これがほんまの運天(?)テスト


(前頁より)


「よろしい。ではスタートしよう」
憶良氏はサッと助手席のドアを開け、丁重に試験官に着席いただく。
ジャック先生の代わりに、試験官が助手席に座り、憶良氏のスタート
の手つきをジッと見つめる。
<さあ、実技試験の開始だ!落ち着いて、落ち着いて。>

バックミラーに映っている人のよいジャック先生の心配顔が、だんだ
ん小さくなる。
「右へ曲がれ」「イエス・サー」
「3っ目の角を左折せよ」「イエス・サー」
と、だんだん調子を上げて来た。
ジャック先生のヤマが当たって、初めてのコースではなかったが、さ
すがに本番ともなると緊張する。
ラウンド・アバウトの出入りも、高架道路の出入りもうまく行った。
ところが幸運は続かなかった。商店街の大通りへ出るときに大失敗
した。

試験時間が11時開始だったから、ショッピングに来た車の駐車で、
道路際の左右の見通しが格段に難しかった。(練習で来た時にはこ
んなに混んでなかった!)
注意しながら、規定どおり「右・左・右」と見たまではよかったが、車を
進めた
途端、右から乗用車がものすごいスピードで突っ込んで来た。

憶良氏は慌ててブレーキを踏みこみ、ガックンと車を停めた。
「シマッタ!」と思ったが、遅かりし由良の助。試験官は難しい顔をし
て、チェック・シートに何かマークしている。



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