さて、
ホテルのラナイ(部屋に付属のバルコニー)でビール片手にコアロハをポロポロ弾き、至福の
ハワイ時間を過ごしていた私ではあるが...。
ワイキキ市外からバスで15分くらいの距離にある「ワードウェア・ハウス」というショッピ
ングセンターでのこと。ここの「アイランド・ギターズ」というギター屋を覗いたところ...、
「カ、カマカがある!」
マウイ・ミュージックやセニーザに混じって、パイナップル型のカマカ・スタンダードがさり
げなく壁に飾られていたのである。
驚愕する我々に、白人の店員さんは「ああ、今日入荷したんだよ」とさりげないお言葉。
試しに弾かせてもらうと.......甘い! 霞がかかったような、淡くて甘〜い音。
コアロハが「コロン」というやや硬質な音だとすると、こいつは「ポロロン」という中低音が
強調された、なんとも柔らかい音なのである。
さらに、表/側板ともにバリバリのトラ目であり、外見の美しさもまた格別であった。
値段は420ドル。365ドルのコアロハに比べるとお高いとは言いながら、日本円にすれば、
わずか5000円ちょいの差である。マウイ・ミュージックが475ドルで売られていること
を考えれば、それ程高いという感じではない。
「う〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜む」
購買欲がふつふつと沸きあがって来たのであるが.....
いかんせん、既にウクレレ1本お買い上げの身である。いかにナイスな出物とは言えども、ウ
クレレを2本買って帰ることがマトモな行為であるとは考え難い。
散々試奏しまくったあげく、結局買わずにホテルに戻ってしまった。
「私だったら、迷わず買うわね」その夜の夕食の席での奥様の言葉である。
そう、ここで買わずんば、後悔すること必至!
気丈な奥様の言葉に後押しされ、翌朝我々はアイランド・ギターズを再訪問することにした。
「10時の開店と同時に」というコンセプトのもと出かけたが、着いたのが20分前くらい。
ガイドブックを見ると、すぐ近くにウクレレ専門店「Ukulele House」本店があるとのこと。
時間つぶしにそちらを覗いて見ることにした。
Ukulele House外観
今まで見てきたブティック風の店と違い、ここはガレージのような平屋の建物であった。
ドアベルを押すと中から鍵を開けてくれるのも、いかにもアメリカ地元風である。
中は....狭い!6畳ほどの店内に、ゴチャゴチャとウクレレが並んでいるといった風情。
店員は白人の若い兄ちゃんで、ニコニコと非常に愛想が良い。
「カマカ、ありますか?」
「新品は今ないね。中古で250ドル、ってのはあるけど」
そう言って、兄ちゃんは壁のすみっこに掛けられていた中古カマカを示した。かなり使い
込まれた様子であり、指板がガタガタに磨り減っている。値段は安いが、これはちょっと
NGである。
「う〜ん、カマカの新品が欲しいんだね?じゃ、ちょっと待ってて」
兄ちゃんはそう言うと、どこかに電話をかけ始めた。相手としばらくやり取りした後、
「パイナップル型だったら、今すぐ来ればあるって。君達、すごいラッキーだよ」
「え?どこですか?」
「 カマカ・ファクトリー。ここから歩いてすぐだよ」
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