっている。
もちろんThe multinational troops という表現もみられるが、文中併用されている。

「多国籍軍」という表現は主体が曖昧になり、『敗戦』を『終戦』とすりかえたような
日本のジャーナリズム独特の、気配りがあるという気がする。
もっと事実に忠実にストレートに表現した方がよいのではなかろうか。
もし反対勢力を数カ国が支援し兵を出すと、こちらも「多国籍軍」になるのだから。

東チモール問題も、国内の憲法改正問題や世界各国と付き合う多方面貿易
外交国家である日本の選択の難しさを示している。

皆さんはどう感じていますか。

UKを知ろう(目次)へ戻る

ホームページへ戻る