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光輪・ブロッケンの虹 glory, Brocken rainbow

光輪
“こうりん”と読みます。英語では glory です。 飛行機などに乗ったときに、雲に映る飛行機の影 (すなわち、 太陽と反対方向の点、対日点) の周りに 光環と同じように虹色の輪が現れる現象です。

光環が、太陽や月の光が直接回折して見られる現象なのに対し、 光輪は、水滴によって、来た方向に散乱 (後方散乱) された光 (ようは反射された光、と思って下さい) が回折して色づいた輪になります。 飛行機の影は、飛行機から見れば当然、太陽とちょうど反対側になり、 影のところからは光が来ませんから、 飛行機の影の背後に、影を囲むように輪が見えるわけです。 雲までの距離が遠く、飛行機の影が消えてしまった場合には、 光の輪だけが見えることになります。

光輪の形は基本的に光環と同じように“円”なわけですが、 遠くの、水平に近い雲に光輪が見えた場合には、 水平虹と同じ理屈で、 人間の目には“楕円”に見えることもあります。

飛行機からでなくとも、 高い山の峰などで、眼下に雲・霧が広がり、そこに日が差し込むと、 自分の影法師がすうっと雲・霧の奥のほうへと延び、 その周りに光輪の虹色の輪が現れることがあります。 ドイツのブロッケン山でよく見られたことから、 ブロッケンの妖怪 (The Specter of the Brocken) と呼ばれています。 正確には、 遠近感の錯覚(#1)から巨大に見える自分の影のことをブロッケンの妖怪と呼び、 その周りの虹色の輪をブロッケンの虹とよびます。 日本では、影と虹色の輪を両方合わせて、御来迎(ごらいごう)、 と呼びならわしていました。

光輪は対日点の回りに見られ、自分の影は対日点の方向に見えるものですから、 ちょうど自分の影の周りに虹色の輪が見えます。 そういうわけですから、あなたが自分の影の周りに虹色の輪を見ているときでも、 隣の人の(あなたが見ている)影の周りには、虹色の輪は現れません。 もちろん、隣の人の目から見れば、あくまでも その人自身の影の周りに虹色の輪が見えるのであって、あなたの影の周りではありません。 頭では解っていても、実際に見てみるとなかなか不思議な状況です:-)。

#1: 実際には影は、 雲や霧の近い部分から遠い部分まで連続して映っている (足元の部分の影を見ると、手前から奥のほうに延びているのがわかりやすいでしょう) のですが、 影の(上半身の)輪郭は遠めのところでしかはっきりとはわかりません。 遠近感のない雲・霧の中ではその影が実際よりも遠くにあるようにも感じられ、 しかも、影が延びているという感覚も手伝って、 巨大な人影と認識してしまいます。


関連項目

彩雲 光環

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