East Europian Tour 1998 Review

東欧Tourの全8公演の音源に対して、setlist/コメント/レーティングを付けてみました。 対象は私が入手したアナログcassette tapeであり、レーティングは演奏点(PLAY)/音質点(REC) /希少点(RARE)の3つです。 演奏点につきましては、「Wanton/TSRTSでのRobertの声の伸び」「SIBLYでのJimmyのギターの流 暢さ、フレーズの面白さ、コンビネーションの自然さ」等が主なチェックポイントです。 音質は、アナログのUnderground Tapeに関してはジェネレーションで大きく変わるものなので、 あくまで私が所有するものに対してそう感じたという事です。 以下にレーティングのおおよその見方を記します。 PLAY : 1 : (Many Mistaken) 演奏ミスが目立ち、冴えたところがほとんどない。 2 : (Some Mistaken) 演奏ミスが少しあり。特に冴えたところもない。 3 : (No Feature) 演奏ミスはないが、特に冴えたところもない。 4 : (Some Good Plays) 演奏で冴えたところがいくつかあり。 5 : (Many Good Plays) 演奏の随所に冴えが見られる。 REC : 1 : (Terrible) 歪み/こもり/遠さがひどく、細部が良く分からない。 2 : (Some Noise/Dist) 歪み/こもり/遠さが目立つ。 3 : (Not Good) 歪み/こもり/遠さを感じる。 4 : (Good) 音は良いが、観客の話し声やノイズ等がある。 5 : (Excellent) 音に問題が全くない。 RARE : 1 : (BOOT Available) Boot CDで簡単に入手可能 2 : (Rare BOOT) Boot CDで入手可能であったが今は廃盤 3 : (Tape Available) Underground Tape市場で広く出回っている 4 : (Rare Tape) Underground Tape市場でも持ってる人が少ない 5 : (Ultra-Rare Tape) Underground Tape市場でも持ってる人が殆どいない *Tight but LooseのTour Reportを一部参考にさせていただいてます。
#01 02/21/98 Dom Sportova, Zagreb, Croatia
Eastern/The Wanton Song/Bring It on Home/Heartbreaker/Ramble On/Walking Into Clarksdale/No Quarter/Going To California/Tangerine/Gallows Pole/Most High/Babe, I'm Gonna Leave You/How Many More Times-In The Light/In The Evening/Whole Lotta Love//Encores:Thank You/Rock and Roll

 約2年振りのWorld Tour初日は、政情不安定なクロワチアからのスタートです。
 私は4th Gen.のUnderground Tapeで所有しています。Audience録音で、若干こもり気味では
 ありますがなかなかバランスの良い録音です。

 オープニングBGMは前回のTour後半と同じ、通称「Eastern」です。
 1曲めはThe Wanton Song。前回のTourではImmigrant SongのリフをIntroにあしらっていま
 したが、今回はそのまんまのアプローチです。IntroでのDrumsの遊びは少なめです。Jimmyの
 Guitarは歪み多目、低音を強調した太い音色です。Soloは最後にコード弾きを入れる等、微
 妙に前のTourとフレーズが異なります。Robertの調子は今ひとつで、高い部分に行くと声が
 裏返り気味であり、巧みに低めに歌っています。
 間髪入れずBring It On Home/Heartbreaker/Rumble Onと繋げる前回Tourの黄金パターンを
 踏襲していますが、HeartbreakerはSolo後にもう一度Aメロに戻るオリジナル版です。
 Ramble Onではハイハットの代わりにタムを16拍子でトコトコと叩いています。

 「Well, Zegrab!!」と上機嫌で観客に呼び掛けた後、「新しいレコードからの新曲です」
 とWalking Into Clarksdaleを演奏します。アルバム以上に低音を強調したHeavyなサウンド
 で、JimmyのSoloも圧巻です。初めて聴く曲に戸惑いがあるのか、観客の話声がやかましいの
 が難点です。演奏後「Guitar, Jimmy Page!!」というRobertからの紹介があります。
 ほとんど間髪入れずに演奏されたのはNo QuarterのエレピによるIntro。1979年のネブワース
 以来のオリジナルアレンジでの演奏に、場内騒然となります。Jimmyのワウにも感動です。
 Soloは73年頃のフレーズをかなり短くまとめた感じで、一発Thereminが無いのは残念です。
 演奏後、Keyboard奏者のPhil Andrewsを紹介しています。

 続くGoing to Californiaでは、観客の手拍子が日本風の「頭打ちの揉み手」で笑います。
 PhilのMandolinは、お約束のフレーズを分かりやすく忠実に弾いていて好感を持てます。
 「次は1973年の曲で...」と前置きして歌い出したのがTangerineです。(ホントは70年)
 アコギのストロークによるInto付きで、サビからDrums/Bassが加わります。SoloはMandolin
 によるトレモロピッキングであり、全体的に新しいアレンジと言えましょう。
 「むかしむかし、あるところに....」というお馴染みの口上を述べた後、Gallows Poleに。
 テープによるリズム音が流れ、Robertによる厳かな曲紹介があってMost Highです。
 唸るようなサウンドの塊であり、「JimmyのGuitarが」とか「RobertのVocalが」というレベ
 ルを既に超越している感があります。(後半やや展開が危ういところもありますが)
 演奏後、DrumsのMichael LeeとBassのCharlie Jonesを紹介しています。
 お馴染みのIntroからBabeへ。keyboardが大幅にfeatureされており、Organによるカウンター
 メロディーやシンセの上昇音もハデハデです。Guitar SoloはEchoを深くかけ、緩急織り
 混ぜたドラマチックな構成が非常に良しです。尺も過不足無しでベストです。終盤、Drumsの
 入りが中途半端でJimmyが入れない、という瞬間があります。最後にStairwayのIntroを入れ
 るのも前回Tourと同じアレンジです。(観客が大喝采というのも同じ)

 さて、流れるのはHow Many More TimesのIntro。ZEPPがこの曲を演奏していたのは1968年の
 New Yardbirdsの時代からですから、ジャスト30年前の曲な訳でして....。しかし、不思
 議なくらい違和感がありません。中盤のSoloでは、Jimmyがワウを踏みながらの弓弾きも披露。
 88年のOutrider Tour以来ですから、これまた10年振りのお披露目です。In The Lightを挟み、
 Dazedを思わせる迫力のエンディングを迎えます。
 シンセの重低音にRobertのエスニック風雄叫びとJimmyのアーム技が絡み、In The Evening。
 79/80年のZEPPのLIVEアレンジにほぼ忠実ですが、中盤にCarouseramblaを挟むのは前回Tour
 の名残でしょうか。

「この素敵な街に、そろそろお別れを言わなければなりません」

 と述べて、WLLです。
 中盤に変則リフが入るAtlantic 40周年Versionです。DTS-1によるTuning変化技を入れて
 Thereminを披露。伸びといい、音色といい、やっぱいい音です。
 Robertはここに来て振り絞るような強烈な雄叫びを入れ、Medley無しであっさりとエンディ
 ングとなります。

 さて、EncoreはThank You。JimmyはChorus Ensambleを深くかけ、気持ち良さげに弾きまく
 っています。Organの音が大きめで、前回TourよりZEPP時代に忠実な雰囲気があります。
 最後の曲はRock and Roll。IntroのDrumsの音が異常に軽いのが笑えます。Robertの声
 は前回Tour同様オリジナルキーで伸びやかで嬉しくなります。Jimmyのguitarはひたすら太
 くて重く、Soloはワウ無しで75年以降のフレーズで終わっています。最後のDrumsロールに
 合せてRobertは長い雄叫びを入れており、怒濤の迫力で初日が終了します。
 
PLAY : 4.0
REC  : 4.0 (4th Gen. Underground Tapes)
RARE : 1.0

[Boot CD: "Presence Now(12CD)"]

#02 02/23/98 Sports Hall, Budapest, Hungary
Eastern/The Wanton Song/Bring It on Home/Heartbreaker/Ramble On/Walking Into Clarksdale/No Quarter/Going To California/Tangerine/Gallows Pole/Most High/Babe I'm Gonna Leave You/How Many More Times-In The Light/Burning Up/Whole Lotta Love//Encores:Thank You/Rock and Roll


Walking Into Clarksdale
 12,000人以上入る大会場での演奏だったようです。
 私は4th Gen.のUnderground Tapeで所有しています。Audience録音で、Zegrabより澄んだ
 音でバランスも良好です。
 Audience ShotのVideoが西新宿で購入可能です。会場左後方のスタンド席から撮影されたも
 ので、ズームを使用して二人の並び構図を捉えています。ピントが甘くダビングの劣化も大
 きめです。パンにより暗転することもしばしばです。
 Jimmyは黒Tシャツ/黒パンツ姿、Robertは黒Tシャツにチェック柄のダブダブパンツ、足に
 は長靴風のブーツを履いています。

 WantonのIntroで、いきなりJimmyの指が大きくもつれてます。Robertの声もガラガラで、
 Guitar Soloも覇気が感じられません。
 続くBring It On Homeでも、Jimmyのリフはもつれがちで冷や汗ものです。Heartbreakerの
 Introで勿体をつけながらひと呼吸置きますが、後半はやはり指の動きが緩慢です。
 Ramble OnではRobertが調子を取り戻していますが、ダブルノートによるGuitar Soloは途切
 れがちで薄〜い音です。
 Jimmyはここまではリアピックアップが黒ボビンのサンバーストLes Paul(おそらく58年製
 のNo.1)、Charlieは3トーンサンバーストでローズ指板のFender Pression Bassです。

 ハンガリー語で何やらご挨拶した後、「Jimmyとこの素敵な街にやって来れて嬉しいです」と
 言ってWalking Into Clarksdaleを紹介をします。CharlieはナチュラルのWarwick Bass、
 Jimmyはローズ指板でブルーのStratcasterに持ち替えています。ZEPP時代に愛用していた
 60年製のものかと思いますが、Videoで見る限りではレイクプラシッド・ブルーというより
 薄めのメタリック・ブルーに見えます。Jimmyはアーミングを駆使しますがやや指がもたつ
 き気味で、Soloの出来も今ひとつです。
 続くNo Quarterでは、RobertのVocalへのエフェクターがキツ目でショワショワしてます。
 Jimmyは再びリアが黒ボビンのLes Paulです。Guitar Solo自体は中途半端な終わり方で消化
 不良気味ですが、CharlieがWood Bassで粘っこいフレーズを後ろで展開しているのが聴き所
 です。

 Robertが「イヨイヨイヨ〜」という奇声を発した後、Going to Californiaへ。全員
 スツールに腰掛けての演奏です。Jimmyはノンカッタウェイの黒いジャンボ・ボディのアコ
 ギを、PhilはOvationのMandolinを使用しています。ガラガラ声のRobertも痛々しいですが、
 ピッキングが荒れまくってるJimmyも悲しげです。
 続くTangerineでは全員スタンディングポジションに戻ります。Jimmyはお馴染みのOvation
 のW-Neckを使用、CharlieはPression Bassです。間奏のPhilによるトレモロも決まってお
 り、Jimmyも調子を取り戻した感があったものの....。
 Gallows PoleではIntroのストロークが重い重い!十八番の曲でこれですから、Jimmyの調子
 が最悪だということが分かります。ClarlieはWood Bass、Philは小さなアコーディオン風の
 楽器を弾いています。

 Most Highは出来不出来は関係無しですので、安心して聴いていられます。Philはアルバム
 の複雑なKeyboardアレンジを忠実に再現しています。JimmyはプロモVIDEOでも使用していた
 DTS-1付きの黒いLes Paulです。Charlieはfホールの付いたナチュラルのWarwick Bassです。
 BabeではJimmyはリア黒ボビンのLes Paulに持ち替えてます。JimmyのSoloが冗長な気がし
 て、「もしや?」と思い小節数をカウントしました。その結果.....Zagrebの32小節に比べ、
 この日は48小節。ホントに長かったのでした。

 「ブダペスト!」と叫んでHow Many More Timesへ。RobertはIntroで大きくひと声
 叫び、気合を入れています。Jimmyは別のLes Paulに持ち替えており、両ピックアップ共に
 カバー付きで、やや濃い目のブラウンサンバーストです。弓弾きには愛用のNo.1を使いたく
 なかったということでしょうか?(となると、59年製ではなく90年代の再生産もの?)
 In The Lightを挟んでエンディング、というのはZagrebと同じパターンです。(というか、
 このTour全部で共通でした)

 さて、この日のトピックスは、In The Eveningを落として新曲のBurning Upを追加した事
 でしょう。RobertがIntroでマイクを床に落としてあわてて拾うのが御愛敬です。不思議な
 躍動感のある曲ですが、低音部の厚みが欠けているせいかチープな印象が否めません。
 CharlieはPression Bassを使用しています。
 「さよなら、また来るよ」というご挨拶の後、WLL。Jimmyは黒のLes Paul、Charlieはナ
 チュラルのWarwick(fホールなし)です。Thereminのバックの演奏がタイトです。声を
 振り絞ってRobertが歌い上げ、エンディングとなります。

 Encore1曲めはThank You。Introを弾き始めても観客はノーリアクション。一瞬不
 安になりますが、一緒に歌っているヒトもいますのでウケてない訳ではなかったようです。
 つまりはじっくり演奏を聴くお国柄、ということなのでしょう。
 JimmyはLes Paul No.1、CharlieはfホールなしWarwickです。Robertは皮なしタンバリ
 ンを叩きながらの熱唱です。

 一旦メンバーはステージを降り、再度登場してRock and Rollです。
 頭のDrumsはZagrebほど軽くなくて安心です。ここに来てようやく二人はパワー全開!
 Robertは伸びやかに歌い、JimmyのGuitarもHeavyに唸りを上げていました。お約束の
 Jimmy's Jumpも健在でした。

PLAY : 3.0
REC  : 4.5 (4th Gen. Underground Tapes)
RARE : 1.0

[Boot CD: "Presence Now(12CD)", "Walking Into Budapest(2CD)"]

#03 02/25/98 Sparta Prague Sports Hall, Prague, Czech Republic
Eastern/The Wanton Song/Bring It On Home/Heartbreaker/Ramble On/Walking Into Clarksdale/No Quarter/Going To California/Tangerine/Gallows Pole/Burning Up/Babe I'm Gonna Leave You/How Many More Times-In the Light/Most High/Whole Lotta Love//Encores:Thank You/Rock and Roll


Babe I'm Gonna Leave You/Walking Into Clarksdale
 観客は約7000人で超満員だったとのこと。Videoで見る限りでは体育館風の会場にびっちり
 と詰め込まれてて、1万人はゆうに越えているように思われます。"Walk Choc Ice"という
 現地のバンドが前座で演奏したそうです。
 私は4th Gen.のUnderground Tapeで所有しています。Audience録音で、若干遠目でこもっ
 た感じの音です。
 Audience ShotのVideoが西新宿で購入可能です。会場右後方のスタンド席から撮影されたも
 ので、ズームの使い方等からみてBudapestと同じ撮影者ではないかと思われます。
 Budapest同様、ピントが甘くダビングの劣化も大きめです。パンにより暗転することもしば
 しばです。
 Jimmyは黒Tシャツ/黒パンツ姿、Robertは淡い水色サテンの長袖シャツに黒皮パンツです。

 WantonのIntroではバスドラが細かくフレーズを入れています。以前のTourとも違う、新し
 いパターンです。Robertは歌い出しからキー低めで、違う曲のように聞こえます。Jimmyは
 大きなミスはありませんが、Soloは若干伸びやかさに欠ける感があります。
 Bring/Heartbreakerとお馴染みの展開ですが、Jimmyはどんどん調子を上げていってます。
 Robertが「今夜は新曲を少しと、そうじゃない曲も少し演奏するよ」と言ってRambleへ。
 Jimmyの演奏は中盤で少しハズレますが、全体的には小技も効いててなかなか良好です。
 
「次はもうすぐ発売になるニューアルバムからの曲です」

 とWalking Into Clarksdaleを紹介してます。JimmyはサンバーストのPaul Lead Smithを
 使っています。Budapest比べると明らかに太い音であり、けだるい感じのVocalと相まって
 良い雰囲気となっています。後半のアップテンポになる部分は圧巻であり、彼等の得意とす
 るところの光と影が十二分に引き出されていました。
 No QuarterのIntroはビブラートの速度が若干早めで、少しチープな感じの音色です。中盤
 のピアノSoloもジョンジーのフレーズと変えようという意識があるようですが、単調で今ひ
 とつの出来です。一方でJimmyのSoloは軽快なピッキングで、ZEPP時代と異なるオリジナル
 なフレーズがキラリと光っていました。
 
「じゃ、次は気分を変えて....」

 とGoing to Californiaに。IntroでRobertが白いスポーツシャツを持ち出し、Drums台の
 前にかけて「Congrutulation!!」と叫んで観客の喝采を浴びています。どうやらこの国の
 アイスホッケーチームがオリンピックで優勝したことを称えていたようです。
 ここでもJimmyは本来の安定したピッキングを披露してくれます。これでRobertがもう少し
 調子が良ければ最高なのですが、押さえた感じの歌い方が惜しいとことです。
 Tangerineはしっとりした雰囲気で楽しめました。
 
「Europeで発祥した後にアメリカに伝わり、黒人音楽として生まれ変わった曲が世の中には
 たくさんあります。これもEuropeのフォークソングで、アメリカの黒人達の間で歌われる
 ようになった曲です」

 とゆっくりと分かりやすい英語で説明し、Gallows Poleを演奏しています。
 
「次の曲は我々のニューアルバムからの曲です。
 『燃え上がる("Burning Up")べき苦痛、失恋、悲しみ、そして不可思議、好機』という
 曲です」

 ひねくれた曲紹介に続いてBurning Upが演奏されます。BudapestまではMost Highが演奏
 されていた位置ですが、3回目にして順番入れ替えが発生した模様です。タイトなDrumsと
 弾きまくりのJimmyのおかげで、なかなかの好演です。JimmyはLes Paul No.1、Charlie
 はPression Bassです。

 Robertは「like volcano...」というBurning Upの歌詞を繰り返しつぶやきつつ、Babeに
 突入します。なぜかPhilは控え目で、Organもシンセも殆ど聞こえません。Cherlieはfホ
 ール付きのWarwick Bassに持ち替えています。Soloは48小節と長めですが、ダレることな
 くきっちり弾ききっています。Robertの声がヘロヘロなのが残念です。
 続くHow Many More TimesではJimmyのぶっとい音でのSoloが圧巻です。弓弾きもバッ
 チリ決まっており、観客は時代を越えて「幻惑されて」しまったようです。

 「Oh, 1968...」

 と自嘲的につぶやいた後、Most High。Burning Upと位置が交代した訳ですが、この曲が
 終盤にある方が盛り上がって良いですね。Jimmyは黒のLes paulです。
 
 「君達の笑顔のおかげで素晴らしい演奏ができたよ」

 というようなお言葉を述べています。その後ろでJimmyはDTS-1のスィッチを操作し、両手
 を上げながらヒュ〜ンと鳴らしています。変則tuningからレギュラーtuningに戻している
 のでしょうが、Robertは苦笑しています。なぜかThereminもギュンギュンと音が出てしま
 いました。
 さて、ラストの曲はWLL。CharlieはfホールなしのWarwick Bassに持ち替えています。
 観客の大合唱も手伝い、Robertも出ない声を振り絞って熱唱してくれました。しかしメド
 レーがないとあっさり過ぎてやや物足りない感じがします。

 Encore1曲めはThank You。JimmyはLes Paul No.1、CherlieはfホールなしのWarwick
 です。Soloは流暢ですが散漫な印象です。

 メンバーは一旦ステージを降り、再び拍手と足踏みが続きます。

 再登場後、Rock and Roll。Drums台の上に何者かが座っており、バシャバシャ写真を撮
 りまくっているのが無気味です。Robertはここまで力を温存してたかのようにノリノリ
 で歌っています。JimmyのSoloもぶっとい音でグイグイ来てます。最後のDrumsロールも
 大迫力!今までのLiveの中で最高の演奏のひとつだったと思います。

 最後はステージ前に一列に並び、例のスポーツシャツを掲げながら正面/右/左の観客に
 深々と頭を下げていたのが印象的でした。

 LIVE終了後、会場にZEPPのBring It On HomeがBGMとして流されていました。

PLAY : 4.5
REC  : 4.0 (4th Gen. Underground Tapes)
RARE : 1.0

[Boot CD: "Presence Now(12CD)", "Most High in Prague(2CD)"]

#04 02/26/98 Spodek Hall, Katowice, Poland
Eastern/The Wanton Song/Bring It On Home/Heartbreaker/Ramble On/Walking Into Clarksdale/No Quarter/Going To California/Tangerine/Gallows Pole/Burning Up/Babe I'm Gonna Leave You/How Many More Times-In the Light/Most High/Whole Lotta Love//Encores:Thank You/Rock and Roll


Most High/Rock and Roll
 Prague公演の翌日、という過密スケジュールです。
 この日はAbraxasという現地のバンドが前座で4曲ほど演奏したそうです。

 私はCasstte Masterからの1st Gen. casstteと、DAT MasterからのDigital-Cloneの2
 種類の音源を所有しています。どちらもAudience録音ですが、前者はヒスノイズバリバリ
 で音もかなり遠めです。後者は若干遠目ですがそこそこの録音です。
 Audience ShotのVideoが西新宿で購入可能です。会場左後方から撮影されたもので、やや
 上からの角度になっています。比較的鮮明な撮影ですが、Wantonの途中からの収録です。
 Jimmyは黒Tシャツ/黒パンツ姿、Robertは胸に赤字で「Wisconsin」と書かれた白Tシャ
 ツにピチピチの黒皮パンツです。

 この日のJimmyは好調で、Wanton/Bring/Heartbreakerと息もつかせぬパワフルな演奏を
 聴かせてくれます。Robertは相変らず低めに避ける歌い方ですが、Jimmyに弾きづられる
 かのように徐々に調子を上げていってます。
 「今夜は我々の初めて行うPolandでの演奏です」と述べてRambleへ。観客が一緒に手拍子
 &大合唱で盛り上がっています。videoで見ると、アリーナの客は全員リズムに合せて飛び
 跳ねていました。

 Walking Into Clarksdaleは軽々と弾きまくるJimmyの長尺Soloが聴きどころです。この
 日もJimmyはPaul Lead Smithを使用してます。ストラトのチープな音色も良いですけど、
 ステージでの音の厚みという点ではこちらの方が良いみたいですね。
 No Quarterは手拍子/合唱の大盛り上がり大会です。JimmyのSoloは緩急が効いてて
 ドラマチックな展開をみせています。Drumsのバタバタした音が、この曲では妙にハマって
 います。
 
「次は失恋に関する曲で....」

 とコメントしてからGoing to California。広がりのあるサウンドで、Robertもいい感じ
 で熱唱しています。
 続くTangerineではJimmyの激しいストロークが圧巻で、調子乗りまくりな感じです。

 「次は200年から300年前にEnglandで元々生まれた曲で...」

 と楽しげに語ってGallowsに。Bassが入る盛り上がりの部分でRobertは何やらハミングを
 入れてます。ハイテンションな演奏で、バンド全体で一丸となってエンディングまで爆走
 しています。

 Burning UpはIntroでJimmyが激しいコードストロークを入れてからスタートしています。
 これまた荒々しい演奏で、これまでのどことなくチープな演奏とはケタ違いです。エンデ
 ィングはIn My Time Of Dyingを思わせる感じです。「like volcano...」という最後の
 コーラスは、この日はなぜかRobertがひとりだけで歌ってました。

 Babeも全体的には良い出来ですが、48小節のSoloは若干散漫な印象でした。
 Introで騒然となるHow Many More Timesは、JimmyのSoloが瑞々しく響きます。

 テープのIntroに合せてRobertが自信たっぷりにMost Highを紹介、満を待してJimmyの
 カッティングが絡むという、最高にカッコいい展開です。このままステージを去っても
 良いくらいの盛り上がりです。この日のvideoを見ると、DTS-1付きLes Paulはライトの
 加減で黒に見えたり紫に見えたりしてます。

 Jimmyは軽くウォーミングアップをした後、お約束のラストナンバーWLLのIntroを掻き鳴
 らします。ここで事件!恒例のネブワースリフの頭でJimmyはうまく入れず、パニくった
 のかワウを踏んでショワショワの音になってます。結局同じフレーズを繰り返し、な
 んとか体裁を整えていました。バンドのナイスリカバリーが光ります。

 Encore1曲目は「This is song for....you」などと言って、おなじみThank You。
 観客は大合唱です(^^;)Soloはちょいとハズレ気味で、繰り返しのフレーズが多いです。

 再登場後、Robertはご機嫌で何やら歌ってます。Rock and RollのIntroはめちゃ軽め
 です。Guitar Soloの頭でも叫び続けており、最後のロンリロンリの掛け合いもしつこ
 めで、ノリノリのままエンディングとなりました。
 
 注)Tight But LooseのsetlistはBurning UpとMost Highの位置が逆になっています。

PLAY : 4.5
REC  : 2.0 (1st Gen. Underground Tapes)
RARE : 3.0

[Boot CD: なし]

#05 03/01/98 Sala Palatului, Bucharest, Romania
Eastern/The Wanton Song/Bring It On Home/Heartbreaker/Ramble On/Walking Into Clarksdale/No Quarter/Going To California/Tangerine/Gallows Pole/Burning Up/Babe I'm Gonna Leave You/How Many More Times-In the Light/Most High/Whole Lotta Love//Encores:Thank You/Rock and Roll

 [未入手]


#06 03/02/98 Winter Palace of Sports, Sofia, Bulgaria
Eastern/The Wanton Song/Bring It On Home/Heartbreaker/Ramble On/Walking Into Clarksdale/No Quarter/Going To California/Tangerine/Gallows Pole/Burning Up/Babe I'm Gonna Leave You/How Many More Times-In the Light/Most High/Whole Lotta Love//Encores:Thank You/Rock and Roll

 この国でのPage/Plant人気は抜群だったようで、用意した6,000人分のチケットが発売
 1時間でSOLD OUTになってしまったそうです。実際の観客は1万人を越えていたそうで、
 さぞかし会場は寿司詰め状態だったことでしょう。ロックファンを自称するブルガリア
 大統領までが観に来たそうですから、その盛り上がりは推して知るべし、です。
 LITTLE BIG BANDというZZ TOPのカバーバンドが前座で演奏したそうです。
 BURRN!誌1998年5月号のグラビアを見ると、Robertは黒地に花柄刺繍を両胸にあしらっ
 た長袖のシャツに黒皮パンツ。Jimmyはいつもの黒Tシャツ黒ズボンだったようです。

 この日の音源は何故かトレーダー筋には出回っておらず、私も12CDからのDATコピーで
 所有しています。残響がやや多く、会場の後方で録音した感じです。

 OpeningのWantonの冒頭、リフのピッチが外れてます。どうやらJimmyのギターのチュ
 ーニングが狂っていたようで、2コーラス目あたりで正常に戻っています。(弾きなが
 ら直した?)
 Robertはドスの効いた声で、高いところが出ない分、力強く歌っています。Jimmyは序
 盤戦で小ミスが多く、HeartbreakerのIntroでは聴いててコケてしまうような一瞬が
 あります。
 3曲を終えた後、恒例のMCがありません。実はこの間Robertは観客に手を振り、観客が
 それに大きく応えてお互いに感動していた、というシーンが展開されていたようです。
 Ramble OnのIntroで観客の手拍子が大きく響いていますが、リズムに合わなくて徐々に
 叩きづらくなり、やがて誰も叩かなくなるのが寂しい感じです。

「Thank you very much, Bulgaria!! Good evening!!」と叫んだ後、Robertは

「まず最初にみんなに言いたいのは、この国に来られてホントに喜んでいるってことです。
 Jimmyと私はずっと前から....1970年頃から君たちの国に来たいと願ってました。
 そして今、我々は新しい曲と新しい外見(outlook)を携えて来ることができました。
 次の曲はニューアルバムのタイトル曲です。今夜は心から楽しんでいって下さい。
 君たちのための夜だから...」

 と上機嫌で話してWalking into Clarksdaleに。ここに来てJimmyは調子を取り戻した
 ようで、ドライブした白熱のSoloを披露してくれてます。MichaelのDrumsも力強くて
 良しです。
 No Quarterではピアノsoloのところで観客が手拍子をしてしまい、妙な会場ノリにな
 ってます。CharlieのWood Bassに深くエフェクトがかけられ、レゾナンスの効いたシ
 ンセベースのような音で迫力満点です。そしてギターSolo後、ついにあの伝家の宝刀!
 「一発Theremin」が登場です。ウィ〜〜ンと低く唸るような音でしたが、やはり
 お約束中のお約束。オリジナルアレンジとしては、やっぱりこれがないとね。

 Going to Californiaの中盤で拍子の頭が怪しくなりますが、JimmyとPhilはなんとか
 持ち直しています。

「次の曲は....(咳き込んで)失礼!....病院に行かなきゃ....。
 次の曲は今までの29年間に何度か演奏したけど、一度も満足に演れたことがありません。
 だから、今までの間違いを全部思い出し、それを正したいと思います。
 この曲は...Jimmyが書いた曲です」

 とJimmyにプレッシャーを与えてTangerineに。心なしかJimmyのストロークは強めです。
 Gallows PoleではRobertの曲紹介からIntroまで少し間が空きます。何事かトラブルが
 あった模様で、Robertの苦笑が聞こえてからようやくIntroが始まっています。Jimmyの
 ストロークはここでもパワフルかつ正確であり、ドライブ感のあるド迫力の演奏に仕上
 がっています。
 Burning Upは安定した手堅い演奏で、コーラスもバックとの掛け合いが決まってました。
 Babeの冒頭、Jimmyがアルペジオからストロークへの入りがもたつくシーンがあります。
 Soloではメローなフレーズを駆使し、きっちり盛り上げてますので良しとしましょう。

「さて、ここでちょっとしたJAZZを披露しよう」

 という不敵な発言の後、How Many More Timesです。JAZZの定義が「形式に囚われない
 音楽」というのであれば、まさしくこの曲はJAZZと言えましょう。リズムはシャッフル
 からボレロ、4ビートのブルースから再びシャッフルへと目まぐるしく変化しますし、
 弓弾きに至っては邪道中の邪道!演奏後のRobertの高らかな笑いからも、この曲に
 対する強い誇りを感じさせられます。

 Most Highの後、

「君たちが楽しんでくれてたら嬉しいな。それでは、これが今夜のお別れの曲です」

 と言って、WLLへ。Jimmyが醸し出すDTS-1とThereminによるカオスな空間を、Michael
 の力強いDrumsが更に盛り上げています。Robertの熱唱も手伝い、怒濤のエンディング
 となっています。

 1st Encoreに登場したRobertは、

「明日は記念すべき日(day of remember)だね。よい休日を!」

 と語っています。(翌日はブルガリアがトルコ統治から解放された記念日だった)
 Thank Youは緩急のメリハリが効いてて、良い演奏です。ここでもMichaelの演奏が光
 っています。

「OK! .... Ready???

 というRobertの掛け声で、2nd EncoreのRock and Rollがスタートします。Robertの
 声はいつになく枯れており、批判を恐れず言ってしまえばカバペーVersionを彷彿
 させます。ともあれ全体的には迫力満点の演奏であり、華やかな盛り上がりのままエン
 ディングとなりました。

PLAY : 4.5
REC  : 5.0 (DAT from CD)
RARE : 1.0

[Boot CD: "Presence Now(12CD)"]


#07 03/05/98 Bostanci Center, Istanbul, Turkey
Eastern/The Wanton Song/Bring It On Home/Heartbreaker/Ramble On/Walking Into Clarksdale/No Quarter/Going To California/Tangerine/Gallows Pole/Burning Up/Babe I'm Gonna Leave You/How Many More Times-In the Light/Most High/Whole Lotta Love//Encores:Thank You/Rock and Roll

 2日連続の初日です。2,000人程度を収録できるクラブのような会場だったようです。
 
 私はDAT MasterからのDigital-Cloneを所有してます。Wantonの頭で録音レベルが上下し
 たり若干低音が持ち上がってて遠目の音ですが、徐々に向上していきます。JimmyのGuiar
 のバランスが大きめでピッキングの細かいニュアンスまで分かりやすく、そういうのが好
 きなヒトには嬉しい音源かと思います。

 Wantonでは若干Jimmyのピッキングにキレが無く、リズムがもたりがちです。続くBringも
 同じような感じで、Robertの声も裏返ったりしてます。Heartbreakerでは観客がリズムに
 合せて「ハイ!ハイ!」などと叫んでおり、盛り上がりは上々です。Jimmyは徐々に
 調子を取り戻していますが、Robertの声は依然としてヘロヘロです。
 
「Oh, good evening, Istanbul....」とご挨拶した後、

「今夜は我々の古い曲と新しい曲、そしてホットな曲を楽しんで下さい」

 とのたまってRambleを演奏しています。

「まもなく、我々のニューアルバムが出ます。JimmyとMichael、Charlieをフィーチャー
 したアルバムで、次はタイトル曲のWalking Into Clarksdaleです。ミシシッピー!」

 IntroでJimmyがもたついて不安になりますが、演奏の出来としてはまぁまぁといったと
 ころでしょう。長尺SoloはKatowiceあたりと比べるとかなり聴き劣りします。

 一転してNo Quarterは良い演奏になっています。Drumsの小気味良いリズム、Keyboard
 の歯切れ良いフレーズに続き、力強いJimmyのGuitar Soloが拍車をかけています。この
 日の一発Thereminはグル〜グル〜という唸るような音でした。

 アコースティック・セットの準備中、観客が声を揃えて何事か叫んでいますが、よく分か
 りません(^^;)。Robertも気になったのか、「あ?」と聞き返しています。
 Going to CaliforniaのIntroではちょっとした事件があります。いつもはMandolinの
 キメのフレーズを合図にVocalが入るのですが、Philはペンペンと単音を弾くのみで
 なかなかお約束フレーズを弾いてくれません。結局Robertが「One, two, three, four」
 と自分でカウントを入れて歌い始めています。Tuningでも狂っていたのでしょうか?
 Tangerine/Gallowsと続くアコギ曲では、手堅い演奏を聴かせてくれています。Gallows
 の最後ではMichaelがテンポをいつもの20%増しで叩き、非常にスリリングな展開
 となっています。
 
 Burning Upはいくぶんルーズな演奏が曲の雰囲気にマッチしています。JimmyのSoloも
 荒々しく掻き鳴らす感じがGoodです。抑揚のない最後のコーラスもCoolです。
 Babe...では久々にKeyboardが大活躍!シンセでの上昇音が派手に響いています。
 Soloは48小節、エコーを深くかけて思いっきり泣きのフレーズを展開しています。

 How Many More Timesも快調。In The LightではRobertがしっとりと歌い上げてて良い
 雰囲気です。In My Time of Dying風の"Jesus"の連呼を、この日はこの曲で入れていま
 した。
 
「Jimmyと私は3ケ月ちょっと前に作品を完成しました。MichaelとCharlieのお陰で、
 16曲程の新曲ができました。次の曲はその中でお気に入りのひとつです」

 と紹介してMost High。アルバム収録曲は13曲、シングルB面用で1曲ですから、
 あと2曲くらいは未発表曲があるかも知れないですね。

 「Good night!」と言い放ってWLL。ここに来て(このパターンが多い)Robertはパワ
 ー全開!一転して力強いVocalを聴かせてくれます。Thereminのパートではバンドが
 一丸となってカオスでディープな世界を創り出していました。

 Encoreを求める拍手と「ハィッ!ハィッ!」という掛け声の中、メンバーはス
 テージに登場。1st EncoreのThank YouはOrganが効果的に響いて厳かに聞こえます。
 JimmyのGuitarはあくまで押さえ気味で、最後の盛り上がりと対比づけているようです。

 2nd Encore、Robertが楽しげに何やら話してRock and Rollです。Introのスネアの
 ピッチはこの日はバッチリでした。JimmyのGuitarがもたつき気味なのと、Robertが
 フェィクして部分的にキーを下げてるのが若干のマイナスポイントでしょうか。

 「See you soon, tonight!!」というRobertの叫びでステージは終了します。
 BGMにはプラハ同様、Bring It On Homeが流れていました。

PLAY : 4.5
REC  : 4.0 (DAT clone)
RARE : 1.0

[Boot CD: "Presence Now(12CD)"]

#08 03/06/98 Bostanci Center, Istanbul, Turkey
Eastern/The Wanton Song/Bring It On Home/Heartbreaker/Ramble On/Walking Into Clarksdale/No Quarter/Going To California/Tangerine/Gallows Pole/Burning Up/Babe I'm Gonna Leave You/How Many More Times-In the Light/Most High/Whole Lotta Love//Encores:Thank You/Rock and Roll

 さて、東欧Tour最終日、イスタンブール2日目です。

 私はDAT MasterからのDigital-Cloneを所有してます。Wantonの序盤で1回大きく録音レ
 ベルが上がってます。バランスは良く、高音質です。

 WantonではJimmy/Robert共に好調で良い滑り出しです。DrumsはIntroで細かくバスドラを
 入れています。Bring/Heartbreakerと快調。RobertのVocalには余裕すら感じます。
 「今日は最後の夜です」と述べてRamble。いつもは途切れがちなSolo部も滑らかです。
 
 Walking Into ClarksdaleはSoloでJimmyの指が若干もつれがちですが、全体的には迫力
 のある演奏です。
 No QuarterではPiano Soloが盛り上がって「さぁ!」というところでJimmyが入ってきま
 せん(^^;)あららの4小節を挟んでようやくJimmyのSoloが始まりますが、散漫なフレー
 ズで今イチの展開でした。一発Thereminもソフトな感じです。終盤でRobertが雄叫びを入
 れています。
 
 「...is song of love and hope!」と語ってGoing to California。Mandolinの音が
 やや小さめです。終盤Robertが遊びで入れたChorusの収集がつかなくて、無理な展開の
 ままエンディングに突入してます。
 無難なTangerineに続き、「ミシシッピの黒人の曲です」と言ってGallows。Robertの
 快調なVocalに引っ張られるように、白熱した演奏になっています。

「We must say much better than last night......So it's Friday. 
 So we must..... "Burning Up"!!!」

 強引な曲紹介です。前日と伯仲する好演であり、切り裂くようなSoloも大迫力です。
 Babe...はOrganは小さめですが、シンセ上昇音は前日同様大きめです。Soloは32小節
 と短めですが、エコーを効かせたメローな展開で、過不足なく良い演奏でした。

「This is...OK ? This is pretty good ? Do you like Jazz ?」

 という観客との不思議なやり取りの後、How Many More Timesへ。中盤のSoloの手前、
 Jimmyは通常はストロークでこなす部分を変わったカッティングで試しています。
 Robertはそこかしこでトリッキーな雄叫びを入れており、絶好調をアピールしています。
 In The Lightのパートはアカペラで数小節歌ってから突入しています。この日もIn My 
 Time of Dying風のフレーズがさりげなく挿入されていました。

「我々はまだ商業的な圧力の元にありまして...。そんな訳で、次は新しいアルバム
 からのシングル曲です」

 と言ってMost High。比較的出来不出来のない曲ではありますが、快調なRobertのVocal
 によって「鳥肌もの」の演奏となっています。あまたある再結成バンド達がかつて誰も
 到達し得なかった高みに、彼等はついに到達したようです。

「我々を見るために法外なチケット代を使わせて申し訳ありません。今度来る時はもっ
 ともっと安い値段で見れるようにしますから。この街、この国での厚いもてなしを感
 謝します。また来ますので、Good night!」

 ラストナンバーであるWLLでは、会場全体が揺れている感じです。惜しむらくはJimmy
 のDTS-1が不調のようで、いつもの無段階音程攻撃が単なるコードストロークに聞こ
 えてしまっています。しかし、そんなことはものともせず!Thereminはバッチリだ
 し、お約束Soloも鋭く決まっています。

 さて、Encore。JimmyがGuitarを軽く鳴らしながら、やがてThank YouのIntroへ繋
 ぎます。緩急の効いたRobertのVocalが聴きところです。
  
 再登場しての2nd EncoreはRock and Roll。IntroのDrumsは前夜同様いい感じです。
 RobertのVocalはいつにも増して声量もあり伸びやかです。JimmyのSoloも文句無し
 で、Michaelは最後のDrums Soloで数回のブレークを挟む悪ノリぶり。

 ステージを引き上げてもなかなか歓声は止まず、「これは3rd Encoreがあるのか?」
 という期待も浮かびますが、結局Bring It On HomeのBGMが流れてしまいました。

 最高の盛り上がりをみせて、初の東欧Tourが終了しました。

PLAY : 4.5
REC  : 4.5 (DAT clone)
RARE : 1.0

[Boot CD: "Presence Now(12CD)"]