Japan Tour 傾向分析

さて、レビューから分析した内容を以下に列記します。

1.日替わりsetlist

 初日こそ南米のsetlistと同じですが、以降一日たりとも同一のsetlistの日が存在しなかった  という、文字通り「日替わりsetlist」でした。  これにより、「明日は何をやるんだろう?」という期待をファンに持たせることになり、当日  券を買いに走る原動力を生み出したと考えます。  

2.Page/Plant曲の復活

 US 2nd-Legで落とされてしまったYallah/Wonderful Oneの2曲が、日本公演で復活しました。    Yallahは東京2/6,8,9,12,13と大阪2/15での演奏でした。  従来、LIVE中盤に演奏されることが多かった曲でしたが、日本ではLIVE終盤、Egyptiansとの  連続演奏の一部に組み込まれる形でした。アラビックな気分が持続する分、こちらの流れの方  が良かったと思います。    Wonderful Oneは大阪2/15のみの演奏でした。この日に対する二人の思い入れが分かります。  (だからこそ、ウケが悪くてあんなに激怒したのでしょう)

3.新曲の導入

 以下の3曲が日本公演で初めて演奏されました。  ・The Rain Song ---(初演:2/8/96)  ・Tea For One -----(初演:2/8/96)  ・Ten Years Gone --(初演:2/15/96)  共通点は「オーケストラ曲」だった、ということです。  Page/Plantのオーケストラ奏者だったEric Gorfain氏によると「東京のオケが一流だったため、  二人はえらく気に入った。それでThe Rain Songを演ろうと言い出した」というお話でした。  更に東京は連続公演だったため、オケのメンバーと新しい曲をリハーサルする時間がたっぷりと  あったことも原因と考えます。

4.復活曲

 ・Custard Pie     7/20/95のDublin 2日目以来の演奏です。     日本公演では盛り上げに欠かせない重要なナンバーとなりました。  ・Celebration Day     同じく、7/20/95のDublin 2日目以来の演奏です。  ・When the Levee Breaks     7/12/95のGlasgow公演以来の演奏です。  ・Friends     10/12/95のBoise公演以来です。

5.最高/最低の公演は?

 ●最高:演奏点で5.0が付いたのが2/6/96の東京2日目と、2/13/96の東京最終日でした。  ●最低:演奏点で2.5だったのが2/8/73の東京3日目でした。  大阪初日/名古屋も演奏としては極上の部類に入ると思います。ただし、前者は観客のウケが  悪く、アンコール後の雰囲気が悪かったのが難点です。後者は各曲の出来は良いのに曲順が悪  く、盛り上がりに欠ける感がありました。

6.まとめ

 今回、主観をできるだけ除外し、音源/Videoのみで日本公演を客観的に聴き直しました。  その結果、皆様の批判を恐れずにあえて言わせてもらえば、  「2人の演奏に関してだけ言えば、        日本公演と他のTourに大きな隔たりはなかった」  と感じました。  特にRobertの調子は万全とは言い難い状態で、高いキー部分を巧みに避けて歌っていました。  東京公演はほぼ全滅で、大阪以降から若干向上したようです。  ただし、他のTourでは感じなかったリラックスしたムードがあり、中でも東京公演では  「何でもあり」の自由な雰囲気を感じました。US Tour等で感じる尖った緊張感が  ないのです。同一会場での連続公演で移動は無し、ホテルにじっくり腰を据えてBoot屋巡り  三昧!そりゃ〜リラックスするでしょう。  また、Jimmy/Robert以外のメンバーについては、これは間違いなく良い演奏であったと断言  できます。Egyptiansは毎晩これでもか!という熱の入った演奏を繰り広げていましたし、  オケ隊も伸びやかな音色を聴かせてくれていました。  前者については、LIVE終盤にエスニック曲を連続して配置し、盛り上がりを持続させたのが  勝因だと思います。  後者はオケ・リーダーのEric Gorfain氏の話によると、彼自ら「Rockの演奏経験がある腕利  きの奏者」を選択したとのこと。当日寄せ集めのオケ隊とはモノが違った訳です。  あと、印象的だったのは、Robertが英語の苦手な観客にゆっくりと話し掛け、惜しみない賛  辞を述べていたことです。最終日の福岡で、プロモーターのウドー氏にThanksを述べたり、  前述のEric氏をわざわざ紹介したのも前例のない行為でした。  結果的に、日本公演は不思議な魅力のあるLIVEに仕上がっていました。こうした事情を知ら  ずにいきなり聴いたヒトも、「何かが違う」ということを感じ取って頂けるのではない  でしょうか。  日本公演は彼等にとっても「特別なもの」であった、と私は信じたいと思います。  
 さて、彼等は日本を後にし、南半球のオーストラリアに転戦します。  長きに渡るWorld Tourの最終公演地。彼等は有終の美をどのように飾ったのでしょうか?  次回はついに最終回!豪州公演レビューをお楽しみに。