ホームネットワーク

注:この原稿は2002年10月に執筆したものです。

WORLD PC EXPO 2002において、Tablet PCの他にキーワードの一つだったのが『ホーム サーバ』であった。ホームサーバとは、家庭内で家電製品をネットワークでつなぎ、そ れぞれが連携出来るようにする中心となるサーバーだ。

筆者の家では、数年前からサーバーでスケジュールに基づきラジオを自動録音し、MP3 へフォーマット変換、さらにそれをHTMLに登録することにより他のパソコンからインタ ーネットエクスプローラで『何月何日のどの番組』という風に一覧から参照しいつでも 聞くことができた。さらに去年にはビデオサーバの導入とネットワークの無線LAN化に より録画したテレビ番組をノートパソコンから家中どこでも視聴することが可能となっ た。そして、最近それら動画や音楽に加えデジカメで撮影した写真をテレビ画面から呼 び出すことが可能になった。

筆者はテレビのスケジュールに生活を合わせるのが好きではないので、時間があるとき、 見たいときに見るというようにしたい。そのためにいろいろ工夫して、興味のあるもの はとりあえず録り貯めておいて、時間がたっても参照しないものは削除していくという ことにしているのだ。おかげで、ラジオ・ビデオも何週間分かを一度に見聞きしたり、 1時間番組を何度かに分けることも出来るようになった。

このような事をするためには中心となるパソコンに対する知識を始めいろいろと工夫が 必要になるため簡単には構築できないし、どうしても汎用性のない手作りに近い環境と なってしまう。どれか機器を買い換えると作り直しになってしまうのだ。新しい機械を 買ってきてケーブルを繋ぐだけと言うわけにはいかない。

そこでホームサーバーを中心としたホームネットワークの考え方の出現となる。ホーム ネットワークを視野に入れた対応製品をメーカーが出し始めたことにより、このような 環境が比較的簡単に実現できるようになってきた。中にはインターネットとも連動し、 キーワードを指定したり、これまでの録画設定などよりユーザーの嗜好を学習し、自動 的にテレビ番組を録画する機能を持ったものもあるなど、これまでとは違った方向性を 持つ物もある。

そのようなホームサーバ、あるいはホームネットワークを実現するためには、決まった プロトコル−情報をやりとりするための仕組みが必要となる。そのためのキーワードは UPnP(Universal Plug and Play)だ。これまでのパソコンのPnPでは、直接パソコンに 接続された物しか検出できなかったがUPnPではネットワークで繋がった機器もお互いに 認識し通信が出来るようになる。PnPの言葉どおり繋ぐだけで認識し接続できるのだ。

現状でも例えば携帯電話で風呂を沸かすとか、テレビの録画を予約するような機器同士 のやりとりは一部実現されているが、UPnPではメーカーに関係なく接続ができ、情報の やりとりが可能となる。基本的にTCP/IPベースでのやりとりだが、電灯線にデータを流 すことでコンセントに差し込んだ電化製品同士が有機的に連動すると言うことも可能に なる。
そうすると電化製品のリモコンは機器ごとにそれぞれ存在したが、家中のすべての電化 製品が接続されると、例えばテレビの画面に状態を表示し、寝室のエアコンの温度の確 認・調節ができ、ポットのお湯の温度・残量も確認できる世界が可能となる。外出先で さえ携帯電話から玄関の施錠状態のようなセキュリティを確認することも可能だ。

残念ながら現状ではブロードバンドルータやHDDビデオレコーダーとテレビやオーディ オなど限定的な製品でしか実現されていないが、これからいろんな製品で採用されホー ムネットワーク化していくだろう。各社がどのようにこの分野に取り組んでいくか楽し みだ。

Universal Plug and Play Forumに参加しているベンダーは現在524社もある。こ のUPnP ForumにはルーターやAV機器を始めいろいろな機器の標準仕様が掲載されてい る。興味があれば参照してみて欲しい。


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