LIVE ACT TULIP 偏向マニアックREPORT

'75 全国縦&横断ツアー in 名古屋


シンコーミュージック刊「チューリップ ピアノ弾き語り」表紙より (注)本画像は1975年秋Tourのものとは思いますが、公演地は不明です。
Reported by CB-HONDA

Update:2005/5/8


1. Recording Data  公演日  :10/29/75  会場   :愛知県勤労会館  録音方法 :Audience録音(モノラル)  録音時間 :約90分  履歴   :Cassette Master>Casstte>DAT  音質   :B+(やや遠目)
2. 本音源収録曲 <第1部> 1. 夢中さ君に 2. 私のアイドル 3. 歌は生きている MC(財津) 4. セプテンバー 5. 千鳥橋渋滞 6. どうして僕は淋しいんだ MC(吉田) 7. 君の鼻毛は長い 8. もしも僕が 9. 走れ!ムーン号 MC(財津) 10. 僕がつくった愛のうた 11. 悲しきレイン・トレイン MC(安部) 12. 愛のかたみ <第2部> 13. たえちゃん 14. I Saw Her Standing There (cut-in) 15. Magic 16. せめて最終電車まで 17. 都会 18. あのバスを停めて! 19. あこがれ・花の東京 MC5(安部) 20. メドレー - ハーモニー - 人生ゲーム - 一本の傘 - 心の旅   - 夏色の思い出(インスト) - 明日の風 (cut-out、以降未収録)
3. 時代背景  1975年におけるTULIPの主な活動年表は以下のものです。   02/05/75 シングル「サボテンの花」発売   04/05/75 アルバム「無限軌道」発売   07/06/75 財津、初DJ番組「財津和夫の人生ゲーム」スタート   09/24/75 渋谷公会堂から「全国縦&横断ツアー」開始   11/23/75 財津、初エッセイ本「謎の財津和夫」発売   12/01/75 アルバム「日本」発売  10/29/75という本公演は、アルバム「無限軌道」の発売後約半年、アルバム「日本」の発売  約1ヶ月前、という時期に相当します。
4. ステージ構成  本音源のステージは「2部構成」となっています。  1時間くらいステージをやって一旦閉幕し、10分くらいの休憩時間を挟んでまた1時間くらい  演奏するという、演歌や歌謡曲のリサイタルでは今でも通例のやり方です。  ロック系コンサートでは殆ど絶滅しており、TULIPとしても2部構成で演奏したのはこのTour  が最後だったようです。  このTourでは1部が軽快なベスト曲集、2部が大作「たえちゃん」の完全再現に新曲4連発  披露、という大胆な構成でした。各アルバムからまんべんなく選曲されており、英語曲まで  取り混ぜたバラエティぶりです。  大ヒット曲「心の旅」も単なるメドレーの1曲となっており、デビュー3年目にしてライブ  バンドとしての貫禄を強く感じさせられる、濃い内容となっています。  付け加えておくと、珍しい「吉田のMC」が聴けるのも本Tourの特徴です。
5. 音源検証  やや低音に欠けていますが、Bassラインがはっきり聞こえる良質の音源です。  翌10/30/75の富山音源も所有してますが、そちらは音のこもりが多めで演奏の細かい部分が  ややわかりづらい感があります。  2部に入ってから、曲間のMCがカットされています。おそらくテープ残り時間が乏しくな  ってきたため、MC部分で録音を停止していたのではないかと想像します。  また、残念ながら「明日の風」以降は未収録です。よって、本音源の不足部分は翌富山音源  をベースに補足分析しています。  名古屋は「財津和夫の人生ゲーム」を放送していた東海ラジオがある土地であり、MCでい  きなりラジオネタが飛び出て笑えます。  本公演の写真/映像等は現存していないようですが、断片的な公式映像から本ツアーの概要を  伺い知る事ができます。
6. 各曲分析 <第1部> 1. 夢中さ君に  Introは未収録であり、1コーラス目の途中からcut-inしています。  財津がEギター、姫野が生ピアノというお馴染みの演奏形態です。財津の声は伸びやかですが、  73年の公式LIVE盤「ライブ!アクト・チューリップ」で聴けるような極度のビブラート唱法は  既に影をひそめています。  ちなみにこの曲がOpeningだったのは73年〜75年と77年初頭であり、これ以降のTourではアン  コール曲として演奏されていました。 2. 私のアイドル  前曲終了後、ベースが8ビートでA音を8小節刻み、イントロのギターリフが始まっています。  これは姫野が生ピアノからEギターに持ち替えるための「つなぎ」と思われます。このTourだ  けで聴けるレア・パターンです。  安部は高音弦でのアルペジオ&カッティング、姫野は低音弦でのリズム弾き、財津はローコー  ドでのストロークというギター構成です。特に姫野は複雑な演奏をしながらのコーラスワーク  であり、テクニックの高さを伺い知れます。  コーラスは上田が最高音、姫野が中音域、吉田が最低音という構成であり、財津ボーカル曲で  の定位置です。この音源では吉田のマイクがやや小さめです。 3. 歌は生きている  前曲のCodaからつながる、74年の初演奏の頃からの常道パターンです。  ちなみに、97年の再結成時もこのパターンを踏襲しており、感激したオールドファンも多かっ  たのではないでしょうか? MC(財津) 「え〜、どうも皆さんこんばんわ。財津和夫の人生ゲームです(笑)  ....という訳にはいきませんけど。  今日は名古屋の皆さんと、ステージで僕達TULIPはお会いすることになりましたけども。  このステージは、全国縦&横断コンサートの一環として、今日我々はここにやってまいりまして。  え〜、1階席も2階席も、大勢の人がいらしてましてね。ホントに嬉しく思います。  え〜、今日は朝から少し雨模様でしたけれども。来る時に少し水たまりがありまして。  皆さんの足元にも、汚れが少し出ているんじゃないかと思いますけど(笑)  僕等のコンサートが終わる頃には、もう雨も上がってキレイに道が....なっているかも知れませ  んし、あるいはまた『ダダダダ!』とこう、雷を伴って雨になってるかも知れませんけど。  とにかくこのひととき、楽しく我々と過ごしていただければ、と思ってます。  え〜、そういう訳で、僕等は今日は2部構成でやってましてね。1部はわりと古いTULIPの曲、  それから2部には新しい曲、こういうものをとり交えましてやっていくつもりです。    それともうひとつ。皆さんにですね、ひとつお願い、て言いますか、お知らせって言いますか。  ロビーの方で、我々の、この.....本。『TULIP詩集』あるいはまたは『写真集』。それからレコ  ードも置いています。ですから、もしよろしければ....。    『なに!チッ、あん、TULIPのなんか買うか!』  という人も(笑)いらっしゃるかも知れませんけれども。  ひとつですね、手に取ってこうペラペラとめくって下さい。すると  『うん、なかなかTULIPっていうのもくだらないと思っていたけど、   なかなかいいなぁ。   よし、孫にでもひとつ買ってってやろう!』  こういう方がいらっしゃいましたら(笑)是非ともお願い申し上げたいと思います。  え〜、それではコンサートを続けていきたいと思います。セプテンバー...。」 4. セプテンバー  初期の佳曲ですが、このTour以降はなぜか殆ど演奏されていません。知名度の割に、この曲の  フルLIVE演奏を聴いたことのないファンの方は多いのではないでしょうか?  この曲での姫野/財津の担当パートははっきりしません。なぜなら、Drums/Bass/Lead Guitar  以外の楽器音が聞こえないからです(翌日の富山音源でも同様)。  ただ、次の「千鳥橋渋滞」に連続して演奏していることから、姫野は生ピアノである可能性が  大です。(当時のステージを見た方の記憶では、財津:Eギター/姫野:生ピアノとのこと)  この曲での財津のヴォーカルは今ひとつで、サビでのファルセットに伸びがありません。  間奏はスタジオテイクでは生ピアノでしたが、ここでは安部のEギターで演奏されています。 5. 千鳥橋渋滞  前曲のCodaに、姫野の生ピアノによるIntroがフェードインしています。  Intro後半から財津のギターストロークが絡んでいますが、これが生ギターかEギターか不明  です。後年のステージでは生ギターで演奏していた曲ですが、2部の「たえちゃん」で聴ける  厚みのある生ギター音とは異なる「ベシャベシャした」音です。  安部のEギターは後年に比べると手数が少なめで、まだアレンジが固まっていない印象です。 6. どうして僕は淋しいんだ  The Beatlesの「You Really Got a Hold on Me」を彷彿させる黒っぽい曲調です。  スタジオテイク同様、ワンコーラス目から財津&姫野がハモるアレンジです。4/30/77の札幌  音源では2コーラス目からのハモリですが、そちらの方がより洗練されている気がします。  姫野は生ピアノですが、財津のギターが生なのかエレキなのかここでも不明です。 MC(吉田) 「え〜、古い歌が数曲続きましたけれども、僕は最近歌い出した曲を歌いたいと思います。  この曲は元々は5年くらい前に、財津和夫が僕のために作ってくれた曲なんですけれど。  吉田彰のヒットナンバーより....君の鼻毛は長い」 7. 君の鼻毛は長い  吉田がリードヴォーカルを取ります。LIVE盤「ライブ!!アクト・チューリップVol.2」でも  ひときわ異彩を放つ珍曲(?)ですが、オリジナルは博多時代の自主製作盤の収録曲です。  その時のボーカルは作詩/作曲者である財津自身でしたが、いつの間にか吉田に押し付けら  れてしまったようです。  姫野はEギターにフェイズシフターを深めにかけ、ショワショワの音でコードカッティング  しています。  財津は生ピアノでスタートし、アップテンポになるところからはシンセサイザーでオブリガ  ードを弾いています。Eギターの「ワウワウ」を思わせる音色は、生ピアノの上に設置した  モノフォニック・シンセサイザー「ARP Pro-Soloist」によるものと思われます。  「COMIC WOW」というプリセット音にポルタメントをかけ、ブリリアンスをやや絞るとこの  サウンドが得られます。 8. もしも僕が  安部がリードヴォーカルが取る、このTourだけで演奏されたレア曲です。  Intro/Outroのリードギターは安部が弾き、ヴォーカルの最中は姫野がフェイズシフターを  効かせたEギターでリズムを刻んでいます。  財津はハーモニカの他、間奏/Outroでシンセによるソロを演奏しています。スタジオテイク  とほぼ同じ「ポルタメントのかかっていない平坦な音」は、Pro-Soloistの「CLARINET」と  いうプリセット音をブリリアンスを絞り気味で弾いているものと思われます。  翌日の富山音源では前曲のセッティングのまま「ワウワウ」と演奏していましたが、これは  財津がセッティングを変え忘れたためと想像されます。 9. 走れ!ムーン号  上田のリードヴォーカル曲です。「ライブ!!アクト・チューリップVol.2」での好演奏が印象  深い曲ですが、ステージで演奏された期間は75〜76年の2年間のみだったようです。  姫野はEギターでカッティングを刻んでいます。  財津は生ピアノですが、「ライブ!!アクト・チューリップVol.2」で聴けるようなパワフルな  演奏ではなく、おとなしめにリズムを刻んでいます。上田のDrumsのオカズもやや粗削りであ  り、「ライブ!!アクト・チューリップVol.2」のテイクがいかに完成されたものであったかが  判ります。  以降のライブテイクとの大きな違いは、メンバーによる追っかけコーラスが無いことです。  これは翌日の富山音源でも同様であり、この時期だけの限定アレンジだったようです。 MC(財津) 「えー、どうも。5人がそれぞれいろんな曲を歌いましてね。  いつもはほとんど歌わない、リードギターの安部俊幸までも歌いまして。とっても横から見  てまして、可愛い感じがしたんですけども(笑)  えー、ここで改めてメンバーを紹介してみたいと思います。  皆様から向かって真ん中、僕から向かっても真ん中です。  黒いシャツに、今日は....白いズボンがとても良く似合っていない....姫野達也〜!    続きまして、彼(姫野)は今23歳ですけども、25歳の人です。この前25歳になったば  っかし....上田雅利です、ドラムスです。  続きまして、赤いギターに赤いシャツがとってもぴったり似合っていない....リードギター  の安部俊幸、25歳!.....あ、間違い?25歳?...25歳(笑)  続きまして....その、ずいぶん今度老けてしまいますけど、もうすぐ50歳になろうと  しています(笑)ベース担当の吉田彰くんです。  それで、最後になりましたけれども、私、財津和夫です。よろしく....。  えー、今紹介しました吉田彰くんとそして僕は同学年でありまして、高校時代の時からの悪  友です。まぁ、この5人、未だに独身を守り通してるというか、女から相手にされていない  と言うか、いずれか定かではありませんが、とにかく一人で生活しております。  この前、あの、姫野くんのところに遊びに行った時、布団が二人分ありました。  『どうして二人分置いてるんですか?』って僕が聞きましたところ、『財津くんが泊まりに  来るためだ』、こう言っていましたけれども、真実は定かではありません(笑)。  どうも、シーツを匂いましたところ、ファンデーションの....女性のですね、匂いがプンと  しました。『君は、何か、ファンデーションか何かつけて寝てるのか?』と僕が聞きました  ら『ん?そんなことはないよ』と言いましたから、きっとこれは何かあるなと僕は睨んでい  ます。    えー、そういう訳ですが(笑)  やがて僕等も、普通の人間ですから.....能力はありますから(笑)結婚すると思います。  これでまぁ、結婚して子供が生まれると思いますが....能力はありますから....その子供が  僕は娘だったらいいなぁ、といつも思っています。  娘でしたらねぇ、どんどん歳を取っていくうちに、やがて二十歳、そのあたりになりますと  『(女性の声色で)おとうさん、私の心に決めたひとを見て下さい』  こう言って、ある日突然ですねぇ、僕に言う....。  僕はその時はもう歳を取ってますから、着物かなんか着まして。腰が冷えるからこの辺に座  布団をあてがい、それを奥さんの腰巻の紐なんかを引きちぎりまして結んで。  そうか......でもびっくりするでしょうね、その時はねぇ。  今まで『可愛い、可愛い』『子供だ、子供だ』と思っていたのが、どこの馬の骨ともつかぬ  男を連れて来るんですから。  それがまぁ、いい男だったらいいんですけども、吉田彰みたいな男だったら(爆笑)  どうしようかな?これは大変だぞ!というような、今から至らぬ心配をしているんですけど。  えーまぁ、でもですね、最近ホントに、結婚しても離婚する人がとても多くなりました。  昔はこの.....結婚は、結婚式の当日まで相手の顔も知らないというのも多かったですよね。  ウチのお袋にしろ親父にしろ、そうです。もう、初めて結婚式の時に顔を見たっていうくらい  ですから。それで、色々行き違いが...この性格がありまして、色々あると思うんですけども、  でもなんとか今もうまくやっています。  せっかく最近の人は、好き合って、愛しあって結婚できる状態にあるハズなのに....、  もう、2ヶ月か3ヶ月か経ちますと『性格の不一致だ!』。  それだけじゃないと思いますけども、もちろん。性の不一致もあると思います。  色々あると思いますよ、そりゃ。  でも、やっぱりそう言ってすぐ別れてしまう。それはおかしいんじゃないかと思いましてね。  別にウチのお袋も親父もお互い我慢している...訳なんですけども(笑)、我慢しようと思っ  たらできると思うんですよね。だからこそ、長年連れ添わない間に、『好き』とか『嫌い』と  か『もう嫌いだからさよなら』とか言ってしまうから、もう相手の気持ち、自分の気持ち、そ  ういうものをこの、お互い理解しないままに別れてしまう....。  それは、誰と結婚してもうまくいかないんじゃないかと僕は思うんです。  せっかく選んだ相手ですからね、ずっと末長く愛して、お互い行けばいいんですけど。  僕は男ですからね、もし奥さんをもらいましたらね、どんなにこの....合わなくても一生懸命  なんとか合わせよう、合わせようと。せっかく儀式を経て結婚した相手ですから、そう簡単に  別れたりすることはできないんじゃないかなと、僕は思うんです。  まぁ、嫌々ながら努力して努力して相手とうまく合わせて行こう、ていう気持ちかも知れませ  んが、決してそれは悪いことじゃないと僕は思うんですね。  はい、僕がつくった愛のうた....」 10. 僕がつくった愛のうた  姫野はEギター、財津は生ピアノです。  財津が「愛はいつでも〜聞こえくる」「小さなしわがまたひとつ」でハモリを入れているのが  後年と比べて珍しいところです。 11. 悲しきレイン・トレイン  姫野はEギター、財津は生ピアノです。  「空よ激しく〜消えるまで」で財津がハモるのも、後年では聴けないパターンです。 MC(安部) 「つい最近の話なんですけどもね、僕と財津くんとちょっと話をしている時に、髪をですね、  長いのはもう飽きたからそろそろなんか形を変えようじゃないか、という話になりまして。  もう『いっそのこと坊主にしよう』と二人で決めたんです。  二人だけ坊主ってのはちょっとみっともないんで、他のメンバー3人も....5人とも坊主に  なると、ちょっとナウなヘアースタイルになっちゃったりなんかして、ウケるんじゃないか  なと思ってですね、坊主にしようっていう話になったんですけども。  他の3人にですね、『坊主にしないか?』って言った訳なんですよね。  で、上田に言いましたところ  『僕はサングラスをかけて坊主っていうのはちょっとマズいかな』と(笑)。  『坊主にしなくてもいいか?』と言われまして、まぁそうかなと。  姫野に今度『坊主にしたらかっこいいよ』って言ってですね。  『僕は童顔だから、バーやキャバレーに行った時に入れてもらえないと困るので、ち  ょっと髪を切るのは勘弁して欲しい』と言いまして。    吉田彰に今度、もうあれは年長者ですからね、『ああ、いいよ』とすぐ済むだろうと思って  言いましたところ、  『僕は女にモテたいから髪を切りたくない』と無下に断られましてね。  結局、この長い髪で名古屋に伺った訳なんですけどもね。  そのうちメンバーを説得することができましたら、坊主になりたいなと思っています。  一部....今日は二部構成になってまして、一部最後の曲です。愛のかたみ」 12. 愛のかたみ  財津はEギター、姫野は「Solina String-Ensamble」を初披露しています。  ここで驚くのは、財津が2番と1番の歌詞を逆に歌っていることです。単純な間違えかと思い  きや、なんと翌10/30/75の富山音源でもやはり逆に歌っています。同年11月のサンテレビ音源  や以降のTourではちゃんとスタジオテイク通りに歌っていますので、このTourだけの気まぐれ  だったのでしょうか? <第2部> 13. たえちゃん  翌富山音源にはブザーが鳴ってから2部が始まる生々しい様子が収録されていますが、本音源  では前曲の終わりの拍手で録音が途切れ、イントロの途中から始まっています。  イントロ部分からAメロにかけて、アルバムでは生ピアノで弾いていたパートをシンセで演奏  しています。Pro-Soloistの「TELSTAR」という音色を、ブリリアンス絞り気味で弾いている  ものと思われます。  財津は生ギター、姫野はシンセとSolinaを担当しています。  途中でマンドリンの音も聞こえますが、安部か姫野か不明です。  レコ倫からのクレームでスタジオテイクにP音が入った曲として有名ですが、当然のことなが  ら本音源ではバッチリその部分の歌詞が聴けます。 14. I Saw Her Standing There  前曲の終わりの拍手で録音が途切れ、イントロの途中から収録されています。  財津がヴォーカルを取るビートルズ・ナンバーで、元曲に忠実なアレンジですが、若干テンポ  が遅めで「やわな」印象です。キーボードの音が聴こえないので、姫野/財津ともにEギター  を使用しているものと思われます。  ちなみに、翌富山音源ではこの曲の代わりに、上田/姫野のヴォーカルでビートルズ・ナンバ  ーのBirthdayを演奏してます。77年以降もアンコール等で何度か演奏されているTULIPの十八  番の曲で、出来としてはこちらの方が良いと思います。 15. Magic  前曲の終わりの拍手で録音が途切れ、イントロの頭から収録されています。PILOTという英国  バンドのカバー曲です。翌富山音源では前曲との間に安部のMCがあり「TULIPのマネをしてい  ると噂のあるPILOTの曲」と紹介されています。  8ビートの軽快な英語曲で、元曲にほぼ忠実なアレンジです。元曲では地声で歌ってるサビの  ヴォーカル・パートを、財津は見事なファルセットで歌い上げています。全体的に「ブルース  カイ」を思わせる曲調です。  担当楽器は財津がEギター、姫野が生ピアノだと思われます。(翌富山音源で、本曲の演奏後  すぐ財津がフロントマイクでMCに入っているから。また、当時のステージを見た方の記憶でも  そうだったとのこと) 16. せめて最終電車まで  前曲の終わりの拍手で録音が途切れ、財津のMCの途中から収録されています。  財津はEギター、姫野はSolinaを弾いています。安部のスリリングなアドリブ・ソロが展開さ  れていますが、この日の演奏はやや粗削りな印象です。 17. 都会  75年〜76年のみ演奏された曲です。  財津は生ピアノ、姫野はSolinaとシンセを弾いています。シンセはポルタメントが効いた太い  音色であり、おそらくMini-Moogでの演奏と思われます。  財津のヴォーカルは「ライブ!!アクト・チューリップVol.2」では血管が切れんばかりの迫力  でしたが、ここでは割にあっさりと歌い流しています。 18. あのバスを停めて!  前曲の終わりの拍手で録音が途切れ、この曲のイントロにつながっています。  翌富山音源では前曲との間に安部のMCが入っており、「新しいアルバムでは『甲子園』という  面白い曲が入っていますが、今日は演りません」と話しています。  アルバムでは姫野&財津のユニゾン・ヴォーカルという珍しいアレンジでしたが、ステージ初  演奏であるこのTourから既に財津ひとりで歌っていたことが興味深いです。  財津はEギター、姫野は生ピアノで印象的なリフを演奏しています。アルバムではシンセで弾  いていた主旋律は、安部のEギターでカバーしています。 19. あこがれ・花の東京  前曲の終わりの拍手で録音が途切れ、この曲のイントロにつながっています。  翌富山音源では前曲との間に財津のMCが入っており、「人間には果てしない欲望がある。東京  に行けばその欲望が満たされるのではないかと誰もが思ってしまう」と、この曲のテーマにつ  いて語っています。  財津/姫野ともにEギターを弾いています。間奏の直前に雷鳴のような轟音が聞こえますが、  財津がギターアンプを揺すって内蔵リバーブを振動させていたのではないかと推測します。  間奏後の「ヘイヘイヘイ」のリピートを、姫野が間違って1回多く歌っているのが愛敬です。 MC(安部) 「以上4曲が、たぶん12月1日に出ると思いますけれど、僕の....僕達の一番新しいLPに   なります『日本』から4曲演りました。   早いもので、僕達のコンサートも終わりの方に近づいてしまいました....」 20. メドレー - ハーモニー - 人生ゲーム - 一本の傘 - 心の旅   - 夏色の思い出(インスト) - 明日の風 (cut-out)  財津が生ピアノの弾き語りで「ハーモニー」の1番をスローテンポで歌い、そのまま「人生ゲ  ーム」の2番に繋がる、という凝ったアレンジです。  姫野はMini-Moog/Solinaを演奏し、続く「一本の傘」からEギターに持ち替えています。  マイナー調の間奏を挟んで続く「心の旅」は、サビからではなく「旅立つ僕の心を....」から  歌い出しています。そして「夏色の思い出」の短いインストを挟んで「明日の風」に突入しま  すが、本音源は残念ながらその途中で録音が終わっています。  翌富山音源の内容から以降を補足すると.....。  「明日の風」の終わりから「人生ゲーム」のハーモニカ・パート以降につながっています。  観客との掛け合いの部分は財津が生ギター、姫野がSolinaを演奏しています。 (21. 青春の影)  財津のMCを挟んで、この曲です。「人生ゲーム〜青春の影」という、77年前半まで続くエンデ  ィングパターンは、本Tourから確立されていたことが判ります。  この曲で姫野が弾いているのはSolinaです。  安部のギターソロは後年に比べてチョーキングが少なく、ややあっさりした印象です。  翌富山音源も、残念ながら収録は本曲の最後までです。アンコールは未収録ですが、おそらく  時期的には「銀の指輪」「夢中さ君に」あたりではなかったかと推測されます。