デジタル電子負荷  3/5

 

3-2 電圧・電流計

1)全体構成

    電圧計用入力アッテネータ、電流形用入力バッファアンプ、電圧・電流計切り替えスイッチ、16bitADコンバータから構成されております。本器は電圧・電流・電力を測定できるようにしておりますから、アナログスイッチU20を常に切り替えて測定をおこないます。電力は、単純に電圧と電流の値をCPU内部の演算にて求めております。

 

2)ADコンバータ

    ADコンバータとして、バーブラウンのADS7809を用います。16bit/100kspsのADで、デジタルオシロやレコーダなどに用いられるADです。昔、このADを仕事で使用しまして、そのときに作成した(いまとなってはもう捨てるしか道の無い)試作基板からひっぺがしたものです。ちなみに12bitDAであるLTC1257もこうして入手したものです。さすがにこれら部品を捨てるのはもったいないですから、基板からひっぺがして大切にとっておいたのです。う〜ん、エコロジーだ。

    もともとオシロやレコーダ用ですから、サンプリング速度も100kspsと早いですが、今回は単なる電圧・電流計として用いるだけですので、こんなに早いサンプルレートは必要ありません。まさに使う場所を間違ってますが、まぁ再利用ということで割り切りましょう。本来電圧・電流計の用途に用いるADは、高速サンプルはできないものの確度のよい2重積分型などをもちいるのが普通です。

    さて、このADS7809というADCは外部回路によりフルスパンを5V,10V,±3.33V,±5Vから選ぶことができます。今回は±3.33Vをフルスパンとして使用します。電子負荷において負電圧の測定は不要なのですが、0点補正の簡略化を考えて、負電圧も測定できるようにして有ります。ですから、実質15bitの動作となっております。

 

3)フィルタ

    AD入力前に、ノイズ除去のため2次のアクティブフィルタをいれてあります。このフィルタの特性は2次のベッセルにしてあります。

     

4)0点調整用回路

    AD入力までの間、オペアンプなどの増幅回路により、オフセットが発生してしまいます。0点調整回路は、入力電圧が0Vのときに、AD変換結果が0Vを示すようにするためのものです。補正方法として、AD変換後にデジタル的にオフセットを加減算するもの、または、AD入力前にオフセットを打ち消すための回路を入れる方法があります。ここでは前者の方法を採用しております。0点補正は、入力をリレーによりGNDレベルにし、そのときのAD変換結果を0点とするようデジタル的に(つまりファームウェアによって)補正を書けています。今回の用途のように、高速サンプルを必要としない用途では、この0点補正はサンプル毎に行うのが普通ですから、0点にするための回路に動作速度の遅く切り替え寿命のあるリレーなんて用いることはないのですが、いろいろあってリレーを用いることにしました。また、さすがに1サンプル毎にリレーを動かすわけにはいきませんから、0点調整は、ユーザーがCALスイッチを押したときのみ行うようにしてあります。

     

5)絶縁回路

    電圧・電流計回路も電気的に絶縁する必要がありますから、フォトカプラにて絶縁しております。

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