UKを知ろう

英国とアフガニスタン(1)

大国に翻弄される最貧国



21世紀アフガニスタンの悲劇

 20世紀は日露戦争(1904―5年)や第1次世界大戦(1914―
19年)で始まり、1990年の湾岸戦争やチチェン紛争など、まさに
「戦争の世紀」であった。

 残念ながら21世紀もまた爆破と戦争で始まった。

 アフガニスタンの国内は内乱が続き、イスラム原理主義のタリバン
がパキスタンの支援のもとに政権をとり、これに反対する北部連合と
内戦が続いていた。

 タリバン政権は偶像崇拝を禁じており、世界遺産クラスのバーミヤ
ンの大石仏を爆破し世界の人々を驚かせ、悲しませた。
この仏像の爆破があるまで、アフガニスタンは世界の大国から見捨
てられたような貧しい国になっていた。


 2001年9月11日のニューヨーク世界貿易センター・ビルと国防省
ペンタゴンへの航空機テロは、世界を震撼させた。

 このテロに対する報復措置として、アフガニスタンのタリバン勢力に
アメリカ軍の熾烈な攻撃が行われ、テロ組織を支援してきたタリバン
政権は倒れた。

 今回のテロに対しては世界の多くの国々が遺憾の意を表明してい
るが、米国の軍事力行使には国によって賛否の温度差がある。
 なにしろアメリカは世界最強の軍事大国であり、一方アフガニスタ
ンは、食料や飲み水にも事欠くような世界の最貧国である。しかもイ
スラムの国である。市民を巻き込まぬような軍事力行使が可能なの
か、誤爆などの疑問が残された。
アメリカ対テロ組織の抗争が、「悪の枢軸国」発言によって、アメリカ
対一部のイスラム国の抗争にエスカレートし、世界規模の戦乱にな
る危険性が危惧されている。



 日本の小泉首相は今回のテロを厳しく批判し、米国への協力姿勢
と国際協調を表明し、自衛隊が参加できるような具体的な法規制の
改訂に着手している。

 アメリカの軍事行動に最も協力的なのが英国UKであった。
 ブレア首相は、いち早くパキスタン往訪をはじめEU首脳あるいは
ロシアのプーチン大統領との会談などめまぐるしく行動した。

 ロシアは北部連合の軍事力行使には協力的だったが、アメリカの
軍事行動に消極的賛成のようであった。

 かってソ連はアフガニスタンに軍事侵略したが、アフガニスタン国民
の抵抗により1989年無残な撤退をしたことは、再三報道された。
この撤退が1991年ソ連崩壊の一因になったといわれている。それ
だけにロシアは複雑な立場であろう。

 今回の米テロは、イスラエル・パレスチナ紛争も絡んでいるという
見方が一般的であり、今後の帰趨は全く予断を許さない。
 テロにあい犠牲になったアメリカ国民やその他の国のご遺族や、相
次ぐ侵略と内戦と爆撃に疲弊し難民となっているアフガン国民などの
気持ちを忖度(そんたく)すると、第三者が軽軽しいことは言えない。

 紛争の当事者それぞれに言い分があろう。
したがって当HPでは、できるだけ客観的な立場で、アフガニスタンの
地勢や歴史、民族、宗教などの問題、および英国との絡みを整理し
てみよう。




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