ジャワの都は何々カルタ(...karta)


 インドネシアの首都ジャカルタ(Jakarta)は、元来ジャヤ・カルタ(Jaya Karta)で、「勝利の都」という意味である。1527年、それまでスンダ・クラパと呼ばれていたこの地を占領したポルトガル人の手から奪還したことに由来するという。

 中部ジャワの古都として名高いヨクヤカルタ(Yogyakarta)は、日本人はジョグジャカルタ(Jogjakarta)と呼ぶ(記す)ことが多い。これは、第二次大戦前の、オランダ人による呼び名であった。ご丁寧なことに、ジョグ・ジャカルタと書いた観光パンフレットも見たことがあり、ジャカルタと混同している。現地の人々もジャクジャと略して呼んでいるので、せめてジョクジャ・カルタとしてもらいたい(ジャワ語では、半音のgは濁らない)。卑近な例だが、東京都(とうきょう・と)を「とう・きょうと」と言われたら、気持ちが悪いのは私だけだろうか(東京は東の京都のことであるから、意味は正しいが・・・)。

 1755年、ハムンクブウォノ1世によって創られたこの都の正式名は、「ヨクヨ・クルト・ハディニンラット」(Yogya-karta Hadiningrat=奇遇にも「平安京」という意味である。ジャワ語では、最終音節ともう一つ前の音節がaで終わる時はoと発音する。さらにもう一つ前の音節のaはe音に変わる。ちなみに、バリ語では、最終音節がaで終わる時のみoと発音される。インドネシア語にはこうした規則はない)という。以上の理由から、聞きなれないかもしれないが、私はヨクヤカルタ(ジャワ風にはヨクヨクルト)と記すことにしている。

 もう一つの古都、スラカルタ(Surakarta)は、現地の人々はソロ(Solo<Sala)と呼ぶ。ブンガワン・ソロのソロである。スラとは、「鰐=ワニ」という意味である。1745年、パクブウォノ2世が戦乱で荒廃したカルタスラ(クルト・スロ)よりソロの地に遷都し、スロ・クルト・ハディニンラットと命名したのが始まりである。


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