連載コラム・藤子な瞬間


週刊FFMM 108号(2001/09/26)より



▼その11「新・オバケのQ太郎」

 現実の出来事や日常生活の中でふと「こんな場面がマンガにあったな」と思う事はありませんか。それが「藤子な瞬間」です。ここでは私が体験した「藤子な瞬間」を紹介していきます。第11回は、初めて合筆作品から「新・オバケのQ太郎」です。合筆といってもかなりF色の強い作品ですが。

 さて、このメルマガをずっと読んでいる方は覚えているかもしれませんが、私の現住所は中華人民共和国の南方(北回帰線のわずかに北側)です。このあたりになると東南アジア的な風情も少しありまして、その最たるものが街を埋め尽くすバイクです。中国というと自転車が頭に浮かぶかと思いますが、そして確かに自転車はとても多いですが、私のいる地方ではバイクも大量に走っているのです。
 日本でバイクというと「速く走るもの」という印象があったのですが、私の近所のバイクは峠を攻めたり青信号と同時に飛び出したりしません。小さな町の中をせいぜい時速20km〜30kmくらいでボテボテと走っています。で、先日、中国人某氏のバイクの後ろに乗って中華料理屋から帰ってくるときに思ったのです。

 「中国人のバイクって、みんなゆっくり走るよなぁ。日本みたいに飛ばすやつっていないよなぁ。日常の足っていう感覚なんだろうなぁ」と。

 この時思い出したのが「新・オバQ」でヒョーロクさんが「自動車は現代人の下駄だニイ」と自分の車を自慢する場面です。
 そうか、中国人にとってのバイクも「下駄」だったんですね。そりゃあ、下駄履きで登山をする人や、下駄履きで100mダッシュをする人はいませんよね。下駄ってのは、ちょっとお隣に行くようなときにつっかけたりもしますよね。そう考えると、みんなのんびり走っていることも、半径1kmの円内にほとんど収まるような小さな街で乗り回してることも、妙に納得してしまったのでした(日本のバイクは「スニーカー」みたいな感覚なのかな)。
 摩托車(中国語でバイクのこと)は現代中国人の下駄だニィ。

<『新・オバケのQ太郎』あらすじ>

 一度はオバケの国に帰ったQ太郎が、人間界に帰ってきた。今度は弟のO次郎もいっしょに、再び大原家に居候。正ちゃん、伸ちゃん、ドロンパ、U子たちとのドタバタの日々がまた始まる。

<収録>

●てんとう虫コミックス全4巻(小学館)
●藤子不二雄ランド全7巻(中央公論社)ほか
 ほか

 残念ながら現在、いずれも新本での入手はほぼ不可能。古本屋で探してください。

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