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ベンチャー企業の経営管理

平成11年3月24日に開催された東京総研株式会社主催
「第20回 未公開株式研究会 テーマ:ベンチャー企業の経理の仕組み・作り方」
の講演録です。

U-5 役員・従業員不正
 パソコン業界に限らず、それなりの事情があれば苦しむというのが5番の事例、パチンコ周辺機器の会社における役員・従業員の不正です。最近、プリペイドカードでパチンコをするわけですね。パチンコの台の間、あるいはスロットマシーンの台間玉貸し機みたいのがあり、千円札を入れると玉かプリペイドカードが出ます。中に入ったお札のほうは、台の上をベルトコンベアーで流れて、島の一番端にある回収庫に納められる仕組みになっていて、その台間玉貸し機などお金を運んでいく流通機械の会社です。
 公開準備で行っていましたが、在庫管理も売掛管理もない。そのため、原価計算管理システムを導入しはじめましたが、なかなかシステムが載りません。納めた製品に故障が出ますと、パチンコ屋でこの島の台は全部動かないというわけにいかなくて、夜でも電話がかかってくれば営業マンが飛んでいって部品を交換するので、部品をどんどん持ち出してしまい、直ったらほっとしたという感じで修理伝票を切らなかったりする。あるいは、会社の製品に若干問題があったりすると、「会社の製品が悪いから壊れたんだろう」と言われて修理伝票が切れなかったりする場合もあります。それでもとりあえず部品の出庫と帳尻を合わせるためには、ゼロ円で出荷伝票や売上伝票を切らなければいけない筈なんですが、そういう管理がないため在庫の受払表を作っても合わないんです。在庫と合わないものですから、営業マンも在庫管理システムを見ないで倉庫に行ってみて、物があれば持っていってしまう。見ないと確認できない在庫システムですから、資材部や購買部の人が付き添っていないと倉庫の中は見れないという仕組みにできず、会社の意識を変換しないとどうにもならないと社長とも話していたところが、「うちの業界はそんなうるさいこと言っていたらだめなんだよ」と言われてしまいました。
 これはどうしようもないと言いながらやっているうちに、得意先に1億数千万の売掛金の確認書を発送したら、そのお金はもう払いましたという手紙とともに、領収書のコピーが送られてきまして、結果的には販売担当役員がポケットに入れていた。パチンコの業界のセットは規模が大きく、動く金がでかいわけです。
 なぜそんな不正ができたかというと、本来は経理部で領収書に連番を振ったものを持っていて、営業マンのだれに何番から何番の領収書の束を渡したか控えておいて一冊使い終わったら返してもらい、領収書を発行したものや書き損じは全部本紙も綴り込んで連番管理をして、異常な発行がされていないかチェックしてワンクールが終わるという管理をしなければならないわけですが、その管理もなかったということです。
 こういう業界だからこそきちっとした管理が必要と、つくづく思ったわけですが、オーナー会社の話では、社長が納得してくれないとだめなので、我々の契約が解除されたという形になりました。お前らがうるさいこと言うからコストばかりかかって利益が上がらない、従業員も嫌気がさしている、と言われてしまい、社長が率先して啓蒙してくれないと会社は変わらないと言いたかったのですが、お客様の言うことには逆らえません。契約を切るというなら仕方がないでしょうと、社長が変わらない限り会社も変わらないと思いましたので、我々も引き下がりました。
 社長の言うことがもし真実であるならば、最近アルゼとか環システムと、パチンコ関連業界は平和・SANKYOの後も続々と公開していますが、どこまできちんと管理できているのだろうかと疑問に思いますし、もし管理できているのだとすれば、その社長の考え方がやはり間違っていたということになるわけです。これを説得するのも経営管理のイロハのうちの一つなので、非常に苦心します。オーナー会社の社長ですからほとんど信念に近いものがありますので、それを崩していかなければならないわけです。

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