"Tales of Matsumoto 2"

Symbol-3 : Misty Mountain Hop


 一同は食料とアルコールの買出しのため、松本市内のショッピング・センターに出かけた。  食料班はシェフ柴田を中心に、鮮度や価格などを踏まえた慎重な品定めを行っていた。  アルコール班はYas師と青柳という加減を知らない野郎達がリーダーであり、目につい  たものを次々と籠に投げ込むだけ。レジでの合計金額を見て、幹事のズッキー鈴木が目を剥く  一幕もあった。
加減を知らない二人
「さて、これから『聖なる館』に向かいます。  道が複雑ですから、僕の車から離れないでついて来て下さいね」  鈴木の号令に従い、一同は車に分乗して松本市内を後にした。  途中、鈴木が道を間違えるというお約束を交え、山道を走ること約1時間。    鬱蒼と生い茂った木立の中、『聖なる館』は再びZEPPマニア達の前に姿を表わした。
聖なる館

 荷物をほどき、シェフ柴田を中心にさっそく夕食の支度が始められる。  メインディッシュはチキン・カレー。前回のエビ・カレーを上回る熱の入れようである。  意外にも、今回はほとんどの参加者が積極的にお手伝いに勤しんでいた。  松本物語で「あいつはサボっていた」と書かれるのが嫌だったからに違いない。  おかげで、台所の中は12人がひしめき合って戦場と化していた。

「エリックさん、邪魔!! あなたがいるとやりづらいんですよ!」鈴木が叫ぶ。  図体のでかいエリックが歩く度に、材料が転がり、皿が床に砕け散った。 「ひどいデスね〜〜!ボク、一生懸命お手伝いしてマ〜ス!」 「じゃ、エリックはビデオ・デッキのセッティングしといてよ。後で上映会するから」 「Yasさん、判りましたネ〜。ボク、あっちの居間で用意してマ〜ス」

 小一時間で料理の仕込みは終了し、後は煮込みを待つばかりとなった。  一同はシェフ柴田を残し、居間に戻ってくつろぐことにした。

最初にエリックの不在に気付いたのは、ビスタライト佐々木であった。 「2階やトイレも見たんですが、どこにもいないんですよ」心配そうに訴える。 「どっか散歩に行ったんじゃないの?すぐ帰ってくるって」本多が無責任に言う。
ありし日のエリックさん(回想シーン)
「あ、ビデオ・デッキはちゃんとセッティングされてますね」スターライト尾藤が発言する。  尾藤がデッキのイジェクトボタンを押すと、テープが押し出されて来た。 「あ、それ、例のビデオと違いまっか?ラベルに何か書いてまっせ」近江が指摘する。  テープの背を見ると、達筆な丸文字で『取扱い注意!ぬまち』と書かれていた。 「な〜んだ!エリックのやつ、待ちきれなくて先に見てたんだな」Yas師があきれ顔で言う。 「あははは.....」一同の笑いがコテージの中に響いた。

「....帰って来ませんね、エリックさん」柴田が心配そうにつぶやく。  既に時計は21時を過ぎていた。カレーはすっかり煮込み終えている。 「仕方ない。とりあえず、食事にしましょう。青柳さん、エリックの分は残しておいてね」
本多の失礼な言葉に怒りを覚えながら、青柳は妙な胸騒ぎを感じていた。
大喰らいのエリックが、メシの時間に現れないなんて..... そう言えば、お祭り好きの沼田さんが当日ドタキャンてのも変だ..... やっぱり今回も、何かありそうだぞ.....



続劇


[次回予告]   次回(こそ)、身の毛もよだつ猟奇な世界に突入!   ああ、エリックが?! Yas師が?! 中村のRobert踊りが??!!
「おまえも蝋人形にしてやろうか〜〜!!!!(ふる〜〜!)」
松本物語II 第4話に続く