連載コラム・藤子な瞬間


週刊藤子不二雄メールマガジン 126号(2002/03/01)より



▼その14『ドラえもん』「おばあちゃんの思いで」

 現実の出来事や日常生活の中でふと「こんな場面がマンガにあったな」と思う「藤子な瞬間」。私が体験した「藤子な瞬間」の第14回は、「ドラえもん」から「おばあちゃんの思いで」(てんとう虫4巻収録)です。

 2月12日は中国が最も賑わう春節(旧暦1月1日)でした。日本の正月は除夜の鐘を聞いたり初詣に行ったりと、割と厳かに迎えるものという印象がありますが、中国は日本と違って大量の爆竹や花火とともに激しく新年に突入します。日付が変わる前から町のあちこちで爆竹が鳴り、それがピークに達した0時前後は、それはやかましい物でした。また、個人個人が打ち上げ花火を買ってきて打ち上げるものだから、360度全方向に花火が見えるというのも、日本では考えられない状況ですな。火薬は中国の四大発明の1つだそうですが、この骨の髄から爆竹・花火好きな国民性と関係あるんでしょうかね。
 こんなことを書いている私も、実は大量に花火を買ってきていっしょになって遊んでました。他の大人どもも、子どもそっちのけで遊んでました。

 で、この花火を買いに行ったときに思い出したのが「ドラえもん」の「おばあちゃんの思いで」です。「おばあちゃんの思いで」と言えば、冬に花火を欲しがる幼児のび太ですよね。
 おばあちゃんも中国まで探しに来れば、きっと冬でも花火を見つけられたでしょう。何しろ春節、つまり冬に最も花火が売れる国ですから。他の季節でも、何かにつけて爆竹と花火でお祝いしますし、一年中手に入りますね。そんなことを考えながら、自分が遊ぶ花火を選んでいたのでした。
 でも売ってるのは、ちょっと危険な花火ばっかりのような気もしました。幼児のび太やおばあちゃん向きではないかも知れません。というより、日本では消防法や隣近所が許さないかも。

<『おばあちゃんの思いで』あらすじ>

 物置から出てきたクマのぬいぐるみを見て、おばあちゃんを思い出すのび太。タイムマシンで会いに出掛け、「生きてる!」「歩いてる!」と感動の再会を果たす。……が、感動しているのは小学生ののび太だけで、当時ののび太やママにとって小学生ののび太は怪しい子にしか見えなかった。
 1999年春、感動路線の2作目として映画化もされた名編。

<収録>

●てんとう虫コミックス    4巻   (小学館)
●コロコロ文庫「ドラえもん」 むかし話編(小学館)

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