<H1>菊池鈴々の「RinRin日記」</H1>

96年10月分

それぞれタイトルのあたまにジャンルの目印をつけています
主な内容は、■本 ●漫画 ▼映像 □雑誌 ○同人誌 など

■本と●漫画は独断評価つき(5点満点:★1点・☆1/2点)
文中敬称略

INDEXに戻る


10/31(木)

■未明の家 建築家探偵桜井京介の事件簿/篠田真由美 ★★★☆
ミステリ。前髪で顔を隠している美貌の青年(専門は建築)と、本名を隠しているわけありの美少年と、アウトドア派の熊男タイプのトリオが事件にかかわる話。
美形がらみの描写部分のためか、全体があざとい印象になる。でも、そこの部分にこだわりがあってあえてそうしているんだろうから、そこはまあ、おいとこう。こうまで同人誌くさくしなくてもいいような気がするんだけどな。私が言っても説得力ないか(笑)。
「建築家探偵」というコンセプトが楽しい出来。
注意
以下は細かいことなので未読のかた向きではないコメントです。
四女の行動で、本を別荘に返してくれって頼むのはちょっと腑に落ちない。自分で行けよ。ただ変なだけでオチはなかった。ミステリ読んでる時は不自然な言動をされると、ウラがあるのかと思うじゃんか。
「名探偵、皆を集めてさてといい」の直前に主人公がかけていた電話の相手も意図も不明なまま。あんな場面で思わせぶりな会話をしてたから、その後の流血シーンではてっきり狂言なのかと思っちゃった。あの電話はなんだったの。
ラストの、「僕はいらない子供なんだ症候群」のおやじ(51歳)の心のわだかまりをやわらげるスペイン語のネーミングのオチも、会話の相手がスペイン文学研究者でさえなければ、説得力あったのに。スペイン語に不案内な私みたいな。
小説の中に流れる、ミステリへの思い入れのような言い回しが目立った。北村薫の小説の円紫師匠のせりふにあった「知」と「情」のくだりを思い起こさせるところとか。
●あずきちゃん(3)/秋元康・木村千歌 ★☆
この巻から中学生。恋になりかけの微妙な心がすんなり描かれているが、もうちょっと「ひっかかり」のある事件がほしいところ。

10/30(水)

□小説花音倶楽部 12月号
池戸裕子のサラリーマンJUNE、好調。
天花寺悠の学園ものも素直に楽しめる。
白城るたの「リヴィエル&タカミ」シリーズは日本が舞台のサービス短編で、これも犯罪がらみ。
四谷シモーヌが小説デビュー。挿絵が不破慎理というのも意外とあっていた。
□HANAOTO DX Super vol.1
既にある『HANAOTO DX』の増刊で漫画誌。1作のみ小説あり。よりHにということなのかな。違いがよくわかんないや(笑)。今回は「SM特集」ということだけど、いつものことながら特集がなんだろうと関係ないかんじの作品が多い。SMテーマのエッセイ3人分がそれらしくてよかった。

10/29(火)

●いしいひさいちの問題外論(9)/いしいひさいち ★★★★
これと『DOUGHNUTS BOOKS』とで、どの漫画をどっちに収録するのか、その判断基準を誰か知ってますか。
●虹のナターシャ(3・4)/林真理子・大和和紀 ★★★★
戦争に流れていく時代の中、ロシアの歌姫と日本の華族との間のハーフで、上海育ちの女の子の、恋と音楽を愛する心を描くストーリー。

10/28(月)

□小説 麗人 VOL.5
この雑誌はわりと読了率が高い。中身もしっかりしていると思う。最近の私は読切が好きな傾向にあるかも。長編はあとでまとめて読もうかなー、とかいって読み飛ばしたりするし。
ヴィーナス アンド マーズ/木根尚子 ★★★★
レーサーと俳優のJUNE。お互いの仕事柄、逢える時間も限られている隠れた恋ってやつです。今回のエピソードでは、レースのほうは打ち合わせとかばっかりで、いい場面は特にないけど、俳優のほうは映画の仕事ぶりが、これからいっそう伸びる役者として描かれている。「笑っていいとも!」のエンディングのゲストとして二人の仕事がバッティングするとこなんか、それっぽくて楽しかった。
●イマジン(4)/槙村さとる ★★★★☆
はじめのうちは『おいしい関係』に比べて地味かなと思ったけど、ますますいい感じ。母親の妊娠と、恋人が転勤して遠距離恋愛になっちゃってバタバタしている中で、悩んで泣いてる主人公が素直でかわいい。例によって、母のセリフはシンプルで力強くていい。
●世紀末ラヴァーズ/石井まゆみ ★★★☆
昔、姉の恋人だった男と大学で再会。彼と姉の恋路を妨害した負い目を持つ主人公が、大学で新たにできたパワフルな友人達からの影響もあり、自分の意志を言えるようになっていく。話は面白いんだけど、こりゃあとでタイトルと中身が一致しないよ、関係なさすぎて(笑)。
●新世紀エヴゥンゲリオンコミックアンソロジー2/アンソロジー ★★★
●レイの秘密 新世紀エヴゥンゲリオンパロディ競作集/アンソロジー ★★★
●現在弐号機移送中/アンソロジー ★★★
●警告参号機暴走中/アンソロジー ★★★
どれがどんなだったか、印象の違いを思い出せない。シリアスよりはギャグが多い。レイやアスカにぼんのーする、カヲルくんにぼんのーする、碇司令にぼんのーする、が多い気がする。シンジは全体にみんなのオモチャ扱いですね。

10/26(土)

奴隷城/高月まつり ★★★
JUNE。タイトルほど派手な中身ではなかった。戦後の混乱期が舞台。元家族の小説家が、逃げてきたらしい「犬」として飼われていた少年を拾う。小説家自身の本来の残酷さと、少年の無知ゆえの愛らしさの対比が、きわどくもラブストーリーとして成立している。元軍医と元殺し屋の友人の壊れ具合も微妙で、憎い出来だった。ラストあたりの無用の殺人が不愉快だった。あの部分がないほうが私はよかった。まあ、あれが作者の美学なんだろうなあ。ああまで女性嫌悪をあからさまにしなくても…。

10/25(金)

□小説JUNE 12月号
新人じゃなくてプロの別ペンネームじゃないのかと話題をまいた(後のインタビューで本人が否定している)、剛しいらの『ボクサーは犬になる』がGOOD。医者に薬物を使われ、拉致監禁強姦される若きボクサーの心が医者に傾いてゆく道筋を語る。孤独の重さが切ない。
浦辺朱『月に続く道』は、殺人とカニバリズムと愛情が入り乱れた、壊れた男の物語。壊れたまま社会にとけこんで生活している姿が哀しくもリアル。
■姫君と婚約者(2〜4)/高遠砂夜 ★★★☆
無国籍ファンタジー。並外れて優れた能力を持った、長命有翼族の生き残りの魔法使いと、おてんば姫の物語。言葉少ない魔法使いと、ちょっとはた迷惑なまでににぎやかな(笑)若い少女が、次々とトラブルに合う。時間を操作する魔女の仕掛けた罠のエピソードが過去の魔法使いとの出会いを含めて、綺麗な出来。
●炎の蜃気楼(ミラージュ)(1〜2)/桑原水菜・浜田翔子 ★★★
原作にわりと忠実に、文庫の一冊目からスタート。文庫スタート当時は、転生アクションだと思ってたんだよなあ…、と遠い目をしたりして。漫画にするにあたって、直江なんか、しっかりよこしまを隠した含みの表情とかを描けるから、どうしてもニュアンスは違うよね。

10/24(木)

●セフィロトII〜IV(完)/篠原烏童 ★★★
イリーガル・メサイア現代編は終了。不完全燃焼で苦しい。掲載誌『ハロウィン』の休刊が痛かったのかも。200ページもの加筆・修正はたいしたものだけど、ぴしっとした印象が残らなくて残念。ただでさえ、救世主テーマの現代物って難しそうだもんね。
炎恋記/森福都 ★★★★
中国風架空異世界ファンタジー。ちょっぴりJUNE風味。盲目の桜琴の名手という美青年が主人公。盲目ながら「通視」という不思議な能力を持つ。彼の能力を理解し、親身に育ててくれた姉が隣国に嫁いでしまい、彼の人生は大きくゆらぐ。古代火器を復活させた亡命科学者の野望が火種になり、姉の夫が政府要人であることもあり、彼自信の特殊能力の使用を要求され、三国間にまたがる軍事トラブルにどっぷりまきこまれてしまう。
けっこうブ厚いけど面白い。未解決のエピソードもあるが、これ以上厚くはしづらかっただろうしなー。講談社のホワイトハートは字がいっぱいで厚い本も小野不由美がいけてるおかげか強気でいくのか。いいことだ。
●花束は誰のもの/七瀬かい ★★
JUNE短編集。一部連作。古い同人誌からの収録もあり、絵柄が変るのがよくわかる。

10/23(水)

●Be-ing.,1.〜3.(完)/真東砂波 ★★☆
昔バスケの選手だったりいろいろと事情がある女の子達が、高校で新たに女子バスケ部を結成する。男子バスケ部員の協力など、何組かのラブストーリーも同時進行。主役級の女の子の顔の見分けがつきにくいとこがちょっと気になった。しかもヘアスタイル変えるしさー(笑)。

10/22(火)

●一番目の六(りく)/小栗るみ ★★★☆
●孤独な王様(一番目の六 2)/小栗るみ ★★★☆
●遠い記憶(一番目の六 3)/小栗るみ ★★★☆
不思議な力がそなわっている古い霊石にまつわるオカルトもの。主人公の高校生・六(りく)と、事件にかかわってしまった女子高生・沙矢香との不器用なラブストーリーとしても楽しい。霊石に寄ってくる邪霊を払ったりするが、基本的にはあっさりした描写でグロくないのがよい。青春物というほうが近いかも。

10/21(月)

エンドレス・ゲーム/月村奎 ★★★★★
JUNE。主人公の少年の瀕死の母親と書類上の結婚をしたゲイの弁護士の話。義理の親子としての二人暮らしで5年が過ぎた。少年は弁護士に心惹かれているが、いつもなにかにつけて「子供は恋愛の対象外」と軽く言われている上に、次々に恋人を作っているらしい様子も見えて、打ち明けることができないでいる。現在の恋人である青年教師の住居が火事になり、とりあえずということで、3人の同居が始まる。少年は淡々とした暮らしぶりをみせる恋人同士に気をつかい、なんでもないふりで暮らすことに苦痛を感じていく。
メインの話と、両思いがわかった後の初Hまでのエピソードと、青年教師のトラウマと新しい恋の始まり、の3編。とくにメインストーリーが素晴らしい。直接のHシーンはほとんどないけど、しっかりしたラブストーリーなら、それで充分に堪能できるんです。
愛の才能/井村仁美 ★★★
学園JUNE。『いけない生徒会室』の続編。「皇林学園シリーズ」とシリーズ名がついたからには、前作が好評だったのね。
剣道部主将の暴走する恋物語。校内でのレイプとは、しかも、いつ人が通りかかるかもわからない階段でとは、ひどい奴。しかもちゃんと恋を自覚する前だというバカぶり。
●きみをさがしてた/くればやし月子 ★★★☆
JUNE短編5本。絵柄はちょっと地味だけど、受けの子がすぐ顔を赤くするとこがかわいい。
●Papa told me(17)/榛野なな恵 ★★★★☆
エゴイズムとか勇気とか、日常、口にする機会の少ない言葉について、ふと考える。そんなストーリー。図書館で騒ぐ子供に注意するおじいさんと、反発する母親達のエピソードや、「みんなで楽しく」というシステムに同調できない自分をもてあましている小学生のつぶやきなど、なかなか魅力的。
●アルスラーン戦記(13・完)/田中芳樹/中村地里 ★★★
自分が王家の血をひいていないと知った上で、少しでもましな政治を行おうという決意のもとに、アルスラーン即位。
●妖の刻(シリーズ"皇牙&竜牙"2)/中村地里 ★★★
妖魔退治のオカルトもの連作短編集。メインの竜牙が、鈍くて何も気づいていない皇牙に片思いしているのでちょっとJUNE。
●聖痕−スティグマ−(III・完) /真崎春望 ★★★
人類を破滅させる力を持つ元天使と、それを制御できる悪魔のふたりが、人間の体で兄弟として助け合う状況はJUNEっぽい。元天使のほうが受胎可能な体だったということで、心理的にはともかく、肉体的にはJUNEとはいいがたいかな(笑)。魔界側や天界側からの妨害をのりきるために聖痕の能力を人類を破滅させずに解放することにする。そうすると肉体は失われるが、お腹の赤ん坊は無事に産まれることに賭ける(おいおい)。5年後に現れた子供は、どうやら生まれ変わりとかそういう設定らしく、過去の記憶を持っている、というオチ。
●ブスと姫君/津田雅美 ★★★
高校生シリーズ連作4編。タイトルにはすごいインパクトがあるが、中身は正統派。ギャグをまぶしたシリアス&さわやか青春ラブストーリー。
●君は僕を好きになる(4)/あべ美幸 ★★★☆
高校生JUNE。いじめ問題が解決に向かうまでの、泥のかけあい。憧れと嫉妬がごたまぜになって主人公を巻き込むはめになったいじめを受けている少年が、立ち直るまで。今回の事件とあまり関係なくHシーンもあり。
●バッシング恋愛/あべ美幸 ★★★☆
高校生JUNE。美形わがまま主人公が、学校の倉庫で4人に輪姦された直後にやってきた委員長にすべてを知られる。それ以来、誰にでも親切な委員長に「特別」に思われたい、かまって欲しいの心理で、暴言は吐くわ、かばってもらうわのくりかえし。相思相愛に至るまでに周囲はけっこうまきぞえをくう。相手をつなぎとめたいあまりの自傷行為をあんまり美化してはいけないと思うが。
●二人のエデン(1)/小沢孔璃子 ★★★
サラリーマン・兄弟JUNE。複雑に入り組んだ血縁関係をしらなかった主人公は、自分の秘書と血が繋がっていると知ってしまっても、恋を止めることができない。家族の反対に逆らって逃避行の末、結ばれるが、その後病発。
●世紀末に恋をして/小沢孔璃子 ★★☆
JUNE短編4つ。Hありレディースコミックの男版と思ってもらうと、雰囲気が近いはず。
●はあはあ(1)/吉原由起 ★★★
産休代用教師として赴任した男子校で、自分以外は教師も全員男性という状況にたちむかう主人公だが、匂いフェチの生物教師と恋に落ちる。Hな妄想シーンで新境地を開拓した(笑)吉原由起の、ギャグいりラブコメじつは初恋だったりする、純愛漫画。

10/20(日)

○突然最終回 LIVEスペシャル号/えみくり
9/22に浦安でやったLIVE用。漫画と小説1つずつ。あとは読者からの「次のお茶会希望場所アンケート」発表。基本的にみなさん、自分が行きやすい場所を押している(笑)。


10/19(土)

春の探針/篁釉以子 ★★★★
JUNE。両親がいない姉と二人暮らしの高校生と青年歯科医の物語。老歯科医の代理でやってきた青年と、痛がりで歯医者が恐い主人公の出会い編は、姉との修羅場の内容が光っていた。大学生編は、青年の母親が登場して泣かせる場面を作っている。一旦は別れようと思ったんだと、青年が少年本人にに打ち明けるところも切実でいい。


10/18(金)

●死と彼女とぼく(2)/川口まどか ★★★☆
「見える」少女と「聞こえる」少年のオカルトもの。霊魂とか不思議なものを扱う漫画の数々の中で、孤独を描くスタンスが気にいっている。
●安倍晴明転生伝記 銀龍王/黄月いづみ・真崎春望 ★★★
ちょっとJUNE。安倍晴明とその助手が現代に生まれ変わって、ロックバンドのボーカルとそのマネージャーになっている。作者が某バンドのファンだからこういう設定になったと、本人が書いている。


10/17(木)

聖蛇の末裔(瑞穂と剛の用心棒1)/あさぎり夕 ★★★
キャンパス文庫で新シリーズ。これはオカルト色が強いJUNE。あさぎり夕は仕事が速いなあ。


10/16(水)

DEAD END/桃さくら ★★★
JUNE。ちょっと鬼畜。強姦されそうな場面を助けたことが出会いのきっかけだった大学生の恭太郎と勇気。恭太郎は勇気の父親に催淫剤を使われて強引に体を奪われる。その後もずるずると肉体関係が続く。勇気も恭太郎に想いをよせていて、3Pまで経験して混戦状態。さらに茶々を入れる面子として『僕のセクシャルハラスメント』の課長も出演してサービスシーンありってやつです(笑)。もう少し心理描写が欲しかった。
●聖(セイント)パンプキン物語/星野めみ ★★
レディースコミック短編4つ。不器用で暖かい人情話をからめたラブストーリー。主人公の年齢がやや高いことをのぞけば、普通の少女漫画としてもそんなに不自然じゃない。でもこの絵柄の古さでは、現在の一般的な少女漫画誌では通用しないと思う。レディース系のほうが絵柄に寛容かも。
●伊平次とわらわ(2)/坂田靖子 ★★★★
墓守の伊平次と、自分は姫だと主張する喋る犬がめぐりあう、不思議な出来事の数々。「死人とバケモノは違うのかえ?」というわらわのセリフがいみじくもあらわしているように、元人間の幽霊と、何が何だかわからない謎の存在が、入れ替わり立ち代わりやってくるのである。坂田靖子の「ユーモアのセンスの特異さ」は、似た人を思い浮かべようとしてもちょっとできないくらいで、得難い才能ということなのね。


10/15(火)

■ガルムの標的(グイン・サーガ53)/栗本薫 ★★★★☆
モンゴール側というかイシトヴァーン側の話。私はどうやらグインよりイシュトやカメロンのほうが好きみたいで、こっち視点のストーリーのほうが楽しく読める。入り組んでるからそうそうシンプルにはいえないんだけど。それにしても、とことんまで暗い暗い暗いキャラのアリがなんとまあ手強いこと。カメロン頑張ってね、といっておこう。
●お・ぼ・れ・た・い(2〜5)/吉原由起★★★☆
『あなたと千夜一夜』というタイトルの課長とOLのえっち風味オフィスラブコメディがメイン。課長は基本的には二枚目で仕事もこなすいい男だけど、恋人であるOLの妄想力と行動力の前には、おもちゃと化している気もする。


10/14(月)

□小説b-BOY 11月号
池戸裕子『IDOL・SEARCH!』は、学園+芸能もの。高校生の主人公は祖母のために引退した元芸能人を探すため「アイドル研究会」というサークルにはいって協力を求める。そのサークルには、正体を隠した現役アイドルがいた。誤解ネタでむりやり話をひっぱっているのはわかるけど、なんとなく読ませる。でも、学園祭の企画に現役アイドルを参加させるくだりは嘘っぽいよね。
●悠かなりし愛し夢幻(7)/もとなおこ ★★★★
最近、ノリがドラマチックでいい。少女漫画はこのくらい、くさいラブストーリーでもいいのよ。過去編もかわいい。過去の自分の姿に現在の精神がはいっている場面でのキスシーンは、微妙な雰囲気。絵だけなら子供同士のかわいいキスなんだけど。うーん。
●貴人の大祭−ウェイ・テクイルウィトル−(風霊王外伝)/あもい潤 ★★★
『風霊王』の設定の何度も生まれ変わっているうちのエピソードのひとつ。マヤ族とアステカ族とスペイン軍の軋轢の中での、民族同士のいさかいと恋と裏切りの物語。
おまけのメキシコ旅行記と『風霊王』の伝説部分を短くまとめた数ページがあった。この伝説パートが本編のおまけについていたら、もっとわかりやすかったのでは。
●君は僕を好きになる(2・3)/あべ美幸 ★★★☆
学園JUNE。泣くわ喚くわで体当たり人生の主人公の恋も一応はかなう。口数少なく、一見押されぎみに見えたほうが、じつは行動力のある奴だった。いじめられているクラスメイトのトラブルにまきこまれる話は重いぞ。
●お・ぼ・れ・た・い(1)/吉原由起 ★★★☆
表題作の連載とは独立した、女性編集者とカメラマンの話のほうがページが多い巻。「えっちでコミカルな路線」を開拓したら、作者のノリがよくなったみたい。私はこの作者のデビューして比較的すぐの短編を立ち読みして泣いた過去もあるというくらいだから、切ない路線も好きなんだけど、この芸風で他の漫画の山の中で目立ったことは確かなようだ。


10/13(日)

●オリスルートの銀の小枝(2)/紫堂恭子 ★★★★
無国籍ファンタジー。コメディ風味でシリアスな話だっていうのが、嬉しい。
□CARESS 11月号
峰桐皇の小説は、いつものシリーズじゃなくて、サラリーマン残業ネタ。
●抱きしめたい/吉村明美 ★★☆
初期の中・短編3つ。絵が上達していく過程がこれ一冊からもうかがえる。言葉使いはぞんざいでも心の中には暖かいものがある人物達が、つらい目にあいながらも、前向きに進もうとする姿勢が、この頃からちゃんと描かれていて、すばらしい。
○桑原水菜の「炎の蜃気楼シリーズ」
  • la Dolce Vita/帝国狂詩曲
    漫画1つと小説3つ。甘々でHあり。この人達のミラージュ世界はいつもけっこう幸せそう。高耶がわりと素直だしね。


10/11(金)

●PSYCHO+サイコプラス(2・完)/藤崎竜 ★★★
能力はあるのに弱気な主人公は、超能力を持つ緑色人の12人目のメンバーとして政府にスカウトされる。このへんはちょっとくさいかな(笑)。2年の能力訓練期間ののち、地球と小惑星との衝突という事態を無事に(?)回避して、帰ってきた緑丸くんは黒い髪になっていた、というオチ。
同時収録のSFもなかなか意欲的だし、RPGと内田美奈子の『BOOM TOWN』を混ぜた雰囲気の短編も濃くていいかも。私自身はゲーマーじゃないからあれだけど。
●アルカサル−王城−(9〜12)/青池保子 ★★★★☆
こういう時代ものは、かえって古びないのだなあ、と巷の『エロイカ』関連の話題を耳にするにつけ思うのである。


10/10(木)

絶対の領分 2/鹿住槇 ★★★★
学園JUNE。前巻より人物の感情がよくわかって楽しかった。品行方正の優等生にみえた奴が夜這いとは、意外と情熱的ではないか。
●PSYCHO+サイコプラス(1)/藤崎竜 ★★★
生まれつき髪と眼が緑色であることにコンプレックスを抱き続ける緑丸くんが、謎のゲームを入手したことにより、超能力らしきものに目覚めてゆく。ゲームに強い勝ち気な美少女とともに、友達を助けるため、ホーム・セキュリティ・システムをのっとり、自殺を誘導するゲームプログラムと闘ったりする。
シリアスとギャグの使い分けはなかなかだ。問題は「センス」に「画力」がついていってないとこかな。デフォルメされていても、その世界なりの骨格はあるはずなんだから。


10/09(水)

□麗人 11月号
須和雪里『変態天使の純情』は、愛するものを殺してしまいたくなる、という、心の壊れている教師と彼を愛してしまったMのケがある男子生徒の物語。首を絞められて殺されそうになりながらも、お互いの異常な部分を認め合い許し合い、一緒に生きて行くことを選ぶ。教師の愛情と殺戮衝動のバランスがいかにもあやうい。
●君と僕の街で/谷川史子 ★★★☆
ラブストーリー連作短編集。どれも独立短編として読んでもOKの完成度。絵柄も雰囲気もわりと好き。あと一歩、強烈な印象の残る話があれば、絶対大ブレイクできるのに。それは、ドラマの派手さとかそういう方向とは限らなくて、この人のもっている「とても綺麗な部分」を表現するのに「照れ」や「狡さ」で逃げない話なんじゃないかと思う。
●そりゃないぜBABY(9)/立野真琴  ★★★
ホーム&学園ラブストーリー。「恋」と「好意」の違いの自覚と勇気のなさのせいで、のろのろ進んでいる。「恋」の勝負は「自覚」と「勇気」ですよ。
●怪傑 蒸気探偵団(1)/麻宮騎亜  ★★☆
レトロなノリの天才探偵少年(執事つき)がメインの、スチームパンク風冒険活劇。アニメを意識したデザインとトーンワークの主人公と、アメコミ画風の謎の敵役など、遊び心でつくられたOVAっぽい漫画。


10/08(火)

ジュリア/睦月朔子 ★★★
JUNE短編4つ。このひとの書く人物は、わりと「思い込みが激しいタイプ」と「ずーーっと何年も思いを持続させるタイプ」のふたつが特徴みたい。感情を切々と語る部分がよくて、基本的にはハッピーエンド。
●君は僕を好きになる(1)/あべ美幸 ★★☆
男の子が男の子に惚れて、猛アタックかける話。学園物でちょっとシリアス。あっさりふられても、めげない男の子の粘り勝ち。事件のテンポがなんかとろくてまどろっこしい。


10/07(月)

□MAGAZINE BExBOY 11月号
中村辰子の家庭教師JUNEは、ゲイの自覚がある上にセックスフレンドもいる大学生が、教え子から「俺の好きな相手も男だ」と打ち明けられて、相談にのるうちに、その相手が自分だと気づくという純愛もの。せつない感じがいい。
■薬局通/唐沢俊一 ★★★★
薬局と薬剤師とクスリのうんちく満載で読みごたえ大。
ロマンスの王様/水戸泉 ★★★★
JUNE。設定上は20XX年、地球によく似た惑星カオスに極東の島国ジパングがある、ということになっているが、架空の国々にアメリカ風・ロシア風・中国風国家がそれぞれあって、まじめに国際情勢を書く気がないからSFにしたの許してね、ってな感じ。ジパング王室第一王子(父親が死んだということだけど即位してないらしい)が主人公。おバカな王子さまと憎まれ口専門の大統領とのHシーンが続く。記憶喪失と国際的な陰謀とちょっぴりオカルトがからんだドタバタストーリー。大統領は口も性格も悪いけど、一応これも純愛なんだねえ。
地下室の守護神(ガーディアン)/バーバラ片桐 ★★★★
JUNE。性格が破綻している天才科学者の高校生が恋をする。精巧すぎるダッチワイフ(ほとんどアンドロイド)とか、あまりに短期間に公園の地下とかに秘密研究室を作ったりなんかして、SFだと思うとへなへなになる展開だ。永野のりこの『すげこまくん』みたいにギャグとして成立するかというと、中途半端で気がぬけるし。HシーンはすごくHなので、ヘンに凝った設定をやめて、普通に学園ものをやるほうがいいと思う。


10/06(日)

□YOUNG YOU 10月号
逢坂みえこ『ベル・エポック』は、女が30歳になろうとしているのに独身だということを家族にいろいろ責められるエピソード。「試練は底力になってるのかも」っていうのはいい。
□新世紀エヴァンゲリオン フィルムブック(8)
第20話〜第22話。欄外のチェックポイントによると、監督の否定とともに、加持を撃ったのはミサトだと考えた人も一部にいた、とある。どこがそういう風に見えたのかそっちのほうが不思議だ。
□新世紀エヴァンゲリオン フィルムブック(9)
第23話〜第26話(終)。カヲルくん(ふだん他のキャラクターは呼び捨てなのに、なぜか彼だけはくんづけになってしまう)のプラグスーツ姿というめずらしい絵の表紙。手つきがいやらしいわよ(笑)。セントラルドグマで綾波がATフィールドを発生した理由はやっぱり書いてないや。いやその、期待してたわけじゃないけど。
●サイボーグ009(17)/石ノ森章太郎 ★☆
これは文庫版。フリーマーケットで20円だったので買ってしまったの。だって昔はファンだったんだもん。
●彼方から(7)/ひかわきょうこ ★★★★☆
良質な異世界ファンタジー。事態の悪化でもりあがってます。
●胸の金色/渡辺多恵子 ★★★☆
トラウマをひきずる少女と少年たちに、天真爛漫を絵に描いたような下級生が体当たりで近づいていく話。
●ハードライン(2)/檀からん ★★★
合衆国海軍特殊部隊のメンバーがメインのJUNEもの。
悪趣味な美学/名香智子 ★★★★
シャルトル侯爵家のシリーズ。アンリがついにレオポルディーネにプロポーズするなど、ちゃんと話は進んでいる。中国系マフィアの少年が登場して侯爵夫人にアンチック・ドールをみせてもらうために女装させられるが、本人は人形に目がくらんで幸せらしい。


10/04(金)

□小説i'S(アイス) 11月号
鈴木あみ『開放のテクニック』は家庭教師もの。暗い過去あり・でも童顔の家庭教師が、生意気な生徒におしきられる。勉強シーンにでてくるクイズのために、それ用のイラストが文中に挿入されていて、ほほえましかった。そのクイズもついつい考えてしまったったよ私は(笑)。
まりな恵未と西根公輝は、どちらもほのぼの学園もので、印象が似通ってしまっていて不利。


10/03(木)

▼OVA『サイバーフォーミュラ ZERO』(1)〜(4)
まじめなつくりが好ましい。
▼映画『仮面ライダー ZO』
雨宮慶太色がよく出ていて、思ってたよりよかった。CGの使い方も堂にいってたし。ラストで博士役の佐々木功がメカにとりこまれるシーンがせこいのが惜しまれる。


10/02(水)

□i's(アイス) VOL.10
漫画6本と小説1本。漫画のなかでは葛井美鳥の学園ものとBethの半獣人ものがよかった。篁釉以子のサラリーマン小説も、純情一途な主人公がけなげで印象に残る。


10/01(火)

□ブレス 保存版 VOL.1・VOL.2
コンパクトサイズの復刻版。これが出た当時は、出てることは知ってたけど買ってなかった。ブレスはスタート当初からH全開だったのね(笑)。

ご意見ご感想をお待ちしています

e-mail: VFB02075@niftyserve.or.jp