これがほんまの運天(?)テスト


(前頁より)



さて、いよいよ試験の日がやって来た。
ジャック先生と憶良氏は試験官のオフィスへ、憶良氏のトライアンフ
2000に乗って出向く。先輩から譲り受けた新車同様の中古車であ
る。スポーテイなデザインの名車として当地では人気がある。車に不
足はない。

試験官はいかにもイングリッシュという風貌で、おまけに八字髭まで
生やしている。
一応の挨拶の後、試験官を自分の車まで案内する。
試験官は車の前で立ち止まり、憶良氏の数台先に駐車している車を
指さした。

「あの車のナンバー・プレートを読みたまえ」
「GHQ581Hです」
「ではあれは?」
「GLR528Jです」

実際には、もうテストは始まっている。試験官の質問は、憶良氏の視
力の検査であった。
日本のように片目をつむって「つ」とか「て」とか「下空き」とか回答す
るのではない。いかにも費用のかからない実際的な検眼である。
この段階できちんとプレートが読めなかったために、「ハイこれまーで
ぇよ」と落第宣言されることがある。憶良氏はまずまず検眼に合格した。



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