泌尿器科医・木村明の日記


精巣捻転・停留精巣勉強会


[木村泌尿器皮膚科公式ブログ](2012年春)

一昨日水曜日は、年3回新横浜で開かれる恒例の病診連携勉強会でした。
講師は小児病院の泌尿器科の先生。
精巣捻転・停留精巣・先天性水腎症などのお話を伺いました。



以下は、はるか昔にこの本に書いた原稿です。
水曜日にお聞きした内容ではありません。念のため。
講演内容をブログやSNSにすぐ紹介してよいものか、ちょっとためらっているので。
かといって、最初の3行で終わりにするなら、Twitterで充分だし。

停留睾丸 睾丸が陰嚢内まで下降しない

 胎児(男子)のからだの中では、睾丸は女子の卵巣と同じくお腹の中にありますが、誕生までに、陰茎の後ろにある陰嚢という袋の内に降りてきます。睾丸自体の発育、もしくはホルモンの異常により陰嚢内にまで下降せず、鼠径部など途中のどこかに留まっているのが停留睾丸です。
 終生時に陰嚢内に降りていなくても、一歳ころまでには自然に下降する可能性もありますが、それ以後、下降しないものは、手術によって睾丸を陰嚢内に固定する必要があります。
 一~二歳時に、また、遅くとも六歳までに手術を受けるのがよいとされています。
 停留睾丸と似たものに,睾丸が陰嚢内にしっかりと固定されていなくて,下腹と陰嚢内を行き来している場合があり,移動睾丸とよばれます.様子を見るだけでよいものがほとんどですが,中には停留睾丸と同じ治療が必要な場合があります.

治療法

 睾丸は、体温よりやや低めの温度でないと精子を造れないため、熱を逃がすために表面にたくさんしわが入った陰嚢内に納められています.そのうえこの陰嚢が暑いときは伸びて睾丸を体から遠ざけね寒いときは縮んで体に近付けることにより,睾丸の温度が調節されています。したがって、睾丸が腹部に停留していると温度が高すぎ、精子を造る能力を失うため、できるだけ早く陰嚢内に固定しておく必要があります。また、睾丸にできるガンは、一般には頻度が低いのですか、停留睾丸の場合は、その頻度が通常の何十倍にもなります。
 ですから、腹部に留まったままの睾丸がガン化すると発見が遅れてしますので、睾丸の発育が悪かったり、血管が短いなどの理由で陰嚢内に降ろすことができない場合には、睾丸摘除術が行われます。
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