ゴルフするならキャディから
(前頁より)



ということで諏訪村君歓迎のコンペが、セブンオークスにあるノール・
パーク・カントリークラブで行われることとなった。

ノール・パーク・カントリー・クラブは15世紀の半ば大主教の館として
建造されたノール・マンションの敷地内の庭園に作られたコースである。

英国では貴族とか金持ちの敷地内に、ゴルフ場とか自然動物園とかが
作られていることが多い。ロンドンの南の郊外になるこの辺りは、風景
も足の便も悪くないので、金持ちたちの人気を引き、とてつもなく広大な
貴族・資産家の館(マナーハウス)が幾つか点在している。

余談ながら日本の『賃貸マンション』などで使われている「マンション」は、
英語の誤用も甚だしいもので、棟割り長屋に『お屋敷』と付けたような滑
稽さがある。言語学者はこういう誤訳乱用にもっと強い態度で抗議し、
規制を求めてもいいのではなかろうか。

ノール・パークは放し飼いの鹿で有名である。広いラフにはワラビなど
の羊歯植物が生い茂っている。コースのフェアウエイには、世界各地
から集められたという鹿が沢山寝転がっている。

「日本のゴルフ場と違って自然のままですね。鹿がいるなんて感激だ
なあ」
と諏訪村君が感嘆の声をあげた。
「ここの鹿はね、素振りを見て下手だと寝そべってるってさ」




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