1.概論

さて、「何で今更1st-Legなの?」といぶかしく思われる方もいらっしゃるでしょう。 これは、日本公演前後に一般音楽雑誌で発表されたPage/Plantに関する記事に対し、私が大いに 不満を感じているからです。 一番問題と感じたのは、ライター諸氏が日本公演以前の活動にはほとんど触れず、単なる伝聞の 羅列で終わっている点です。 いわく「日替わりのセットメニューらしい」「Achillesも演奏したらしい」「ツアーが進むにつ れ、オールZEPPナンバーになったらしい」などなど... プロと呼ばれる人達の書く記事が、こんな程度なんですよ!? それでいきなり来日公演に臨んで、東京の1,2公演だけ見てどーこー言ってる訳です。 私が強調したいのは、Page/Plantは日本公演以前の1年間で約100回のステージをこなしている という事実です。 つまり、日本公演はワールドツアーという遠大な時間軸上の一点に過ぎない のであり、そこだけを切り取って語ったとしても「スチル写真を見て映画の批評をする」ような ものではないでしょうか? そういう訳で、これから数回に渡り、Page/Plantの各ツアーを分析してみます。 彼らがどのように試行錯誤を繰り返していったかをじっくりと検証し、彼らの魅力をより一層と 掘り下げて行きたいと思います。 で、第1回としまして、ファースト・アメリカン・ツアー編をお送りします。

2.構成

Page/Plantのファースト・アメリカン・ツアー(以降、US 1st-Leg)は、2/26/95のPensacola から5/27/95のGeorgeまで、全47回の公演が行われました。 Miller Beerがメインスポンサーとなり、Internetでツアー宣伝(?)していたのがとても今風でし た。会場は1万人規模のアリーナが中心で、かなり小さな都市まで回っています。 ステージはMTVの企画"UnLeded"の構成を再現したものであり、オーケストラ、エジプシャン楽団、 ハーディガーディ奏者を含めた総勢20名以上のメンバーでした。 残念ながら Najma Achtor女史との競演曲である"Battle of Evermore"は1st-Legでは演奏されず、 Euroツアー以降での登場となります。 カシミール(?)な感じの緞帳とバリライトを含むシンプルな照明、小さめの3面ステージスクリー ンという、最近のロックコンサートにしては非常に地味なステージセットでした。 スクリーンではLIVE映像の他 "UnLeded"のイメージ映像をNo Quarterで、様々なダンス風景のコ ミカルなクリップをDancing Daysで流していましたが、あくまで演奏の補助的な使い方でした。 Pink Floyd、Rolling Stones等が巨大なステージセットでビジュアル面を強調したステージを展 開しているのとは非常に対照的で、じっくり『聴かせる』ステージ構成でした。

3.ツアーメンバー

Tourには 基本的に"Unledded"の参加メンバーがそのまま参加しています。 ・Charlie Jones/Bass   RobertのSolo作 "Fate of Nations" にも参加しています。Robertの娘婿という噂です。   演奏ははっきり言って地味で、自己主張がほとんどありません。   そーいうところが、二人にとって使いやすいのかもしれませんね。 ・Michael Lee/Drums   Charlie同様、 "Fate of Nations" の参加メンバーです。   ワンタムのシンプルなドラムセットで、Bonzoを意識したプレイが随所に見られます。   ただし、『アタック音を強調し、デジリバで人工的な残響音を付加する』という、80年代   後半以降の典型的な音処理が施されており、このことがZEPPナンバーを現代風に聴かせるのに   大いに貢献しています。(それが嫌だという人も多いとは思いますが...)   Four Sticksでは文字通り4本のスティックを使い、タイトなプレイを披露してます。   1st-Legでは萎縮していたのかオカズは少なめでしたが、Euroツアー以降はうるさい程のバタ   バタプレイを披露します。 ・Porl Thompson/Guitar, Banjo   元CureのメンバーでJimmyの熱烈なファンとの噂。Videoではバンジョー、アコギでの隠し味   的な演奏でしたが、このツアーではエレクトリックギターも使って前面に出ています。   The Song Remains The Same(以降、TSRTS)ではJimmyの代わりにSoloを弾くという大任を   担ったのですが、5回も同じところで間違いを繰り返しました。 ・Ed Shermur/Keyboard   Thank You、Four Sticks以外では、ほとんど何を弾いているのか印象に残りません。   不思議な人だなぁとずっと思っていましたが、PensacolaでのリハーサルVIDEOを見て疑問   が一気に解けました。彼はオーケストラの指揮をしていたのですね。 ・Nigel Eaton/Hurdy Gurdy   手回しバイオリンとも言うべきHurdy Gurdyを演奏します。最初にtapeで演奏を聴いた時は   低音をシンセ等で補っているのだと思っていましたが、ドローン弦で本当に出していると知   って驚きました。おそらくはコンプレッサーやデジリバ等を使ってPA側で積極的に音を作   っているとは思いますが、それにしても趣のある不思議な楽器です。   Soloの間、毎回JimmyとRobertが仲良くドラム台に座って聴いているのがなんとも素敵です。   Gallows Pole, Nobody's Faults But Mine, When The Levee BreaksではBANDと共演し   ています。 あと、エジプシャン・ファラオズと紹介されるEgyptian Ensembleと、ストリングス中心のオー ケストラがいました。ただし、全メンバーが "UnLeded" と同じかどうかは不明です。 オーケストラは公演地ごとに「なんとかシンフォニーオーケストラ!」という風にお遊びで紹介 されていましたが、地元のセッションミュージシャンの寄せ集めだったようです。