駐車場に車を預け、川岸に張られた大きなテントに向かう。入り口には
「ローイングクラブ・メンバーのみ入場可」と書いてある。
「お父さん、ここには入れないんじゃないの?」
「まあまかせてみなさい」
憶良氏が受付と交渉して、家族のところへ帰って来た。上着の胸には華
やかな飾りがついている。
「さあ皆、入場していいよ」
「お父さん、すごいなあ」
「あなた、どう交渉されたの」
「シッ、ちょっとお金を出すと、テンポラリー・メンバー(臨時会員)になれ
るんだ。
このリボンがその印さ。この国は弾力的に対応できるよう、うまくできてい
るよ」
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