<H1>菊池鈴々の「RinRin日記」</H1>

2001年7月分

それぞれタイトルのあたまにジャンルの目印をつけています
主な内容は、■本 ●漫画 ▼映像 □雑誌 ○同人誌 など

■本と●漫画は独断評価つき(5点満点:★1点・☆1/2点)
文中敬称略

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07/31


07/30(金)

FLESH & BLOOD (1)/松岡なつき ★★★★★
イギリス在住で語学に堪能な日本人の少年・東郷海斗・17歳が、夏休みを利用したイギリス旅行中に、タイムスリップ。飛ばされた先は1587年、イングランドとスペイン無敵艦隊の闘いのまさに前年という年。
一番はじめに接触したのは、イングランドの偵察をしていたスペイン海軍のビセンテだが、主人公がついうっかりスペインが負けるだのなんだのと口にしたので、トラブルになる。次にイングランド側に助けられるが、主人公もちょっとは学習したので、記憶喪失を装う。とはいえ、すぐに馬脚をあらわし、どんどんいいかげんな身の上話をつくっていく。海賊船の船長で、暗い過去ありの美形軽薄衣装フェチ・ジェフリーの世話になることにるが、誰が見てもあやしさ大爆発の海斗の正体について、イングランドの大物・フランシス・ドレイクに追及されているうちに「占い師」であると主張することになる。史実として知っていることを「予言」として使うので、信用されてしまう。それを自分の生活を守るために利用せざるをえない状況でもある。海斗の「ジェフリー付きのキャビン・ボーイで実は秘密の占い師」という身分での船上生活が始まる。スペイン側のビセンテも海斗の予言を聞いているので、スペイン国王フェリペII世の許可を得て、海斗の探索にむかうことになる。
……というわけで、この巻は大河ドラマのスタートという趣きなので、らぶらぶ路線のシーンはあまりない。ジェフリーが神を恐れぬゲイであることは、淫売宿での美少年役者とのセックスシーンで早い時期にあきらかにされているので、まずこちらとの恋と信頼のドラマが先だろう。
私は「現代人が過去にとばされる」というタイプのタイムスリップ物がとても好きなので、それだけでもうれしいのに、ボーイズラブなので喜びも倍増。
時代的なイメージは山本鈴美香の漫画の「七つの黄金郷(エルドラド)」で補強しているので、エリザベス女王とかフェリペII世とか挿絵に出てこない人物は全部あっちの絵を思い出してしまう。衣装の雰囲気とかね。海賊物は、丘けいこの漫画(タイトル失念)で刷り込みされ、木原敏江の「エメラルドの海賊」も好きだったので、まったく抵抗ありません。作者があとがきで触れている「宝島」はアニメ版しかみていないので、自分の根っこは漫画とアニメなんだなあ、とあらためて感じてしまいます。★★★★★は期待値込みのポイントなので、続きを楽しみにしましょう。

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e-mail: rinrin.kikuchi@nifty.ne.jp