特定健診物語⑥
2年後の都筑ふれあいの丘区医師会
紙での報告しかできない医師会が地元市町村との契約しか取れなかったのに対し、都筑ふれあいの丘区医師会は東都電気をはじめ、
ニュータウンに社宅を持ついくつかの企業と契約していた。
しかし、オンライン報告に要する費用は少なくはなかった。検査会社から電子媒体で検査結果をもらっても対応できない会員のため、半年間に限って医師会職員がデータ変換作業を代行する約束だったが、
半年を過ぎても、コンピューターアレルギーの長老達は自院でデータ変換しようとはしなかった。
医師会ではファイル変換のプロ:ララアなど数名の事務員を増員したが、この人件費を医師会の一般会計で負担する事に関しては、特定健診をやっていない会員から異論が。
特定保健指導の綻びが早くも露呈した2年目には、契約を申し込む企業が減ったため、オンライン化のための投資にメリットがあったのかといった反省の声が、長老達の口からも。
当初オンライン化推進派だったガルマ監事でさえ、自分が推進派だったことを忘れたかのように、「先に仕掛けたほうが負けるのは兵法の常識。国や横浜市がどう出るか、まずそれを見極めるべきだった」と、発言をした。
この豹変ぶりには事務員のララアも唖然としたが、梯子を外された形になったコンピューター担当のシャア理事は、理事会終了後、ララアを誘ってギブリへ出かけた。
ガルマ監事を仲間だと信じていたララア事務員に、シャア理事はドライマティーニを飲みながら「坊やだからさ」とさばさばした表情で語っていた。
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