Japan Tour Review

Japan Tourの全4公演の音源に対して、setlist/コメント/レーティングを付けてみました。 対象は私が入手したアナログcassette tape(一部VIDEO)であり、レーティングは演奏点(PLAY) /音質点(REC)/希少点(RARE)の3つです。 演奏点につきましては、「Wanton/TSRTSでのRobertの声の伸び」「SIBLY/Tea For OneでのJimmy のギターの流暢さ、フレーズの面白さ、コンビネーションの自然さ」等が主なチェックポイント です。 音質は、アナログのUnderground Tapeに関してはジェネレーションで大きく変わるものなので、 あくまで私が所有するものに対してそう感じたという事です。 希少点は、日本公演は全てBoot CDがリリースしているという意味で、全て1にしています。 もちろんAlt.Sourceが山ほどありますので、それぞれに関しては希少度が異なると思います。 以下にレーティングのおおよその見方を記します。 PLAY : 1 : (Many Mistaken) 演奏ミスが目立ち、冴えたところがほとんどない。 2 : (Some Mistaken) 演奏ミスが少しあり。特に冴えたところもない。 3 : (No Feature) 演奏ミスはないが、特に冴えたところもない。 4 : (Some Good Plays) 演奏で冴えたところがいくつかあり。 5 : (Many Good Plays) 演奏の随所に冴えが見られる。 REC : 1 : (Terrible) 歪み/こもり/遠さがひどく、細部が良く分からない。 2 : (Some Noise/Dist) 歪み/こもり/遠さが目立つ。 3 : (Not Good) 歪み/こもり/遠さを感じる。 4 : (Good) 音は良いが、観客の話し声やノイズ等がある。 5 : (Excellent) 音に問題が全くない。 RARE : 1 : (BOOT Available) Boot CDで簡単に入手可能 2 : (Rare BOOT) Boot CDで入手可能であったが今は廃盤 3 : (Tape Available) Underground Tape市場で広く出回っている 4 : (Rare Tape) Underground Tape市場でも持ってる人が少ない 5 : (Ultra-Rare Tape) Underground Tape市場でも持ってる人が殆どいない ・WLLメドレー曲について、Gold Wax誌38号の記事を参考にさせて頂いてます。 ・MCについては、Yasさん/柴田さんによる御指摘を反映させて頂いてます。 ・バッジホルダー発言に関しては、東京在住の匿名希望のOLの方の情報によるものです。
#01 02/05/96 Nippon Budokan, Tokyo, Japan
(Eastern)/Immigrant Song-The Wanton Song/Bring It On Home/Heartbreaker/Ramble On/No Quarter/Hurdy Gurdy solo/Gallows Pole/Since I've Been Loving You/The Song Remains the Same/Going to California/Babe I'm Gonna Leave You/Whole Lotta Love-White Rabit-Break on Through-Dazed and Confuzed/Yallah/Four Sticks/Kashmir//Out on The Tiles-Black Dog/Rock and Roll


 さて、日本公演初日のステージです。

 某ニュース番組の天気予報のバックで、この日のThe Wanton Songが30秒程オンエアされまし
 た。日本公演唯一のPro-shot映像と思われます。広く出回っているAudience ShotのVideoは
 遠めで手ブレがひどく、見てると自律神経に影響が出そうなしろものです。
 Robertは青のベストに白のジーンズ、Jimmyはグリーンのサテンシャツに黒のパンツという
 衣装です。ちなみにJimmyのいでたちは、東京公演中は全て同じでした。

 私の所有する音源は某氏録音のUnderground Tapeで、多少遠目の音です。
 Wantonを聴くと、今までのTourに比べてDrumsの手数が非常に多いことに気付きます。
 この日のRobertは声が出ておらず、かなり苦しそうです。Bring It On HomeではVocalの入
 りを間違え、更には1番と2番の歌詞を逆に歌っています。OFFをはさんで、記憶が飛んでし
 まったのでしょうか?

 "Oh, Good evening, Tokyo......Domo Arigato....
  Well, it's indeed ...great honor ...for Jimmy and I to be ....playing again ....
   here in the famous old building.....
  It's great to be back here again."

 という有名な初日の挨拶(あえて原文で記載)の後、No Quarterを演奏してます。Jimmyの
 Soloは複雑で良い響きを奏でており、それに引きずられてRobertも頑張りを見せています。
 しかし、反撃もここまで(笑)Gallows Poleでは高いキーの部分を巧みに下げて歌っており、
 こうした「かわし」のアプローチが最後まで続きました。
 SIBLYのIntroはEuroでよく聴かれた「低音のたくり」パターンで、あまり良くありません。
 JimmyはVocalの後ろでTea For Oneのフレーズを入れています。Soloはエコーが深く、フレ
 ーズの方も「ぼやけた」感じで、これまた今ひとつです。
 TSRTSではようやく観客がどっと沸きます。Jimmyの12弦は副弦の響きが弱く、鈍重な音色で
 す。ただし演奏の方は南米Tourに比べるとこなれた感じで、Soloもまあまあの出来です。

 「この曲を書いたのは、えーと、何年前かな?(笑)...多分、1971年の曲です」

 というMCに続き、Going to Californiaを演奏してます。更に、

 「キミたち、彼が誰か別のヤツとここに来たのを知ってるかい? 
  彼は、まだそいつと連絡を取り合ってるんだぜ!(Well, he's still in touch.)」

 とJimmyをサカナにBabe...に。(もちろん、別のヤツとはDavid Coverdaleのこと)
 Robertは出ない声をふり絞って頑張りを見せてくれますが、肝心のJimmyのSoloが外れ気味
 で、ちょっとアレレな感じです。
 WLLはネブワースVersionです。メドレーのWhite Rabitは、1st-LegのNew Orleans初日で
 演奏されただけのレア曲です。
 また、この日はYallahが復活! US 2nd-LegのLas Cruces公演以来です。
 Four SticksはMichaelのDrumsが大迫力で、重戦車のような激しさです。
 南米Tour終盤同様、エンディングはKashmirで、In The Eveningは演奏されませんでした。
 Robertは随所で "Tokyo!!"を連呼しています。
 "Thank you very much, Domo Arigato...."とRobertは挨拶し、メンバーは一度
 ステージを去ります。

 礼儀正しい(?)アンコールの拍手に応え、メンバーが再登場。
 Robertが"So, Can you feel it?"と観客に問いかけ、JimmyはOut on The Tiles
 のIntroを掻き鳴らします。更にRobertは "So Tokyo, Talk to us....Talk! Talk!"
 と観客を執拗に煽り、Black Dogに突入しています。RobertのVocalは前半は悪くありません
 が、後半はやはりしんどそうでした。
 Rock and Rollでは館内騒然となります。Robertは軽〜く歌っている感じですが、これも意外
 に良しです。JimmyのSoloはワウをかけておらず、スッキリした好印象です。

 いきなりの会場アナウンスという、日本らしい「デリカシーのない」エンディングで、初日の
 ステージが終了しました。

PLAY : 4.0
REC  : 4.5 (1st Gen. from Remasterd Original Source)
RARE : 1.0

[Boot CD: The 1st Day, The 1st Show at the Famous Old Buiding 他]

#02 02/06/96 Nippon Budokan, Tokyo, Japan
(No Tapes)/Babe, I'm Gonna Leave You/Bring It On Home/Heartbreaker/Thank You/Gallows Pole/Hurdy Gurdy solo/Nobody's Fault But Mine/Going To California/Since I've Been Loving You/Dancing Days/Yallah/Four Sticks/In The Evening/Kashmir//Tangerine/Whole Lotta Love-In The Light-Break On Through-Dazed and Confused//Rock And Roll

 2日目にして、変則setlistのお出ましです。
 
 この日はアメリカのT・S氏撮影のAudience ShotのVideoが広く出回っています。スタンド席
 からの望遠撮影で、非常に安定した映像です。

 私の所有する音源はこれまた某氏録音のUnderground Tapeです。適度に残響もあり、バランス
 の良いAudience録音です。

 導入tapeもなく、いきなりBabe...でスタートです。珍しくオケ無しのシンプルな構成ですが、
 その分オルガンが効果的に使われており、音の厚みは充分です。
 RobertのVocalは序盤は若干苦しげですが、ステージが進む程に調子良くなっています。
 この日の観客は初日に比べてかなりエキサイトしており、声援も大きめです。
 たたみかけるように演奏されるBring It On Homeは上質のRock!サイドギターのつけ入るスキ
 は全く感じられません。
 完璧なHeartbreakerの演奏に続いてThank You。これは全Tour中唯一の曲順ですが、反則とも
 言える程のハマリ方です。Introにかぶせた"Good Evening, Tokyo!"のMCもニクイ演出です。
 「我々は毎晩、少しずつ内容を変えて演奏するように試みています」
 と宣言し、Gallows Poleを演奏します。この位置では通常No Quarterが演奏されており、cut
 されたのは初の出来事です。途中から入るDrumsのド派手な叩き方には、ちょっとビックリさせ
 られます。
 Hurdy Gurdy Soloの後にNobody's Fault But Mine、というのは、6/7/95のLyon公演以来と
 いう懐かしいパターンです。
 「今のは1929年の作品で、John Paul....じゃなくってBlind Willie Johnsonの曲です」
 というRobertのちっさいボケに、意外なほど観客は笑っています。
 「あ、君たち、バラエティー・ショーが見たかったんだね?」という次のセリフは、
 『こういうベタなギャグなら、英語の不得意な日本の観客にも通じるんだ!』という安堵から
 来たものではないでしょうか?
 SIBLYのIntroは重々しい感じのフレーズ回しです。Vocalのバックでは、Tea For Oneのフレー
 ズを一発入れています。Soloもあくまで重厚!といった感じで、完璧なバックの演奏とあいま
 って素晴らしい曲に仕上がっています。
 通常、この曲の後はメンバー紹介をしてTSRTSを演奏するのですが、この日は続けてEgyptians
 を紹介し、意外にもDancing Daysを演奏しています。(結局TSRTSは演奏されない!)
 一糸乱れぬ迫力ある演奏であり、この曲の良さを十二分に発揮しています。
 以降、Yallah/Four Sticks/In The Evening/KashmirとEgyptian合体曲を5曲も続けること
 により、ボルテージを徐々に盛り上げながら壮大なるエンディングを迎えることができました。

 この日のEncoreも非常にレアなパターンです。
 二人っきりのTangerineは2nd-LegのBoston公演以来ですが、アンコールでの演奏はお初です。
 間奏でのJimmyのカッティングはややラフな印象です。
 2曲めはネブワースVersionのWLLです。アンコールでの演奏はEuroのToulouse公演以来ですが、
 Thereminやメドレーまでキッチり演るのはこれまた初めてです。メドレー曲のIn The Lightも
 実はUS 2nd-LegのIrvine初日以来であり、久々の登場でした。"You need Love"部の雄叫びが
 鳥肌ものの迫力です。
 
 長いOvationの後、なんと2nd Encoreに再登場!曲はお馴染みRock and Rollです。
 Robertは初日より明らかに伸びやかなVocalでガンガン攻めたてます。Soloはワウをかけて
 おり、非常にスリリングなフレーズ回しです。エンディング近くのHardな音色もキテます。
 "Lonely, Lonely"のところを観客とかけ合い、最高の演奏が幕を閉じました。

PLAY : 5.0
REC  : 5.0 (1st Gen. from Remasterd Original Source)
RARE : 1.0
[Boot CD: Unledded Live 1996, The 2nd Day, No Quarter 他]

#03 02/08/96 Nippon Budokan, Tokyo, Japan
(Eastern)/Celebration Day/Bring It On Home/Heartbreaker/What Is and What Should Never Be/The Rain Song/Hurdy Gurdy Solo/When the Levee Breaks/Gallows Pole/Tea For One/The Song Remains the Same/Babe, I'm Gonna Leave You/Whole Lotta Love-Down By the Seaside-Break on Through-Dazed and Confused/Yallah(failed)/Four Sticks/In The Evening-Carouselambra/Kashmir//Custard Pie-Black Dog/Rock and Roll


Tea For One/The Rain Song

 東京3日目のステージです。演奏ミスが多かったため、マニア間では『リハーサル・ナイト』と
 呼ばれています。私が所有するTapeは少し残響があり、遠目の音です。

 この日もT・S氏撮影のAudience Shot Videoが広く出回っています。スタンド左からの望遠
 撮影で、非常に安定した映像です。

 Easternに続き、Celebration Dayで幕開けです。Robertは"Mohamed Abdel Wahab"
 というEgyptのMusicianの名前と上半身イラストがプリントされた袖なし黒Tシャツと黒ジー
 ンズという衣装です。Jimmyは相変らずです。
 Robertの声は前日に比べて良くなっていますが、高いキーの部分でかすれる場面があります。
 JimmyはLes Paulでの演奏ですが、おそらくはコーラス系のエフェクター処理により、12弦の
 ような厚みのある音に仕上がっています。
 間髪入れないでBring It On Home。ZEPPの73年Tourの曲順をほうふつさせて、思わず笑いが
 こぼれてしまいます。(73年はBring It On HomeのIntroのみでBlack Dogに移行してた...)
 Heartbreakerの後、少し間を空けておもむろにWhat is and What Should Never Beです。
 Jimmyのスライドが若干怪しげです。

 "Good Evening, Tokyo. Can you feel alright?"
 というRobertのMCに続き、Jimmyがスモールボディの6弦アコースティックギターを手にして
 弾き始めたのが、な〜んとThe Rain Song !!  Tour初公開の曲に会場がどよめきますが、
 6小節目のハイポジションに移るところでそれは思いっきり音を外してしまいます。
 あまりにHeavyなミスに、Jimmyは演奏を止めてRobertの方を見て照れ笑いし、再び頭から弾き
 直しています。変わったアレンジで、Vocalなしで1コーラスをJimmy一人で演奏しています。
 この間、RobertはJimmyの方をじ〜っと見つめ状態であり、Jimmyはさぞかし演奏しづら
 かったことでしょう。
 "Thank you very much Tokyo, and very warm......Good Evening!!"
 というRobertのMCは、ブーイングひとつないこの日の観衆に対するお礼と思われます。
 (某国であれば、あれこれ騒ぐ輩がいるに違いない)
 Hudry Gurdy Soloに続いて演奏されたのは、When The Levee Breaksです。EuroのGlasgow
 公演以来久々のフル演奏であり、演奏の方は若干粗削りな印象です。Jimmyはナチュラルフィ
 ニッシュのWashburn 12弦エレアコを弾いています。スライドSoloはここでも怪しげです。
 迫力あるGallows Poleの後、唐突に始まったのがTea for Oneです。初披露曲に観客は
 大いに沸きますが、IntroでJimmyが転調に失敗し、またもや演奏はストップしてしまいます。
 JimmyはKeyboardのEd Shurmerに対し、人差し指で何かをアピールしていますが、彼に何か
 非があったんでしょうか?(単なるOne More Pleaseのサインか?)
 このこっ恥ずかしい状況に、Robertは
 "This is a rehearsal for .......for the bootlegs!!"
 という、有名なJokeを飛ばしています。
 やり直しのIntroで転調に成功した時に、Robertが小さくパチパチと拍手するのが笑えます。
 全体的にストリングスのバランスが今ひとつで、妙に間の空いたサウンドとなっています。
 TSRTSの演奏は迫力充分です。RobertのVocalも及第点をクリアーしています。
 Babe...も情感たっぷり!Solo構成も変化に富んでおり、Best Takeのひとつでしょう。
 WLLメドレーのBreak on Throughで、JimmyのSoloに逆回転のようなエフェクトがかけられて
 いるのが面白いところです。
 すっかり安心していたところ、Yallahの冒頭でまたもやJimmyが演奏を止めてしまいます。
 『Guitarトラブル』などと言われてましたが、オーケストラ奏者のEric Gorfain氏によると
 「Drum LoopのTape音が、ステージ・モニターに全く返ってなかった」との事。
 どうやら「PAの音を頼りに演奏を試みたが、無理だったので中止してしまった」というのが
 真相のようです。結局演奏は再開されず、Four Sticksに移行してしまっています。
 こうしたアクシデントの割に演奏の方は悪くなく、In The Evening, Kashmirとそこそこに
 盛り上がってエンディングを迎えています。
 
 さて、EncoreはCustard Pieのフレーズで観客がどよめきますが、何やらRobertがからんで
 Jamった後にBlack Dog、という定番ナンバーでした。終盤の早弾きSoloが圧巻です。
 シメはやっぱりRock and Roll! Robertは声を振り絞っての熱演です。JimmyのSoloはワウ
 無しで、ストレートなフレーズ回しが快感です。
 
 アクシデントの連続! 不思議な一夜がようやく終わりました。
 
PLAY : 2.5
REC  : 5.0 (1st Gen. from Remasterd Original Source)
RARE : 1.0
[Boot CD: Welcome to Rehearsals, Celebrating 3rd and 4th Days 他]

#04 02/09/96 Nippon Budokan, Tokyo, Japan
(No Tapes)/The Rain Song/No Quarter/Babe, I'm Gonna Leave You/Immigrant Song-The Wanton Song/Heartbreaker/Ramble On/Hurdy Gurdy solo/Gallows Pole/Whole Lotta Love-Spoonful-Break on Through-Dazed and Confused/Tea For One/Dancing Days/Yallah/Four Sticks/In The Evening-Carouselambra/Kashmir//Black Dog/Rock and Roll


In The Evening

 東京4日目です。DAT落とし/MD落としの2種類のTapeを所有しています。前者は低音が強く、
 後者は高音が強いという印象です。Reviewには後者の方を使用します。
 
 T・S氏撮影のAudience Shot Videoが広く出回っていますが、私の所有するもの(西新宿で
 購入)はモノラルモードの上、音のレベルが低いという問題があります。
 
 この日は朝から雨模様であり、おそらくそれを受けてThe Rain Songで幕開けです。
 Jimmyの演奏は前日よりは安定していますが、若干怪しげな部分もあります。
 Robertは黒の袖なしベスト姿です。声はかすれていますが高いキーは出ています。
 No Quarter, Babe...とスロー/マイナーな曲が続き、いささかブル〜が入った会場の
 雰囲気ですが、Immigrant/Wantonで一気にスパークします。こういう曲順も新鮮ですね。
 Ramble OnのJimmyのスライドはいつにも増してラフです。
 Hurdy Gurdy Soloの最中、JimmyとRobertはDrumsの台に仲良く並んで座っています。何や
 ら楽しげに談笑しており、非常に微笑ましい姿です。
 Videoでは、Gallows PoleでKeyboardのEd Shurmurがバンジョーを弾いている姿を確認で
 きます。
 WLLメドレーはHowlin' WolfナンバーのSpoonful。EuroのBirmingham初日とUS 2nd-Legの
 Chicago/Detroitで演奏された、まあまあのレア曲です。ちなみにVideoにはミキサー卓の
 アップシーンでこの日の曲目表が大写しになりますが、メドレーはDazedのみが記載されて
 いました。メドレーの1曲目で何を演奏するかは、ホントにアドリブなのかも知れません。
 この日のTea For OneのIntro転調部は 臨界点ギリギリです。MichaelのDrumsはタイミ
 ングが悪くてハチャメチャですし、Jimmyのグリッサンドも大きくハズレています。原曲を知
 らないヒトは「アバンギャルドな曲だな〜」と感心するかも知れません。それ以外はメロ〜な
 フレーズが光っており、非常に良い演奏と言えます。強いて言えばストリングスのバランスが
 ちょっと小さめでしょうか?
 "Japan! Morocco! Japan! Egypt! Japan! Lebanon! Come on!!"
 と国際音楽交流を高らかに宣言してDancing Daysです。文句無しのタイトなサウンドで
 あり、日本公演ではどの日も良い味を出しています。
 前日はトラブルで演奏できなかったYallahですが、この日は問題無しです。Robertの声が少
 しカスれ気味ですが、Heavyなリズムで迫力充分です。
 続くFour Sticksもいつになく複雑なリズムであり、小気色良い感じで盛り上がって行きます。
 いつもより長めでソリッドなEgyptiansによるIntroがあり、In The Eveningがスタートしま
 す。JimmyのSoloは手数が多くて複雑ですが、若干迫力に欠けた感じがします。
 ラストのKashmirではRobertは伸び伸びと歌っており、高らかな雄叫びで終わる珍しいパター
 ンです。二人で肩を組んで観客に手を振り、ステージをいったん降ります。

 EncoreはOut on the TilesのIntroの後、あおりなしでBlack Dogです。Robertの声はかな
 り苦しそうですが、懸命の頑張りを見せています。終盤のJimmyのSoloも変わっていて面白く、
 最後はIn My Time of Dyingのリフに合せてRobertが"Jesus"何やらと歌っています。
 Rock and RollでもRobertはテンションを落としません。JimmyのSoloはフランジャーとワウ
 をミックスしたような攻撃的なエフェクトをキメています。Soloの終わりは75年風です。

 なかなかの盛り上がり大会で、4日目のステージが終了しました。

PLAY : 4.0
REC  : 4.5 (1st Gen. from DAT Master / 2nd Gen. from MD Master)
RARE : 1.0
[Boot CD: The 4th Show at the Famous Old Building, The 4th Night Live 他]

#05 02/12/96 Nippon Budokan, Tokyo, Japan
(Eastern)/Immigrant Song-The Wanton Song/Bring It On Home/Heartbreaker/Ramble On/No Quarter/Hurdy Gurdy Solo/Gallows Pole/Tea For One/The Song Remains the Same/Going To California/That's The Way/Babe, I'm Gonna Leave You/Whole Lotta Love-Bring It On Home-Break on Through-Dazed and Confused/Yallah/Four Sticks/Kashmir//Custard Pie/Rock and Roll


Custard Pie/Rock and Roll

 東京5日目です。
 DAT落としのUnderground tapeを所有しており、若干残響が多くて遠目の音です。US 1st-Leg
 の初期音源に似た感じです。(これで分かるヒトは凄い)
 この日のVideoは西新宿はおろかトレーダー間にも出回っていないようです。ご存じの方は情報
 をお願いします。

 久々のオープニング・シーケンスです。1年かけて構築しただけあって、やはり完成されていま
 すね。Robertの声は中2日を置いてかなり回復しており、太くて張りのある感じです。
 Robertは青いベルベット地のゆったりしたシャツに黒いパンツという衣装です。中世の王子様を
 思わせるナイスないでたちです。(これ以前の公演で見たことのないスタイル?)
 "Oh,Yeah. Good Evening,Tokyo. A Happy Holiday!"というRobertの第一声です。
 そう、この日は建国記念日の振替休日で、17:00開演だったのでした。
 Hurdy Gurdy SoloからGallows Poleという繋ぎは、これまた安心します。
 Tea For Oneは、Michaelの転調への入りが早過ぎて、Jimmyが一瞬リズムを見失っています。
 ここでMichaelが慌てずにJimmyに合せたため、なんとかスムーズに転調に成功しました。
 Ed Shurmurのエレピの音が利いてて、なかなか良い感じの演奏に仕上がっています。
 TSRTSでのJimmyのSoloはキレが今ひとつで、前後の公演に比べて粗削りな印象です。
 Going to Californiaは初日以来です。もう少しオケのバランスが大きくても良いかな?
 That's The Wayは日本Tourではこの日だけです。肩の力が抜けた感じで、ホっとする1曲に
 仕上がっています。
 この日のBabe...はオケが素晴らしく、非常に美しい響きをかもし出しています。さらにJimmy
 が機知に富んだSoloを披露し、Robertは感情のこもったインプロビゼーションをかましてます。
 おまけにMichaelがマシンガンのようなDrumsを叩いており、おそらくは日本公演で最高の出来
 となりました。
 この後、RobertはEブロックの最前列を歩き回る外人の女性に向かい、

 「おや、前の方で迷子になってるレディがいるね」

 と客いじりを始めますが、この女性がBackstage Passを腰に付けていることに気付き、

 「あれ?君、パスを付けているの? 君はバッジホルダーか!?
  え〜と、1972年に、どこで君を見たんだっけ?.....
  とにかく、昔みたいに楽しいことになりそうだね」

 というようなコトを上機嫌にしゃべっています。これが有名なバッジホルダー発言
 のいきさつです。


 WLLメドレー1曲目はBring It On Homeです。RobertのMouse Harpをフューチャーし、原曲
 のSonny Boy Williamson IIのVersionを、更に遅くブルージーにしたようなイメージです。
 段々とテンポを上げて行ってBreak on Throughに繋げています。
 Yallahで雰囲気がエスニック色にガラリと変わります。自信たっぷりに歌うRobertは、どこか
 の王国のサルタンのようです。
 Robert歌いまくりのFour Sticksの後、In The Evening無しのKashmirでエンディングとなっ
 ています。EgyptianのViolin Soloは、いつもより余計に長く弾いている気がします。

 Encore1曲目はCustard Pie! フル演奏はDublin2日目の初演以来という超レア曲です。
 Rock and RollでのRobertのVocalは冴え渡っています。JimmyのSoloはワウなしのストレート
 な音色です。Solo終わりは前日と同じ、75年パターンでした。
 
 全体的に落ち度の無い、なかなか良い演奏でした。

PLAY : 4.5
REC  : 4.5 (1st Gen. from DAT Master)
RARE : 1.0
[Boot CD: Evening Custard, The 5th Show at the Famous Old Building 他]

#06 02/13/96 Nippon Budokan, Tokyo, Japan
(No Tapes)/Thank You/Custard Pie/Out on the Tiles-Black Dog/Tangerine/Hurdy Gurdy solo/Gallows Pole/Tea For One/The Song Remains The Same/Going to California/Babe I'm Gonna Leave You/Whole Lotta Love-I'm a King Bee-Break On Through-Dazed And Confused/Friends/Yallah/Four Sticks/Kashmir//What is and What Should Never Be/Rock and Roll


The Song Remains The Same/Tangerine

 東京最終日、追加公演である6日目です。
 DAT落としのUnderground Tapesを所有しており、メリハリの効いた良い録音です。
 この日のVideoはトレーダー間でもほとんど出回っておりませんが、私はある筋より幸運にも
 入手できました。ただし3階からのロングショットで手ブレが激しく、演奏を確認するのは
 かなり困難です。

 OpeningはThank You。これはマニア筋の大方の予想通りでした。Robertの衣装は3日目と同
 じ袖なしプリント黒シャツに黒い皮パンツです。リラックスした演奏であり、Robertの声も
 まだ暖まっていない感じです。
 Custard PieでもRobertはガラガラ声で、高いところはヨレています。JimmyのSoloはフラン
 ジャー&ワウでHardにキメてて良しです。
 Out on the TilesのIntroのリフに続き、"Hey,Tokyo〜!!"とあおってBlack Dogです。
 こんな早い曲順で演奏されるのは久しぶりですが、Heartbreakerの代わりの位置付けのよう
 です。最後にJimmyはIn My Time of Dyingに展開する恒例のリフを入れますが、Robertは
 "Oh,Yeah〜!"と叫ぶのみで、思い通りにカラんでくれません。
 Jimmyは赤のストリングベンダー付のLes Paulを、ここまで通しで使っています。
 この日はNo Quarterの代わりにTangerineを演奏してます。2日目同様の二人きりの演奏で
 あり、スカスカのサウンドが物悲しい雰囲気を出しています。

 「今夜は非常に悲しい夜です。本Tourにおける、この街での最後のステージだからです。
  我々は素晴らしい時をここ東京で過ごしました。今夜も頑張って演奏しますので、皆さん
  もこの瞬間を忘れないでいて下さい」 胸にぐっと来るセリフですね〜。

 Hurdy Gurdy SoloからGallowsというお約束の展開に続き、Tea For Oneです。この日も
 IntroでのMichaelのDrumsが怪しげですが、なんとかJimmyはマトモに転調に成功してます。
 演奏のメリハリもあってオケのバランスも良く、なかなかの出来だと思います。
 TSRTSはのっけからスピード感があります。JimmyのGuitarのキレは抜群!これは今までの
 公演の中でも1、2を争う出来です。Robertもカスレ気味の声で大健闘しています。
 Going to Californiaはオケが重厚で気持ち良いです。Robertもそれに聴き惚れていたのか、
 2コーラス目の頭で入りを忘れてしまいます。これはご愛敬です。
 Babe...もオケが冴えており、壁のような分厚いサウンドでガンガン押しています。Jimmyの
 Soloも、くせのある揺れるようなメロディーラインがとても秀逸です。
 WLLメドレーの1曲目は初登場のI'm a King Bee。おなじみのLight My FireをもっとBlack
 にしたような感じです。テンポを徐々に上げてBreak on Throughに繋げています。ここでも
 Robertが半拍Vocalの入りが遅れますが、バンドが素早くフォローして事無きを得ています。
 JimmyのSoloは逆回転風のエフェクトをかけています。
 Egyptian曲の最初はFriendsです。意外にもこの日が日本での初披露なのでした。
 Yallahの出だしで、JimmyのGuitarにワウが掛かっています。(多分、WLLのエンディングで
 踏んだままになっていた?)サウンドは前日同様、迫力のあるものです。
 Robertが何やら話しているのに、JimmyはおかまいなしにFour Sticksに突入してます。
 録音のせいなのか、あまりDrumsに迫力がありません。
 KashmirでようやくRobertは伸び伸びとしたVocalを取り戻したかのようです。Violin Solo
 はこの日も気絶しそうなくらいの長さです。

 Encoreの1曲目はWhat is and What Should Never Be。Encoreで演奏されるのは初めてで
 す。Jimmyのカッティングが左右に大きくパンされるのがこの日の特徴です。終盤のRobertの
 シャウトはよく声が出ています。
 "Good night, Sayonara Japan!! "というRobertのMCに、観客は「ヤダ〜!」と
 叫んでいます。で、最後はやっぱりRock and Roll!Robertはノリノリで歌いまくりです。
 JimmyはSoloをフランジャー&ワウでキメており、シメはやはり75年パターンです。最後の
 MichaelのDrums Soloも圧巻!EdのPianoも大きめに入っており、最高の演奏でした。
 
 尻上がりに良くなっていった、素晴らしい一夜でした。

PLAY : 5.0
REC  : 5.0 (1st Gen. from DAT Master)
RARE : 1.0
[Boot CD: The 6th Show at the Old Famous Building, Two Swans on a Century Lake 他]

#07 02/15/96 Castle Hall, Osaka, Japan
(Eastern)/Custard Pie/Bring It On Home/Heartbreaker/What is and What Should Never Be/Hurdy Gurdy Solo/Gallows Pole/Wonderful One/Going To California/Ten Years Gone/Babe I'm Gonna Leave You/Whole Lotta Love-You Shook Me-Break On Trough-Dazed and Confused/Tea For One/Friends/Yallah/Four Sticks/Kashmir//Black Dog/Rock And Roll


What is and What Should Never Be/Ten Years Gone

 日本公演7日目、大阪の初日です。
 私が所有するUnderground Tapeはクリアな音質ですが、若干低音に欠ける感じです。
 ステージの左横スタンド席から撮影されたAudience Shot Videoが一部で出回っています。
 途中で何回か暗転してしまうことを除けば、かなり安定した映像です。

 OpeningはCustard Pie! もちろん初めてのパターンです。
 RobertのVocalのしょっぱなで、MicのVolumeが小さいというアクシデントがあります。冒頭
 声がかすれる場面が度々あります。Robertの衣装は上下白のサマナ服です。
 HeartbreakerでのJimmyは手数が多く良い調子です。
 What is...では前日同様、JimmyのGuitarのカッティングが左右に大きくパンされてます。
 
 "Hello, Osaka..... It's indeed great pleasure for Jimmy/I to be back here 
 in your town together after such a long time." という挨拶の後、

 「あれから我々にも多くの変化があり、皆さんにも多くの変化がありました。最も大きな
 変化は、皆さんの中の何人かは前回の来日の時は生まれてなかったことです(笑)」

 と軽く笑いを取ってます。
 そして「彼も前回の来日の時には生まれていませんでした」と言ってHurdy Gurdy奏者の
 Nigel Eatonを紹介しています。
 Gallows Poleに続いて「新曲です」と言ってから演奏されたのがWonderful Oneです。
 US 1st-Legの5/10/95 Phoenix公演以来という、ホントに久しぶりのPage/Plant曲です。
 JimmyがOvation W-neckの2本のネックを巧みに使い分けているのが奏法的な見所で
 あり、もっと評価されても良い佳曲だと思います。
 
 "This is the song for all the happy folks of Osaka."と、いささか過分な賛辞
 を述べて、Going to Californiaを演奏してます。重厚なオケが気持ち良く、エンディング
 をクレッシェンドで盛り上げてるのが珍しいところです。
 "This is the song for the happy people of....Osaka."という更なる賛辞に
 続いて演奏されたのがウルトラ・レア曲のTen Years Goneです。Jimmyはローズ
 ウッドのストリングベンダー付きTelecasterで、懐かしのフレーズを淡々と弾いています。
 Soloはフェイザー掛けっぱなしのショワショワの音で「健闘」しています。ストリングスで
 音の厚みを付加してるのは意外にハマっています。RobertのVocalはZEPP時代のようにハー
 モナイザーを使っていません。結局この日だけの演奏となってしまい、非常に残念です。
 Babe...はJimmyのSoloがちょっと変わってて面白いです。オケも重厚な音で良い感じです。
 WLLの頭でJimmyはバンジョーのようなコードカッティングを入れており、Michaelが軽く合
 わせています。Thereminに行く前にスリリングなJamパートを入れているのが聴き所です。
 ストリングベンダー技の出だしも、いつもと違うひと工夫をしています。
 メドレーの1曲目、RobertはLight My Fireに似たマイナー調の演奏に合わせて聴きなれ
 ないメロディーを歌っていますが、歌詞はどうやらYou Shook Meのようです。
 キメのGuitar Soloと締めでは、Jimmyはワウをかけていました。
 間髪を入れずTea For One! Introは初めてのノーミスです。RobertのVocalも情感
 たっぷりで、重厚なオケとあいまって、この曲のベストテイクに仕上がっています。
 Friendsの後、前日のSt.Valentine's Dayにちなんでか、

 "Here's little tune that we dedicated to all Vallentine's .......
  This is song for everybody who gave somebody chocolate heart."

 と紹介してYallahを演奏します。ちょっとMCがTapeにかぶっていますが、RobertのVocal
 は伸びやかです。オケも重厚で、なかなか良い感じに仕上がっています。
 Four SticksでもRobertは調子を維持してます。Drumsが若干迫力不足でしょうか?
 エンディングはKashmir。Violin Soloの終わりに、EgyptiansのちょっとしたJamが追加
 されています。Robertが良い調子のまま、壮大なスケールで終わっています。
 二人は肩を組みながらステージを降ります。

 「大阪公演は客の反応が悪かった」と言う話がありますが、確かに東京公演に比べてアンコ
 ールを求める拍手/歓声は少なく、寂しげに聞こえます。このTapeでも関西弁の話声が聞こ
 えますが、非常にクールでおざなりな感じです。
 こんな状況の中、Encoreに答えてステージに再登場しますが、観客の歓声の録音Tape(どこ
 かの公演でオケを紹介した時のもの)をPAから流すという、笑えないお遊びをしています。
 JimmyはGuitarを抱えたまま苦笑し、Robertは観客をあおりつつ一人で笑い転げてます。
 Out on the Tilesのリフを弾いた後、"Osaka, Talk to us!!"と叫んでいます。ただし、
 問いかけるいつもの口調ではなく、観客を鋭く指差しながら、です。直後にまたもやTapeが
 流されてます。続いて演奏されたBlack Dogは、まあ普通の出来です。
 最後はRock and Roll。Videoでは頭が抜けてて、Guitar Soloの手前からの収録です。
 Jimmyは小さいながらもお約束のJumpをしてくれています。"Lonely"のところで観客と掛け
 合いをやっており、ここでは「流石の」この日の大阪人達も盛り上がってます。

 レア曲も披露し、演奏も決して悪くなかったのに、非常に後味の悪い公演でした。

PLAY : 4.5
REC  : 5.0 (1st Gen. from DAT Master)
RARE : 1.0
[Boot CD: Two Days in Osaka, Two Swans on a Century Lake 他]

#08 02/17/96 Century Hall, Nagoya, Japan
(Eastern)/Heartbreaker/Bring It On Home/Custard Pie/Ramble On/Tangerine/Thank You/Hurdy Gurdy Solo/Gallows Pole/The Rain Song/The Song Remains The Same/Tea For One/Dancing Days/In The Evening-Carouselambra/Four Sticks/Kashmir//Celebration Day/Black Dog-In My Time of Dying/Rock And Roll


Tea For One/Black Dog

 日本公演8日目の名古屋公演です。
 Boot CD(Led Willows)からの1st Copyで保持しています。非常に高音質の良い録音です。
 客席後方から撮影されたAudience Shot Videoが一部で出回っています。Screen Shot中心で、
 後半に直接shotも若干あります。手ブレが激しく、終盤は暗転が多発します。
 
 OpeningはHeartbreaker。これも全Tour中初めてのパターンです。Robertは大阪初日で着てた
 白のブラウスに黒の皮パンツ姿です。Jimmyはいつもの緑のサテンシャツです。
 冒頭、Jimmyのリフが若干怪しげでヒヤっとします。Robertの声には透明感があり、高い部分
 もOKです。1曲目から無伴奏Soloというのは構成上どうかな?という疑問もあります。
 ブレークしてからのBring It On Homeへの入り方もやや不自然です。
 続くCustard Pieへの入り方も唐突ですが、演奏そのものはタイトで迫力あるものです。
 Ramble Onがなんだか映えないのは、前曲と似たようなテンポのせいでしょうか?

 "Hey, Nagoya! It's great pleasure to be here.
  Tonight, you sound really, really happening!" (今夜はみんな、えらくノッてるね)

 とMCを入れてTangerineです。Jimmyの演奏はタメが効いており、適度なリバーブ処理も手伝い、
 ドラマチックな良い出来になっています。
 ここでまたまた唐突にThank You。IntroのGuitarがなぜかためらいがちです。
 Hurdy Gurdy Soloの前に、

 "I let me tell you this, this is much better than two nights ago in Osaka!!"

 という「ミもフタもない」MCを入れており、客はリアクションに困っています。Nigelは
 裾の長いウィンドブレーカーの上にジャンパーを羽織り、下は白のTシャツというラフな格好です。
 演奏後、Jimmyが扇子でNigelを扇いであげてます。Robertが"Porl Thompson!!"と叫んで
 いるのは、ギャグなのかマジボケなのか謎です。
 Gallows Poleに続いてThe Rain Songです。Jimmyのピッキングは伸びやかで、随所にビブラー
 トをかける余裕まであります。ストリングスもバランス良く、全体的に美しい仕上がりでした。
 TSRTSは安定した演奏で悪くありませんが、JimmyのSoloでの3連ピッキングのキレは今ひとつ
 です。
 Tea For Oneは、Intro転調部でJimmyの出だしの音が外れてアレレな感じです。Soloも
 どことなく精彩が欠けたような印象です。結局、この日が最後の演奏になりました。
 低い声でEgyptiansを紹介した後、Dancing Daysです。Robertはリラックスした歌い方です。
 終盤に挿入されるEgyptiansの演奏もゆったりした余裕を感じるものです。
 In The EveningのIntroでも、Egyptiansがいつもより重厚なリズムを聴かせてくれてます。
 演奏の方もスケールのでかさを感じるものです。Carouselambraの冒頭で小刻みなパーカッショ
 ンが入ってるのが変わったところでしょう。
 しかし!ここでなぜかFour Sticksなのです。せっかく重厚に盛り上がった雰囲気がくだけて
 しまうのはイケてません。以降の日本公演もこのパターンとなってます。
 エンディングはKashmir。バンド/オケが一体になった完璧な演奏で締めくくっています。
 
 Encore1曲めはCelebration Dayです。Encoreで演奏されるのは初めてです。
 演奏前にRobertが"Phil Collins' Lighting!"と叫んでいます。バリ・ライトのこと
 を言ってるのでしょうか。(Genesisが開発に関与したから) 演奏はタイトで良い感じです。
 続けざまにBlack Dog。Robertのシャウトから始まる原曲Versionです。JimmyのSoloは力強い
 早弾きで感動です。終わりに"Jesus!"というIn My Time of Dyingの歌詞を入れてます。
 Rock and RollのIntroのDrumsは、デンデケデケケ...という御はやし調でです。
 Soloはフランジャー&ワウで攻撃的です。Robertは声を枯らして熱唱してます。

 演奏は悪くないのに、構成が悪くて損をしてる公演です。

PLAY : 4.5
REC  : 5.0 (CD : Led Willows)
RARE : 1.0
[Boot CD: Led Willows, Little Jimmy, Two Swans on a Century Lake 他]

#09 02/19/96 Castle Hall, Osaka, Japan
(Eastern)/Celebration Day/Bring It On Home/Heartbreaker/What is and What Should Never Be/Tangerine/Thank You/Hurdy Gurdy Solo/Gallows Pole/Nobody's Fault But Mine/The Song Remains the Same/Since I've Been Loving You/Whole Lotta Love-It's All Over Now-Break on Through-Dazed and Confused/Dancing Days/In the Evening-Carouselambra/Four Sticks/Kashmir//Black Dog/Rock and Roll

 日本公演9日目、大阪の2日目です。
 Analog Masterからの1st Copy、DATからの1st copy、Boot CD(10 Days)からの1st Copyの
 3つの音源で所有しています。
 Analogは歪みが多く、すり切れたような音質で、Boot CDは透明感のある音ですが若干遠目で
 迫力に欠けています。DATからの1st copyは文句のない良い音です。
 この日のVideoはトレーダー間には出回っていないようです。
 序盤の展開は東京3日目と同じで、淡々とした調子で進んで行きます。
 Robertの声の調子は悪くありませんが、あまり力を入れて歌っていない印象を受けます。
 What is...の後、RobertはMCで

 "Hey.....I said Hey......I said Hey Hey, Baby!!"と観客をあおった後、
 "Hello, Osaka!! This is the special night for us. This is the happi coat show."

 と続けています。ZEPP時代にハッピを着た思い出がある、ということでしょうか?
 東京3日目でThe Rain Songが演奏された位置ではTangerineとなっており、以降は別の展開に
 なっています。日本公演では恒例となった二人きりのパターンですが、粗削りなJimmyのGuitar
 が、この日は良い雰囲気を出しています。
 曲の合間に何やらボソボソMCを入れていますが観客は無反応です。(私も意味が分からない)
 Thank Youはこれまた淡白な感じです。Guitar Soloも平凡な出来です。最後のRobertの雄叫び
 がエコーで長〜く伸ばされているのが珍しいところでしょうか?
 ここでのMCでは"Kyoto","Geisya"等の単語を出してふざけており、あげくの果てにはNigelのこと
 を『ナイジェル・ケネディ!』などと紹介しています。
 Hurdy Gurdy SoloからGallows Poleに続けるのは恒例ですが、更にNobody's Fault But Mineに
 繋げてるのは珍しい展開です。特筆すべきは、RobertがMouse Harpを披露している点です。この
 曲での披露は初めてのパターンです。演奏後のMCは、

 "Sang for delta.....for Mississippi delta......from Mississippi delta to Osaka...
 Home of blues!!"
 
 つまりはNobody's...を、ブルース発祥の地であるミシシッピのデルタに捧げるということで
 しょうか。
 TSRTSの出だしは気の抜いたような歌い方でしたが、"California Sunlight"の部分では力の
 入った雄叫びを聴かせてくれます。Jimmyの3連ピッキングのキレは今一つです。
 SIBLYのIntroはメロ〜かつドラマティックで良しです。Robertも気を入れて歌っています。
 Soloの出だしはかったるい気もしますが、中盤からは弾きまくりで面白いフレーズ構成です。
 恒例のメンバー紹介でも、この日のRobertは突っ走っています。KeyboardのEd Shurmurのこと
 は「ロス・コンヴェイ(誰?)」だし、BassのChalie Jonesは「テンプル・ジョーンズ」です。
 WLLのTheremin Soloの直前で"Osaka!"と連呼し、スラップ・エコーをかけて遊んでいます。
 メドレー1曲目のIt's All Over NowはStonesのカヴァー曲とのことですが、元ネタは不明です。
 しかし、この位置で唄われる曲は、どれも抑揚のない曲ばっかりです。
 悲しい事に、明日我々は日本を後にしなければなりません。その前に...」
 とEgyptiansを紹介し、Dancing Daysです。
 Egyptiansによる長めでソリッドなIntroの後、In The Eveningです。冒頭のRobertの雄叫びは
 スラップエコーと深めのリバーブを駆使して幻想的な雰囲気を出しています。JimmyのSoloは
 どの音源も引っ込んだ感じの音であり、フレーズ的にも特筆すべきところはありません。
 Four SticksではRobertの声が枯れており、高いキーの部分を巧みに避けています。
 ラストはKashmir。冒頭の歌い出しで、Robertはたっぷりと抑揚をつけています。
 終盤の盛り上がりは日本公演中でも屈指のものになっています。
 "You keep it up, smile on!!. Good night."
 と言い残していったんステージを去ります。
 
 Encore1曲目はCelebration Day風のカッティングに続き、何やらテンションの高いJamを入れ
 てBlack Dogです。通常、この曲の終盤では、Jimmyがお馴染みのリフのハモリのパートを弾く
 のですが、この日はそれがありませんでした。観客との掛け合いの部分では、Robertがわざと
 音程を外してイジワル(?)をしています。終わりも何やらJamを入れてます。

 "Fantastic evening! Good-bye everybody!"

 と言って観客をビビらせた後、Rock and Rollです。IntroのDrumsはかなり変ですが、Robert
 のVocalはここに来て大迫力です。JimmyはSoloの手前からフランジャー&ワウをかけてます。
 Soloのフレーズ自体は73年頃のノーマルな構成です。エンディングのDrumsも技を入れてて、
 かなり濃い目です。
 
 "Good night, ladies and gentlemen in Rio!!"
 
 最後のMCまで、ホントに大人げないRobertでした。演奏はそこそこに良いのに、非常に残念です。
 
PLAY : 4.5
REC  : 4.5 (CD : 10 Days)
RARE : 1.0
[Boot CD: Have a Mercy Osaka, Two Days in Osaka 他]

#10 02/20/96 Marine Messe, Fukuoka, Japan
(No Tapes)/Babe I'm Gonna Leave You/Ramble On/Custard Pie/Heartbreaker/Wonderful One/The Song Remains The Same/The Rain Song/Celebration Day/Hurdy Gurdy Solo/Gallows Pole/Since I've Been Loving You/Whole Lotta Love-Baby Let Me Follow You Down-Going Down-Break On Through-Dazed and Confused/In The Evening-Carouselambra/Four Sticks/Kashmir//Black Dog/Rock And Roll
 日本公演10日目、最終日です。
 私の所有する音源はDATクローンからのアナログ1st Gen.です。残響が少なくクリアな音質
 ですが、時々パチパチというノイズがあります。Drumsが奥に引っ込んだ感じです。
 この日のVideoはトレーダー間にも出回っていないようです。
 
 東京2日目同様、EasternなしでBabe...というOpeningです。この日もオケ無しですが、オル
 ガンの音が小さめでサウンドは薄い感じです。Jimmyのアルペジオも一部怪しげです。
 Soloは低音弦をこねくり回すようなフレーズで、流れる感じが希薄です。
 2曲めはRamble On。おとなしい展開のためか、観客のリアクションも少なめです。
 中盤のJimmyのスライドがかすれたような音で、一瞬ヒヤっとします。
 Robertの声は悪くはありませんが、高いキーの部分は巧みに避けて歌ってるようです。
 Custard Pieでようやく喝が入ります。序盤の演奏はまとまっていますが、終盤Mouse Harp
 の入りが早かったり、Jimmyと他のメンバーが密かに合わなかったりしてます。
 Heartbreakerへの入りに間が空いており、せっかくの勢いを削がれた感じです。Soloで唐突
 に終わるのがPage/Plant版のアレンジですが、直後に曲が続かない場合は間が抜けてます。
 
 「今日は日本での最後の公演です」と感傷的につぶやいた後、「新曲です」と紹介し、
 Wonderful Oneを演奏しています。通常はDrums Loopが先に聴こえますが、この日はJimmyの
 Guitarが先に聴こえてます。オケの感じが絶妙で、叙情的な素晴らしい曲に仕上がってます。
 ここで唐突にTSRTSです。こんな早い曲順での演奏は初めてです。演奏はまずますですが、
 RobertがCalifornia Sunlightの歌詞への入りが遅れてます。(おなじみの失敗です)
 続いてThe Rain Songですが、W-Neckからアコギへの持ち替えがありますので、ZEPP時代の
 ようなメドレーにはなっていません。演奏に慣れたせいか、安定した良い演奏になってます。
 演奏後、オケ隊のリーダーであるEric Gorfain氏を紹介しています。
 次はCelebration Dayで、全く予測できない展開です。Robertが色々アドリブを入れてるの
 が珍しいところです。
 いつもより少し遅い位置でHurdy Gurdy Soloが入ります。以降、ようやく聴きなれた曲順に
 戻っています。
 Gallows PoleのIntroで、Jimmyがお遊びでCelebration Dayのリフを少し弾いてます。
 続いて演奏されたのは、前日同様SIBLYです。Introは非常にデリケートな音質で「寸止め」
 の印象を受けますが、歌に入ってからの演奏は冴えています。Robertは伸びやかに歌って
 おり、JimmyもTea For Oneより遥かに弾きやすそうです。Soloはリラックスした感じで、
 鋭さには今ひとつ欠けています。随所にTea For Oneの名残を感じます。
 
 "Blues is so just like rain. He is not blues. Girl's life is blues.....
  Just changes a little bit."  

 という謎めいたセリフの後、WLLです。メドレー1曲目はBaby Let Me Follow You Down
 なるBob Dylan Numberで、Going Downを挟んでBreak on Throughに移行しています。
 「Dazedの前にThe Crungeを少しだけ演奏している」という説がありますが、私には
 分かりませんでした。
 In The Eveninigの冒頭、Egyptiansによるパーカッション演奏は非常に神聖な響きです。
 冒頭のRobertの雄叫びも前日以上に凝っており、儀式の詠唱を思わせる面白いものです。
 JimmyのSoloも、アームを多用して攻撃的なフレーズを繰り出しています。
 この日もFour Sticksがこの位置に演奏されています。
 Kashmirの前に、プロモーターのウドーに感謝の言葉を述べています。こうしたセリフが
 MCで聴けたのは初めてでおり、日本公演が彼等にとって特別であったことが伺えます。
 Violin Soloでのピチカートが良い味を出しています。
 
 Encoreに登場したRobertは"Talk to us!!"とあおりますが、福岡の観客は訳が分からず
 無反応です。遅れてちょっとだけ上がった歓声に対し、「そうそう、それで良いんだ!」と
 安堵の声で応えています。
 Encore1曲目はBlack Dog。Robertの声は良く出ていますが、随所で勿体をつけた歌い方を
 しており、バックと微妙にズレたりしてます。最後は恒例のIn My Time of Dyingではなく、
 別の掛け合いを入れてます。
 Rock and Rollは全開!JimmyのSoloはフランジャー&ワウ入りです。バックの音も分厚く、
 "Lonely"の掛け合いもピッタリ。最高のエンディングとなりました。
 
 "Peace and Love....."
 
 というRobertの言葉を残して、日本公演の幕が下ろされました。

PLAY : 4.5
REC  : 4.5 (1st Gen. Undeground Tapes)
RARE : 1.0
[Boot CD: The Celebrating 10th Day, Eternal burning, Going Down to South 他]