黒い雨

あるお正月のことです。

雨の神様の子供が、雲の上で書き初めをしていて、墨をひっくり返してしまいました。

まっ白だった雲はみるみる真っ黒になり、雨の神様の子供はわんわん泣き始めました。

すると、そこへお父さんである雨の神様がやってきて言いました。

「心配しなくても大丈夫。お父さんが雨で洗い流してあげよう」

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「うわっ、黒い雲が現れたと思ったら、やっぱり雨が降り出した。正月早々ついてないなぁ……」

「おい、ちょっと待てよ。この雨、なんだか黒くないか……?」


(C) Tadashi_Takezaki 2003