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ベンチャー企業の経営管理

平成11年3月24日に開催された東京総研株式会社主催
「第20回 未公開株式研究会 テーマ:ベンチャー企業の経理の仕組み・作り方」
の講演録です。

U-8 過去における粉飾の後遺症
 特殊業界として、健康食品を売っている会社です。そのような業界につきものの代理店方式で売っている会社ですが、ある時、薬事法違反の容疑で徹底捜査されて非常に厳しい状態に追い込まれました。そこで赤字を出してしまうと銀行からの融資が途絶えますから、必死に粉飾するわけです。
 普通は、不良支出を開発費に上げるとか、架空の売掛を上げる、在庫を積み上げるという形で架空資産を作りますが、その会社の場合はそれでも足りず、代理店契約した際の代理店からの保証金も全部売上に上げるという形で簿外負債ができてきました。
 この簿外負債というのは非常に監査が渋がります。不良資産は、中を見て資産の明細が勘定科目の一覧で出てきますから、紙の一覧を見ていって実体のないものは全部消すことで済みますが、簿外負債というのは、文字通り帳簿の外に負債はあるんですけど帳簿に乗っていないわけですから、会社の帳簿の中に突き合わせる資料がないということなんです。そのため、粉飾がスタートした時点からの売上勘定・雑収入勘定・すべての収益勘定を洗っていって、これは売上なのか粉飾なのか、全部積み上げていかないと簿外負債は出ません。ないしは関係する取引先に全部確認して、うちに対する債権はどれだけあるか聞くしかないという状況に追い込まれまるわけですが、なかなかそれができません。過大に報告されても恐いし、代理店というのはえてしてかなりの数が死ぬんです。保証金を支払って在庫も買ったが売り切れず、やはり代理店ビジネスで副業するのは難しいと諦めているところへ、うちへの資産いくらありますかとお手紙が来たら、これしめたことかと請求に入ってきます。これだけ保証金払ったのだからすぐ返せと。寝た子を覚ますことはできないということもあって、自分でやった粉飾を自分で還元することもできなくなってしまう。
 さらに悪いことには、経理部長が部下と愛人関係にあったとか、さらに現業部門と一緒に会社の乗っ取りを企んでいたということもあり、会社の業務は破綻したままだったため、上品な言い方をすると、我々としては契約を断らせていただきますということになりました。
 ほかにも問題がありました。資金が足りないため、代理店に向けて持株会のような形で株を発行しましたが、数百ある代理店宛てに一度に株式発行したら有価証券届出書が必要ですが、そんなものやっていないわけです。これで公開するといっても、仮に粉飾を全部解明したとしても、法律違反を抱えた会社ということでまずいのかなと。代表社員も大蔵省と、交渉を直接したのか幹事証券を通してしたのか、やってはいましたが、粉飾のほうがどうにもならないだろうということで、お引き取りさせていただいたという事例です。粉飾というのも、手を染める時は安易ですが、解決するのは結構大変です。

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