しかし東京は家賃、土地代、物価、税金がいかにも高すぎる。
東京を国際金融センターに育てるには、経済的要因の中でまず減税
と物価に手をつけることと、憶良氏の挙げた経済外要因をもう一度見
直すとよい。
日本語というハンディはあるが、英語が第一外国語として教育されて
いる。フランス人のようにフランス語にこだわらず、英語を使うようにな
りつつある。
海外生活の経験者が増えていることも、政治が安定していることも、治
安がいいことも自信を持ってよい。
もし東京の治安が悪化していけば、日本勤務の魅力は薄れて行くので
はなかろうか。
世界各国からよい人材が集まらなくなったら、金融センターは次第にさ
びれるであろう。
というような理屈っぽい話になったが、どの角度から見てもロンドンは国
際金融都市として及第点が取れそうではないか。
ロンドンのシティは黄昏ではない。いぶし銀のように、地味に光って長
続きしよう。
と、憶良氏が滔々とぶったところ、大先輩から冷やかし発言がでた。
「憶良君、君のいたころのシティはそうかもしれないが、今はどうなの?
具体的な数字で示してよ」
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