"Tales of Matsumoto"

Symbol-1 : Beginnings of All


 それは97年5月のうららかな午後、Eric Sachs邸でのビデオパーティーでのことであった。  ZEPPの「出せね〜」ビデオを一部の好事家のみで鑑賞するという、誠に贅沢なひとときに、  一同が心から酔いしれていた、そんな時である。


「あのー、皆さんに見てもらいたいものがあるんですけど」  ズッキー鈴木が唐突にそう言い出した。 「え、コッ○サッ○ーブルース?、あれ持ってるの?」  妻の出産を控えていた田中が、間髪入れずに尋ねる。  鈴木がバックからおずおずと出したのは、当時発売されたばかりのLuis Reyの著書  "Led Zeppelin Live/Final Edition"であった。 「な〜んだ!そんなの、みんな持ってるよ」Yasが一笑に付す。 「MAKIさんなんか、年代ごとにINDEXまで付けてるんだから」  CB本多が、余計な事まで口を挟んだ。 「いえ、そーじゃないんです。これなんです」  そう言って、鈴木はLIVE本の頁の間から1枚の写真を取り出した。 「なんか、かなりボロボロだね〜。あ、ここに写ってるの、ズッキーのおじいさん?」  沼田女史が登山服姿の写真の人物を指差す。  シワやキズで鮮明ではないが、どこか面影が鈴木に似ていた。野外での記念撮影のようだ。 「ええ、松本で教師をしてました。たぶん戦前の撮影だと思います」 「この写真がどうかしたの?」ち〜ママ中村が、いつものようにズッキーに厳しく詰問する。 「皆さんなら、おわかりになると思うんですが...よく見て下さい」 「....あ!」しばらくして、一同、顔を見合わせた。 「え、何?ど〜したの、みんな」CB本多が、ひとり分かっていない。 「おじいさんのバックに写ってる、これって....」  バッシー柴田が、自慢のあご髭を撫でながらつぶやいた。 「あ...」流石の本多も、その事実に気付いて驚愕した。


オベリスク.....。


 ZEPPファンなら誰もが知ってるであろう、神秘的な物体。"PRESENCE"のモチーフ。  老人の後ろにかすかに見えるシルエットは、まごうかたなきオベリスクそのものであった。

 言葉を失う一同を見回し、ズッキー鈴木は静かに口を開いた。 「僕の住む松本には、どうやらZEPPの聖跡があるらしいんですよ...」


続劇


[次回予告]   聖地松本を目指す、10名の使徒達。   ビートが爆走!巨峰ソフト!ご休憩青柳!来ないズッキー!   先は考えてあるのか、作者!?   とりあえず、次回を御楽しみに! 第2話に続く