世紀末!アメリカ横断ウルトラ出張記 西海岸編(パート1) Update:1/5/99

Prologue:Tokyo

「San Joseと書いて何と読むか?」

これは平成11年度のZEPP大学で出題された問題であるが(嘘)、日本における雑誌表記では
「サンノゼ」というのが一般的であろう。少なくとも「サンジョーズ」では無いのは確かだ。

それはともかく「アメリカに行きなさい」という指令が会社から下った。
内容は「San Joseでメーカー打ち合わせを1週間、あと2週間はBostonで教育」というもので、
1回の渡航費で2つを済ませようという、あくまで会社都合による強行スケジュールであった。


「あの、今年(1999年)の年末と言えば、2000年問題が取り沙汰されている訳で...」
「もちろん!」
「....そんな時期に海外出張なんて、会社としてご法度なのではないでしょうか?」
「う〜ん、そういうお達しは出てないみたいだね。
 ま、滅多にないことだから、どんなことになるかよく見てくるのも勉強だよ」
という無責任な上司のお言葉を受け、CB本多は2年ぶりの海外出張に出ることになった。 スケジュールを調整している段階で、San Joseでの仕事とBostonでの研修の間に2日間の空 白が生じることが判明した。上司は「移動日としてどの都市に泊まっても良い」との太っ腹な お言葉。「じゃ、ハワイ!」と言うのはさすがに大人気無い選択だろうが、熟考の末私 が選んだのはClevelandという都市であった。なぜここを選んだのか?それは後で判明しよう。
出発は1999年12月5日の日曜日。箱崎の東京シティ・エア・ターミナル、通称TCATで出国審査 とチェックインを済ませ、リムジンバスで成田空港に向かう。約1時間で今回渡航で利用する ユナイテッド航空が発着する北ウィングに降り立った。 北ウィングはかつて老朽が激しかったが、最近改修を済ませたおかげでレストランやおみやげ 屋が驚く程に充実していた。空港はどこもクリスマスムード一色であり、どこか浮かれた人々 でごった返していた。
成田空港出発ロビーにて。仕事気分ゼロ
長蛇の列を成す団体旅行客を尻目に、箱崎チェック証を渡して出国ゲートを通りぬける。これ が出張族の特権であり、出発前の時間を免税店を眺めながらゆっくり過ごすことができた。 とある免税店で、どこぞのオヤジが「ナポレオンのXOはどこにあるんだ!」と 叫んでいる光景にでくわした。ちなみにブランデーで「ナポレオン」と「XO」は別の製品で あり、「ナポレオンのXO」という商品は存在しない。当然、店員さん達の失笑を買っていた。 出発ロビーでぶらぶらすること1時間、ようやく19:15発ユナイテッド航空838便に乗り込む。 不況のおりで当然のエコノミー席であり、シートの狭さは(百歩譲って)我慢しよう。 しかし座席が壁のまん前で、目の前に映画のスクリーンがド〜ンと設置されているのには参っ た。機内食を食べて「さ〜てと、ゆっくり寝よう」と思いきや、目の前がチカチカして眠れや しない。結局一睡もできず、フラフラの状態でSan Francisco国際空港に降り立った。

1st Place:San Francisco

離陸から約10時間が経過しており、日本では12月6日月曜日の朝5時頃のハズである。
しかしマイナス17時間もの時差が存在しており、現地時間は12月5日午前11時過ぎ。出発時間
よりはるかに遡っての到着である。これは、何回経験しても気持ちの悪い現象だ。

入管審査をサクっと済ませ、バゲージクレームで荷物を受取る。ピギー型の中型のスーツケー
スで、移動の多い今回の旅のために、熟考の上で新規購入したものである。

そもそも私は「荷物を持って歩く」のが大嫌いなのだが、前回のLA出張で会う人会う人にバッ
クの小ささを中傷されたため、今回は妥協できるギリギリの大きさにした。しかし、またもや
選択ミスであったことがそのうち分かる。

さて、ここからSan Joseのホテルに移動しなければならない。
ピギーを転がし、タクシー乗り場へ急ぐ。トランクを開けに出てきた運転手は白髪で、かなり
歳を取っているように見えた。スーツケースを持ち上げる手つきも怪しい。
車内に乗り込んでから「サンノゼのエアポート・イン・ホテルまで」と見事なイングリッシュ
で告げるが、爺さんは「あ?」と言うだけ。
(ちょっとイギリス訛りだったかな?)とすばやく反省し、可能な限りアメリカ風の発音
で言い直すが、爺さんのリアクションは同じ。

(ひょっとして爺さんは英語を解さないのかも知れない。アメリカは人種のルツボだし)
と一人納得し、念のためにと持参した地図を取り出して「ここよ」と指し示した。
爺さんは老眼鏡のつるを上げ下げしながら地図を覗き込み、「ああサンホゼね。了解了解」
と、あっさり車をスタートした。

つまり、そういうことであった。San Joseは現地のヒトは「サンホゼ」と発音するのだ。
サンナーゼでも、サンノォーゼでも、ましてやスァンナゥーズでも通じないのである。
これからの旅が、少々不安になった。


2nd Place:San Jose

San Joseは別名「シリコン・バレー」と呼ばれる程、コンピュータ関係の会社/工場が多い
場所である。車窓からは見覚えのある企業の看板がバンバン見える。

ハイウェイを南下すること40分強、右手に空港らしき施設が見えてきた。これがSan Jose
空港であるならば、今回予約しているホテルはこのそばのハズである。
ハイウェイを降りて地図を見ながら迷うこと数分。爺さんが車を乗り入れたのは、薄汚れた
プレハブ造りの、どう見ても「ホテル」とは呼べない場所であった。

San Jose Airport-Inn Hotel(愕然)
私の記憶が確かならば、これはいわゆるモーテルというやつではないだろうか? こんなところに、これから5日間も泊まらなければならないのか? 米国出張の第一歩、まずは大事なホテル予約で大きなつまずきを見せてしまった....。

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