シティはしたたか
(前頁より)



さもありなん。ここ10年間、証券・金融人は計数をあげる人が偉いと
されてきた。数字がすべてで、数字が人格のように錯覚されてきたか
らだ。

「待ってました先輩、この数字をご覧ください。紛れもなく天下のアサヒ
新聞1992年10月4日一面の記事ですよ」
憶良氏が示したのは次の数字である。
三大為替市場の一日平均取引高
           ロンドン    ニューヨーク   東京
1986年3月   900      585    480億ドル
1989年4月  1,870     1,289   1,155
1992年4月  3,030     1,920   1,280

「オッオッ、オッタマゲタナァ、憶良君。ロンドン市場は為替取引では
世界一じゃないか。金融・為替・経済はトウシロのイメージで判断し
ちゃいけないね。僕はなんとなくニューヨークが一番大きく、伸びは
東京だと思っていたんだがね」

「大方の日本人はそう思っているでしょうね。私が馬鹿馬鹿しいほど
のエネルギーで、『真実はこうなんだ』と説いているのがお分かりいた
だけたでしょう」



読者諸氏におかれても、憶良氏の「シティはしたたか」という金融為替
市場の成立根元論に同意されたであろう。


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