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特定健診物語④


不足する特定保健指導機関

特定健診の実績に基づいて後期高齢者支援金の加算・減算が行われる事になっていたため、初年度に関してはほとんどの保険者が受診率45%達成に努力した。

当然のことだが、メタボ予備軍が多数みつかり、特定保健指導を受けるべき人が多く見つかった。

しかし、特定保健指導を行っている施設は不足していた。

特定保健指導は、医師・保健師又は管理栄養士が1 人当たり20 分以上かけて行うことが決められていたため、手を上げる機関が少なかったのだ。

健診実施率を努力してあげても、保健指導実施率を上げる事ができなければ、国が求めるメタボ減少は達成できない。

後期高齢者支援金の加算という罰金におびえていた、各企業の担当者にも、国の出方を様子見しよう、という雰囲気も生まれかけていた。

東都電気は社員および家族の受診率45%を達成したのに対し、東都電気販売は受診率が30%にも届かなかった。

翌年、東都電気販売では福利厚生担当常務のギレン・ザビと総務課部長のランバ・ラルとが対立していた。

ランバ・ラルは受診率45%達成のために東都電気本社から派遣されてきていた。

ランバ・ラル「社員が全国に分散している以上、すべての医師会との契約が不可欠です。」

ギレン・ザビ「紙で提出されたデータを電子化するのがいかに大変な作業か、それは消えた年金問題で実証済みだ。オンライン対応していない医師会とは契約できん。」

ランバ・ラル「しかし、受診率30%を45%にあげる手立ては他にはありません。」

ギレン・ザビ「保養所利用資格に家族全員が特定健診を受けていること、という条件を付けよう。山中湖や伊東にある保養所を利用できないとなると、考える社員もいるだろう。」

ランバ・ラル「保養所利用申し込みをする社員は全体の10%もいません。そんな方法で45%を達成できるはずはありません。」

ギレン・ザビ「時間稼ぎだよ、ランバ・ラル君。厚労省には何か対策をやっているという姿勢を見せておけばよいのだよ。」

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