西南海観光鉄道
私説・乗工社盛衰記

・創業
 乗工社創業は1974年とされています。製品の発売は当初、発売元であった珊瑚模型店の広告で告知されていました。現在手元にある「鉄道模型趣味」(TMS)誌の74年10、11月号を見ますと、珊瑚模型店の広告に乗工社製品の発売告知はありません。74年12月号では、同模型店の広告にHOn2 1/2 コッペル製作中という文字だけの告知が登場しますが、乗工社の名はまだ見当たりません。75年1月号の広告で、B型コッペル(ベースキット)の発売が写真付きで告知され、製造元/乗工社として社名も初めてクレジットされます。プロトタイプは浜松鉄道(後の遠州鉄道奥山線)のコッペルで、価格は8,000円。広告のコピーには、エバーグリーンのコッペル・新発売とうたわれ、雑誌の発売日を考慮すれば、第1弾の製品発売は74年12月ごろということができるでしょう。

 同3月号の広告には、第2弾の製品として、頸城鉄道のニフをプロトタイプとし、PECO製のNゲージ貨車用下回りを利用する軽便合造車(ベースキット 1,200円)の発売告知と、コッペルの未塗装完成品の発売予告が掲載されました。同月号の「製品の紹介」では、1ページ以上のスペースでコッペルが取り上げられ、TMS編集部も「日本型ナローのまとまった製品としては初」と評価し、その後の製品展開について期待を込めた記述もありました。さらに、同4月号のエコーモデルの広告や「とれいん」誌の同月号によると、4月末にはコッペルの2回目のロットが小売店に卸されたようで、売れ行きも堅調であったことがうかがえます。こうして、乗工社は、我が国で初の1/87 HOn2 1/2による日本型ナローゲージの専門メーカーとして出発したわけです。


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