<H1>菊池鈴々の「RinRin日記」</H1>

98年10月分

それぞれタイトルのあたまにジャンルの目印をつけています
主な内容は、■本 ●漫画 ▼映像 □雑誌 ○同人誌 など

■本と●漫画は独断評価つき(5点満点:★1点・☆1/2点)
文中敬称略

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10/22


10/12


10/09


10/08(木)

水に映る月/由比まき ★★★★
『紫に抱かれて』の続編で日本舞踊もの。前作で脇役ながらいい味を出していた、美青年がメイン。
なさぬ仲の義母に育てられ、セックス接待を強要されながらも、踊りをやめることができなかった過去や、家元にひきとってもらってからの暮らしぶりなど、もりだくさん。老人の家元への性欲つきの思慕や、若い崇拝者とのこれからなど、みどころ満載。
□MAGAZINE BExBOY 11月号
のもまりのの『てんしのキッス』は主人公のひとりにそっくりな、自称息子の4歳児があらわれ、混戦もよう。みんな大阪弁でしゃべるとこがまたいいのよね。
石原理の『其は怜々の雪に舞い』は大正末期のちょっと不思議な話。五年前に失踪した小説家の新作が、美青年でへんくつな別の小説家の手によって書かれる謎を追う。事件に首をつっこむ挿し絵画家のうさんくさい態度が素敵。
□CIEL 11月号
高口里純の『叫んでやるぜ!』は、主人公にお見合いを世話するおばさまが、声優仕事の様子見にCDを買ってきて聴いてみたら、男同士の濡れ場の声だった(笑)。血管切れそうになってるぞ。いいぞいいぞ。
T.M.Revolutionが監修・協力している『JOKER』は、主人公が「タカノリ」で、あの髪で、あんなふうな服でそのまんまなのは別にいいんだけど、ほかにクレジットでは、作画・河奈マリオとなっているだけだ。じゃあ話をおこしているのは誰なの? ストーリーを考えてるのに「作画」って書かれたらその人がかわいそうだし。なんかすっきりしない。編集さんが話をつくってるのか。

10/05(月)

小説i'S(アイス) 11月号
篁釉以子の『Crash,Crash,Crash』は『プロメテウスの肝臓』に登場したヘアデザイナーが主人公の読切短編。完全に独立しているので、サイドストーリーとしてでなくても楽しめる。珍しい都会の大雪の日に転んで側溝に落ちた、という情けない状態の時に助けてくれた青年に、一目惚れしてしまう。恋人をとっかえひっかえの遊び人を自認していた彼も、自分の一途な面を発見する。自分の性癖に悩んでいた北海道出身(だから雪道に慣れていた)の大学生の素朴な誠実さに惹かれていく。野心に溢れ、目的のために手段を選ばないタイプの過去の恋人からの誘いがまた魅力的なもんだから、ついふらふらしちゃう。ちょっとどんくさい少年とやり手の青年の恋、というと『プロメテウスの肝臓』と構造が似ているかな。全体にいいムードなので、どっちの話もその後のエピソードが読みたいぞ。ぜひ短編を足して、サイドストーリーもノベルズ化してもらいたい。

10/02(金)

僕達の裏切り(泉君シリーズ4)/あさぎり夕 ★★★
泉君が大学生になってからの展開はのびのびしていて、なんだか心地よい。登場人物も増えて、セックスライフはまだまだ入り組みそう。しかし、あの人とあの人がHしてしまうとは、ちょっと意表をつかれた。
□GUST(ガスト) 11月号
はしだ由花里の新連載は、勢いがあっていい。この作者は確か白泉社では、高橋由紀ってペンネームだった。
あさみさとるの読み切りのキャラは、いかにもKinki・Kidsだった。せめて人物名は似てないほうがよかったんじゃないかなあ。

10/01(木)

ワガママごと抱きしめたい/池戸裕子 ★★★
JUNE。'94年に発行されたもの。
次々に家庭教師をやめさせているという、問題アリの高校生の家庭教師を、時給の良さに目がくらんでひきうけた大学生が主人公。高校生は別に成績が悪いわけでも素行に問題があるわけでもないのだ。性格温厚・成績優秀である双子の兄と比べられて、むくれている、という程度。なついて気を許していた幼なじみが、アメリカでの仕事のため、自分を捨てていった、というのがトラウマなのね。日々つきあっていくうちに、お互いに淡い恋愛感情を抱くのだが、どちらも素直になれないで、じたばたするあたりは、恋に不器用なかんじがでていてよい。ネタバレで申し訳ないけど、後半のレイプ事件は、未遂であっても不自然じゃない話なのに、二回もされちゃうのが不満だし、その事件の被害者の心の痛手の扱いが、軽すぎて説得力がないのが残念だ。

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