アナック・ウンスをめぐって


 アイルランガとアナック・ウンス兄弟のバリ統治の事情に関して、碑文資料とは異なる伝承が文学作品の中に見られる。

 後代に書かれた『チャロン・アラン』(チャロナラン)というジャワの伝説物語によると、アイルランガは当初、息の一人にバリ、他の息にジャワを与えようと計画したが、バリに居住する聖人クトゥランが、自分の孫息子がバリ王に予定されているとして、その実現を阻んだとされる。

 バリの伝説では、この聖人は隠者生活に入る前、バリの王であった。他方、ジャワの伝説では、アイルランガの大導師ムプ・バラダと同僚で、ジャワからバリへ仏教を伝えたという。


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NISHIMURA Yoshinori@Pustaka Bali Pusaka,1998-2000.